表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ダンジョン総合学園へようこそ!  作者: gulu


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/10

4話目:補習授業

 ハーレムパーティを作ってモテモテ学園生活が始まる。

 そう思っていた時期が、俺にもありました。


「では補習授業を始めるぞ」

「やだ、やだ、やだー! 先生! 必須授業ないって言ってたじゃないですかー!」

「ワエ様、表層意識を読めると言っただろう? お前の考えなどお見通しだ」


 そういえばそうだった!

 手遅れかもしれないけど防護策として頭の中でアンドロイド・サメ人間VSスカイ・パンジャンドラムの映像を流しておこう。


「頭がおかしくなるから止めよ!」

「ゲフンッ!?」


 思い切り頭をはたかれて脳内映画館が閉館されてしまった。

 リバイバル上映会は次回にしよう。


「とにかく、お前にはこの世界の人種に関する勉強が必要である」

「なに言ってんすか! そんなのなくったって、ほとばしるパッションと漏れ出るガバでなんとかしてみせますよ!」

「ガバを出すな、ガバを」

「ほら、たまの失敗が愛嬌の秘訣っていいますし」


 綺麗な瞳をパチクリさせるが、エトルリア先生は白い目で返してきた。


「……ではテストとして聞くが、≪ドルイド≫のエメトは知っているな?」

「あぁ、先生が押し倒させた顔に淫紋あった女子」

「≪ドルイド≫にとって紋様は家門の証であり誇りでもある。今ので失点一つ、残り二点で強制失格にするぞ」


 意外とやばめのデッドボールだった!


「エメトをパーティーに誘う場合、どう口説く?」

「とりあえず女子で……自然信仰っぽい感じ? だからそういった単語を使えばいいから……そこの麗しき花の姫君、どうか貴女の閉ざされた心の蕾を、どうか優しく花開かせてはいかがで――――」

「処刑執行ゥ!」

「失格どころか裁判もなし!?」

「いや……お前それはなぁ……ドルイド絶滅主義者でも言わんぞ。聞かれたら、死なせてもらえるすら分からん」


 死すら生ぬるいとかあるんだ。

 異種族コミュニケーションは複雑怪奇きわまる。


「とにかく、花に関する例えとかは使うな。普通に接しろ、普通に」

「じゃ~……キミがいないと生きていけない! お願いだ、僕を養ってくれないか!? ……これは?」

「む~ぅ…………まぁ、いいか」


 いいんかい。

 わりとゲスい台詞なのに、これがセーフになるほどさっきのセリフはやばかったのか。


「とまぁ、種族によってはいきなり首を柱に吊るされかねん禁忌がある。だからワエ様が、わざわざ補習授業をしてやっているのだ」

「あ~……例えば角が生えてる男子もいましたね。あれも迂闊に触ったら殺される感じですか」

「あぁ、男の≪ホーンズ≫には触っても大丈夫だぞ。ただ処女を失っても知らんが」


 あぶねー!

 ってか、そんな危険物をブラブラさせてんじゃねぇよ!!


「一本角は長くて真っ直ぐなものほど良い。逆に二本角は捻じれて大きなものほど良いとされているな」

「そこを誉めればいいと! 下半身にある角も褒めた方がいいですか?」

「女にされる覚悟があるならやるといい」


 ねぇよそんなもん!

 あってもダンジョンに合法投棄するわ!


 そんな感じで、エトルリア先生から様々な種族について教えてもらうことになった。

 獣系の≪ライカンズ≫、竜の血をひく≪ドラゴニュート≫、混沌の≪ダークワン≫に秩序の≪ライトワン≫。

 他にも生きる為に宝石が必要な≪ゲンマ≫に不老で死ねば灰になるが蘇る≪アッシャー≫などなど……第一種族や第二種族など情報の洪水に押し流されながらも必死に覚える。


 そのせいでとっくに日は沈み、その日いちにちの予定が全て潰れてしまった。


「……せんせぇ……種族おおすぎぃ……ちょっとへらしませんか?」

「あぁ、そう言った団体がいたな。あまりにも世界に不純物が多すぎるとのたまった奴らだ」

「民族浄化ってやつっすか……どの世界にもあるもんなんすねぇ~……」

「というか、お前の世界でダンジョンテロをやらかした奴らだぞ」


 マジかよ。

 こっちにまで飛び火させて何がしたいんだよ、そいつら。


「……そういえば、先生の種族って何なんすか? さっきの説明の中だと……先生ロリだから不老の≪アッシャー≫が近そうですけど、死んでも灰になってなかったっすよね」

「うむ、知らん! 分からん!」

「自分の種族なのに!?」

「ダンジョンには無限の可能性がある。だからワエ様も自身のルーツ探すために<探索者>になったが……まぁ、無限の中の一つなど選び取れるはずもなかった。ワハハハハ!」


 そう言って片手に持っていたワインの瓶を一口含み、大声で笑った。


「手に入ったものは使い道のない富と錆びた名声だけ! 成功したところで、所詮は≪探索者≫の最期はこんなもんよ!」


 あっけらかんと笑っているが、それは諦めの境地に聞こえる。


 無限にガチャができると考えれば、むしろ楽しそうだが本人はそうでもないらしい。

 飽きたのかな?

 まぁ人によっては飽きるか。

 ガチャゲーでふとした瞬間に引退する人もいるし。


「じゃあダンジョンガチャで俺が先生の欲しい物当てたら交換してくださいよ、交換! なぁに、任せてください! 俺はダチのガチャでならSSR一発引きしたこと何度もあるんで!」


 先生がポカンとした顔でこちらを見て……しばらくしたら再び大爆笑してしまった。


「ワハハハハ! ハァーッハッハッハ! お前は本当に面白いなぁ! いいぞ、いいぞ、くれてやる! 富も名声も……ワエ様の全部、お前にくれてやろう!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ほどほどに謎めいていてロリっ子で先生でとか好みの要素しかない先生が好き
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ