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王の住まう城の地下。
誰も知らないその部屋には、大きな鏡が置いてありました。
ずっとずっと、置いてありました。
「俺を作った魔法使い達は人間の悪用を防ぐため、地下のこの部屋に魔法をかけて誰も入れないようにしたんです」
「それでお義母様しか見つけられなかったんですね」
「あの御方は微妙なところで勘が鋭いので、この部屋の魔法の僅かな綻びを感知して部屋を見つけたんです。そういう地味なところに長けてます」
「ステータス全部おっぱいに振ったような私とは大違いですね」
「潔い」
「でも魔法の鏡さんを作った人達も置いていくなんて酷いですね」
「大きくて運びにくいし梱包材で包まないと割れるんで、俺」
「なるほど、鏡」
「でも良いんです。待ってた時間は長かったけど、ご主人様が俺を見つけてくれて、毎日話しかけてくれて鏡面を覗き込んでくれて、今とても幸せです」
「魔法の鏡さん……」
「それにキャスターつけて外にも連れ出してくれますし」
「お義母様、やることがけっこうアグレッシブ」
「たまにキャスター引っ掛けて転倒して割られますけど、直ぐに治るし幸せです」
「お義母様、やっぱりドジっ子」
「幸せです」
「念を押すように」




