泥棒
「ニャハーwwww
こっちは5人www
オマエは1人www
しかも丸腰www
よくそれで敵うと思ったニャwww
バーカバーカwww
さあ、おやびん!!!
やっちゃって下さいニャ!!」
そう、圧倒的に不利なのだ。
何気なく入った廃屋で、5人の窃盗団と鉢合わせてしまった。
「ニャハハハハwwww
とてつもないアホ発見ww
この状況で降参しないとか、オメー脳味噌大丈夫かニャーww?」
異世界に来て初めての感激である。
猫のような耳と尻尾を生やした生き物がいる。
これが俗にいう獣人という種族か。
殺したらどれくらいの経験値があるんだろう?
「よーし、ミャーレ!!
大手柄だ!!
俺達を嗅ぎまわっている賞金稼ぎ野郎を見つけてくれたんだからな!!!
獣人の嗅覚は噂以上だぜ!!」
「えへへへ、おやびん。
お褒め頂いて光栄ですニャ!!」
『何か誤解しているようだが、俺は賞金依頼は請けていないぞ?』
「ニャハハ!!!
バーーーカwwww
これだけの戦利品を目撃された以上、生かしてはおけないニャ!!」
獣人娘が指さす方向を見ると、こんな廃屋には似合わない宝物の数々が山の様に積まれている。
まあ盗品と見るのが妥当だろう。
『わかった。
上納金を払おう。』
バキュン!!
甘言と共に発砲する。
おやびんと呼ばれていたリーダー格のマッチョが頭を吹き飛ばされて崩れ落ちる。
「え?」
「ちょ?」
「わ?」
「ニャ?」
はい、残り4人。
「おいテメー!!!
今、何をしやがった!!?」
俺は演技力を総動員してキョトンとした顔をする。
『はあ?
何と申しますと?』
「え?
いや、オマエが変な道具を向けたら、親分が死んだ…
え?
違うの?」
『ああ、いえいえ。
これはカネの残高を確認する為の道具です。
皆さんにお渡ししようとしたら、急に親分さんが倒れてしまったので…
私も驚いてます。』
「え?
オマエが何かした訳じゃないのか?
いや、その道具から音が聞こえたように思えたが…」
『?
私には窓の外から聞こえたのですが。
変な人影もありましたし。』
「え?
嘘? そんな奴いたか?」
バキュン!!
盗賊たちが窓の外を見た瞬間に次に強そうな男を殺す。
「うわ! 音!」
「ニャニャ!?」
「ひいい!!」
はい、残り3人。
主戦力であった2人が死んですっかりパニックになっている。
うん、俺が君達でもパニックになるわ。
問題は明らかに犯人は俺なのに、すっとぼけ続けていること。
これにより、残りの3人は俺への攻撃に踏み切れない。
「やっぱオマエじゃね?」
2秒経って賢そうな男が俺を指さした。
『いやあ、私も驚いてます。』
「え? え?
その変な道具で親分を殺したんだよな?」
『この状況では疑われても仕方ないです。
では、この道具を一旦提出しますが宜しいですか?』
「お、おう。
じゃあ預かろうか?」
バキュン!!
無警戒に近づいてきた賢そうな男の顔面を吹き飛ばす。
はい、残り2人。
やはり銃の概念のない世界は素晴らしいな。
こちらの殺意を相手が確信出来ず、中々攻撃に踏み切れない。
「て、てめッ!」
俺を睨み付けて激昂した男が白目を剥いて倒れてしまった。
首から大量の血が噴き出しているということは、背後の獣人に首を斬られてしまったのだろう。
その獣人はすかさず俺に土下座する。
「おやびん!!」
『え?
俺のこと?』
「おやびんの為に盗人野郎を倒しましたニャ!!」
『いや、君の仲間だろ。』
「いえ!
脅迫されて無理やり奴隷として使役されてましたニャ!!
正義の為に反撃のチャンスを虎視眈々とうかがってましたニャ!」
『その割に随分馴染んでいたように見えたけど。』
「ニャハハww
おやびんってば冗談がキツいニャ。
盗人野郎どもを油断させる為の演技ですニャぁ♪」
『演技する子とか怖いわぁ。』
「いやいや、おやびんに言われたくないですニャ。」
『そっかあ。』
スチャ。
「ちょ、ちょっと待つニャア!!!!
な、何で殺そうとするニャ!!!
ミャーレはおやびんの忠実な下僕だニャ!!!」
『え?
経験値とか…』
「怖!!! この人怖!!!
サイコパスか!!!」
『じゃあ、俺も忙しいから死ね。』
「お得な情報があるニャ!!!
それにミャレーの特技はおやびんの役に立つニャ!!」
ふむ、情報か。
殺す前に聞き出しておくか。
『あ、うん。
殺さないから情報とやらを吐け。』
「いや!!!
その感情の無い目!!!
絶対、聞き終わったら殺す気ニャ!!!」
『えー。
疑うなんて酷いなあ。
撃たないよ、多分。』
「びええええん!!!!
獣人は経験値目当てに殺される運命だったニャああ!!!
運命を呪うニャ!!」
『へえ、獣人って経験値高いのか。
ラッキー。』
「うっわ、言わなきゃ良かったニャ!!!
コイツ、凄く嬉しそうな顔をしているニャ!!!
何の因果で人間の1.73倍の経験値種族に生まれ付いたニャ!!!」
『え?
君の経験値173なの?』
獣人は諦めたように床に座り込む。
「そうニャ!!
我々猫耳族は173という高経験値の所為で、屑とものレベリング標的として狙われ続けてきたニャ!
あーー、ミャーレ様も焼きが回ったニャ!!
もう一思いに殺せニャあああ!!!!」
…参ったなぁ。
173かあ。
コイツ、殺したら数字に端数が出ちゃうな。
せっかく整数のままレベリングしたんだから、このままキッチリとした数字で行きたいよな。
『わかった。
まあ降参してきたことだし、君は許してやろう。』
「え!
本当ニャ!?」
『うん、まあ、一応撃たない。』
「ホントのホントニャ?」
…なんかコイツうざいな。
『本当だから、とりあえず後始末するぞ。』
「へーい。
ちなみにコイツら高額賞金首ニャ♪」
『だろうなあ。
さっきの怯え方、異常だったもんな。』
「取り分は半々でいいニャ♪」
『え?』
「え?」
こういう面白い奴だったので、臣従を受け入れてやった。
勿論「少しでも怪しいと思えば殺す」とは正直に宣言しておく。
ミャーレはプルプル震えていたが、そこまで心配する必要はない。
俺、端数とか苦手な人だから。
今回の殺害人数 3名
総殺害数 24名
【ステータス】
「名前」
矢吹弾
「能力名」
ピストル
「能力」
詳細不明
リボルバー式の銃がホルスターごと腰に固定される。
弾倉数5。
1発射撃するごとにMPを1消費する。
撃ち尽くすと約60秒後にリロードされる。
有効射程距離50メートル
最大射程距離80メートル
「パラメーター」
《LV》 6
《HP》 24/24
《MP》 19/23
《力》 9
《速度》 14
《器用》 24
《魔力》 10
《知性》 14
《精神》 22
《幸運》 32
《経験》 2300→2700
本日取得経験値 400
次のレベルまでの経験値1000
☆レベルアップルール
召喚者の初期レベルは1。
レベルアップに応じて必要経験値が100ずつ増加する。
1→2 100
2→3 200
3→4 400
4→5 700
5→6 1100
6→7 1600
7→8 2200
8→9 2900
9→10 3700
10→11 4600
「経験値表」
人間 100ポイント
狼系 50ポイント
【筆者から】
貴重なお時間を割いて頂けた事に感謝しております。
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