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王の住まう城を抜け出し、初詣。
今年も神主がお賽銭を打ち返してきます。
「あの神主、相変わらず神がかった打率だわ……。見なさい、まだ1円もお賽銭箱に入ってない」
「神社としてどうなんですかね。とは言いつつも俺も……とぅ!」
「また打ち返したわ!」
「くそ……。しかし俺はこの時のために策を練ってきたんです。見てください、ご主人様!」
「まぁ、いつの間にか白雪姫が二塁にいるわ!」
「そこで俺のフォークボールならぬフォークお賽銭!」
「なんてえげつない落差なの!? これには神主もさすがに……打った!!」
「しまった、守りが手薄な方に……!」
「神主が勝利を確信してガッツポーズ! 二塁の白雪姫が走る! 三塁を……越えたわ!ホームに戻るつもりね!」
「守備が間にあわない!」
「白雪姫がホームに戻って……お賽銭箱にお賽銭を入れたわ!! まさか、これを狙っていたの!?」
「神主はまだ二塁にいます! さぁご主人様、今のうちにじゃんじゃんお賽銭を入れましょう!」
「策士ね。神主が気付いて三塁で崩折れてるわ」




