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王の住まう城の地下。
買い物に行っていた魔女が不思議そうな表情で帰ってきました。
「ただいま鏡。ねぇ扉の前に灰が大量に撒かれていたんだけど、何かの儀式でもしていたの?」
「扉の前まで来ていたのか……。なんて恐ろしい焼き芋会」
「焼き芋? お芋なんて買ってないわよ。あ、白雪姫! また勝手に人の部屋に!」
「鏡さんに匿っていて貰ったんです! 芋煮会はいま争いの時を迎えているんです!」
「芋煮会の争い?」
「はい。それを説明するには、芋煮の歴史を説明しなければなりません……」
「芋煮の歴史は長く、最初に芋を煮ることを思いついたのは、偉大なるイモニエール四世様と言われています」
「芋を煮るために生まれたような名前ね」
「むしろなんでその名前で四世まで芋を煮なかったんでしょうね」




