あらすじ
20XX年……突如として世界にダンジョンというものが発生した!
この異常事態に各国は早急に対応するも、後に<ダンジョン耐性>と呼ばれるものを持たぬ者達では一歩進むことすらままならない。
手をこまねいている間にもダンジョンは拡張していき、その魔の枝は人類の生活圏にも届きかけていた!
そんな人類の前に、異世界からの救世主―――いわゆる<探索者>と呼ばれる者達がダンジョンから来訪。
彼らの尽力により確認されているダンジョンのほとんどが踏破され、安全が確保された。
だが<探索者>の話によれば、一度ダンジョンが発生した世界には継続的にダンジョンが産まれるとのこと。
その対応の為にも、各国のトップは異世界との交渉に挑むこととなった。
とはいえ、ダンジョンの無力化……その手段を持つのは異世界側にしかない。
どんな恐ろしい要求がきたとしても、飲み込まざるを得ない状況……会議に参加する者達の胃痛は最高潮に達しようとしていた。
「この度はウチの者達が本当に申し訳ありませんでしたぁ!!」
そんな彼らの胃痛は、異世界側による開幕土下座外交で一斉に爆発した!
話を聞くに、今回発生したダンジョンは人為的なものらしい。
ダンジョンのない世界でわざとダンジョンを発生させ、<ダンジョン耐性>を知らない異世界側はそのまま侵食。
頃合いを見てダンジョンを無力化させて権力を握るもよし!
世界が滅んでから手に入れるもよし!
これで俺らが世界の王だガハハハハ!
――――という馬鹿がたまに現れるのだが、それが今回の一件だったらしい。
突然の爆弾発言により、会議に挑んだ日本の政治家は立ったまま気絶。
異世界側も頭を上げていいと言われないので頭を下げたまま数時間もその体勢を維持。
後に、この異世界初の会議は地獄のようであったと語られることになった。
そんなあまりにも馬鹿な事件からしばらくして……。
各国はそれなりの賠償を勝ち取ったものの、日本だけは彼らとの交流以外に何も得られなかった。
あんまりな結果に政治家を叩く声が大きかったが、数か月も経った頃にはSNSなどは別の話題で政治家を叩くようになっていた。
だからこそ気付く者は少なかった。
異世界側との交流の一環として紛れ込んだ一つの案件。
ダンジョンを踏破する<探索者>となる<ダンジョン総合学園>への留学案件を。
ここを卒業するということは、こちら側の世界で唯一ダンジョンを無力化させる方法を知るということを。
あまりにも重要で重大なこの事態に選ばれたのは一人の学生。
国どころか世界すらも左右する可能性のある重荷を背負わされるのだが――――。
「ヨッシャー! これで受験からグッバイセンキュー! フォーエバー!」
当の本人は<ダンジョン総合学園>への入学通知が来たことに狂喜乱舞していた。
かくして、ただの一般人は異世界に留学することが決定した。
それも聞けば潰れるどころかブラックホールクラスの重力場を冠するほどの期待を背負わされて。
願わくば、この凡人に<探索者>としての才能がないことを祈る。




