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魔王がポンコツだから私がやる。──Max Beat Edition  作者: さくらんぼん
第08章 : これより、王都を焼きに行きます。
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#096 : 世界初☆訴訟型侵攻


〈城の上空|サクラ SIDE|10:05〉

《*サクラ視点》


辰夫の背から、王城を見下ろしていた。

怒りと請求書だけが、今の私の翼だ。


サクラ「高いところって、気持ちいいよねぇ。」


ふわっと息を吸って──


サクラ「今日ぉは!私の愉快なお友達を連れて来ましたぁ!!」


ラウワ王「……軍勢を、ってことか!?」


サクラ「ううん!違うの!これは──“私の恨みを晴らし隊のみんな” なの!!」

「どいつもこいつも私の怒りを一緒に背負ってくれる──素敵な、加害者たち!!」


《*天の声 : 魔王軍も被害者だろ》


ラウワ王「は……?」

王が思わず声を漏らすが、私はどこまでも本気だった。


サクラ「聞いてよ!まずはさぁ!ギルドが壊されたの!ユリ様が暴れてね!!」


ユリシア「……なッ」

ユリシアが下を向く。


サクラ「その請求書が、3215万リフル!!

しかも私宛て!!なにそれ!?意味わかんなくない!?」


ラウワ王「それは……いや、その……ユリシア……?」

王がユリシアを見つめるとユリシアは震えていた。


サクラ「──請求書が来ました。送り主は“現実”でした。」

「私はギルドを壊していません。壊したのは──不条理です。」

「この世が私を“請求対象”とした瞬間、私の心は死にました。」


サクラ「もういい…世界ごと燃やすわ…その3215万で!!!!」

「まずはお前の王冠を買い取ってやんよォォォォォ!!!!」

「ヒーヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!!」


私の笑いがピタリと止まり、声は次第に震え始めた。


サクラ「…ふ…ふふ…ふざけるなよ……こっちはさぁ、黙って引き下がってやろうと思ってたんだよ……!」


《*天の声 : 交戦する気満々でした》


その瞬間、私の頬を何かが伝った。


──涙。


サクラ「でもさぁ……ッ!」

「“ラウワ王の命令で行った”って言われてさぁ……!

「私、“魔物だから”って全部押しつけられてさぁ……!

「いきなり斬りかかってきてさぁ……!」


《*天の声 : 先制攻撃したのはお前だサクラ》


私は心の底から叫んだ。


サクラ「ふざけんなよあァァァァァァッ!!!!」



地上。


鍋、盾、街路の鉄板──叩けそうな金属を手当たり次第に打ち鳴らしながら、

モンスターたちが騒がしく行進してくる。


その騒音たるや、もう軍隊というより“音の暴動”だった。


カン!ガン!バッコォォン!(※鍋が割れる)

魔物たちが叩きながら、思い思いの叫びを上げる。


スライム「定時で帰れる魔王軍最高ー!!」

ゴブリン「飯が出るって聞いたー!!」

オーク「交通費ちゃんと出るって聞いたー!!」

コボルド「予防接種打たなくて良いってマジー!?」


《*天の声:就活ミスったやつが全員ここに来てるな?》


──


◇◇◇


〈王都・玉座|王SIDE|10:12〉

《*天の声視点》


玉座の間では、王が呆然と立ち尽くしていた。


ラウワ王「こ、これは一体……なにが起こっている……」

バルドス「陛下……これは、債権回収です」


ラウワ王「戦争じゃ……ないのか……?」

バルドス「請求書の口火を切った、世界初の “訴訟型侵攻” でございます……」


ラウワ王「いやいやいやいやいやッ!!!」


王が椅子を蹴って立ち上がる。



(つづく)

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