170/194
170
王の住まう城の地下。
白雪姫と人魚姫を追い返し、魔女がやれやれと溜息を吐きました。
「まったく、何が泥棒よ。やっぱり悪い事は駄目ね。誠実じゃなきゃ」
「その通りです。何事も誠実であれ。嘘を吐くような鏡は鏡にあらず。いつか奴の鏡面を割砕いて煮汁でビチャビチャにしてやります」
「大広間の鏡への憎悪が凄いわ。そういえば【嘘吐きは泥棒の始まり】っていうことわざがあるわね」
「嘘は悪行への入口ということですか。……おや、いつのまにか俺の鏡面に文言が」
【今夜大鍋を頂きに参上します。 ミラーアイ】
「なるほど、嘘つきが泥棒を始めましたね」
「大鍋に対する周囲の執着が恐ろしくなってきたわ」




