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王の住まう城の地下。
魔女が魔法の鏡に問いかけます。
「それなら魔法の鏡、あなたは何か怖いものはあるの?」
「怖いとは別物ですが、先日パンツ一丁で暗い夜道を歩いていたところ、口裂け女に会いました」
「さっきの事案、あんたじゃない」
「マスクをつけて俯いて佇んでいたので、もしや具合が悪いのかと想い『どうなさいました。お困りでしょうか』と声を掛けたんです」
「あんたが一番のお困り案件よ」
『そこなお嬢さん、どうなさいました。お困りでしょうか?』
『私、綺麗……?』
『俺の方が綺麗です』
『これでも、綺麗……?』
『俺は世界で一番綺麗です』
「と、話していたところ走って逃げてしまいました」
「譲らないのね」




