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王の住まう城の地下。
大掃除を終えた魔女が紅茶を片手にまったりしています。
「なんとか年内に大掃除も終えたわ。ねぇ鏡?」
「このアプリも捨てて、こっちのアプリも……このメールもあのメールも」
「こっちはまだ大掃除中ね」
「株価のニュースは配信停止、小田急線の遅延速報は……いいや、配信停止。あいつはいつも遅れてる!」
「断捨離が捗るわねぇ」
「イタリア語と英語……うーん、フランス語は残すかいなか……」
「悩んでるわね。ねぇ鏡、一年を振り返って、使わなかったものは思い切って捨てるといいわよ」
「アドバイスありがとうございます、ご主人様。一年を振り返って、フランス語と英語は使わなかったので捨てましょう。英語も捨てます。タガログ語は残します」
「使ったのね」
「ヒッタイト語は一番上に残しておきましょう」
「多用するのね」
「日本語は……اسمحبالذهاب」
「捨てたのね。思い切って断捨離しすぎて不便になる、大掃除あるあるだわ」
「بطريقالخطأ」




