#087 : ナイフを投げた☆唐揚げが揚がった
前回までのあらすじ
→ 石と喋る危ない人が受付嬢ブチギレさせた。
そしてついにギルマスとの実技試験が始まる……
◇◇◇
カエデ「あの……試験はこれで終わりで良いですか?」
ギルマス「え?あーうん……いや、ちょっとこのナイフを今度はあっちのマトに投げてみてくれる?」
ギルドマスターさんが私にナイフを預けてくれました。
カエデ「……はい…いきます!」
ギルマス「……チクショイ!……ワクワクしてる俺がいるぜ!」
ギルドマスターさんが固唾を飲み見守っています……プレッシャーだな……。
カエデ「えいッ!」
私はナイフを投げ!
ぴゅー……ストン……
ナイフは5メートルほど先で落下……。
ギルマス「……ん……あれ?なんだ?…全然ダメだな……」
首を傾げるギルドマスターさん。
カエデ「あの……私のスキルは【ウィルソンを投げつける】なので……ウィルソン限定なんだと思います……」
ギルマス「えぇ……?」
さらに首を傾げるギルドマスターさん。
その時!私に閃きが!
カエデ「あッ!そッ!そうか!ち、ちょっと待ってくださいね!」
私はさっき投げたナイフを拾い、ナイフを見つめていると、なぜか「唐揚げ」という言葉が浮かんだ。
なんでだろう?お腹空いたのかな?
カエデ「あなたの名は──ウィルソン唐揚げ836世!」
そうだ!サクラも言ってた!
思い出のサクラ(真顔)『いいか?カエデ。創造主が最初に食ったの、リンゴでもパンでもねぇぞ。唐揚げだよ。リンゴはデザート、パンは主食、唐揚げは思想であり概念。テストに出るよ。』
すると手元のナイフが、金色に輝き始めた。(*幻覚です)
カエデ「……今、わかった……この子……ただのナイフじゃない……思想であり概念……!!」(*意味は分かってない)
カエデ「あなたの名は──ウィルソン唐揚げ836世ッ!!!」
──そう、これは──
世界を揚げる一手だった。
ウィルソン(ナイフ)『(もちろん喋らない)』
カエデ「……うん。大丈夫。私には聞こえるから……」
ウィルソン(ナイフ)『ジューーーッ……カリッ……ジュワァ……』(*幻聴です)
目を丸くするギルドマスターさん。
ギルマス「え?おい今、なんか揚がる音しなかった?ナイフだよな?それ……ナイフ……だよな??」
カエデ「行くよッ!ウィルソン唐揚げーーッ!!全力で……カラッといってぇぇええ!!!」
私はセットポジションで肩を揺さぶる……。
ギルマス「……ゆ!ゆりかご投法!?」
ギルドマスターさんがまたよく分からない事を言ってます。
カエデ「オータニッ!」
私はそう叫びながらナイフを投げッ…!
シュッ!!! ギュイーーーーーン!!! ズガンッ!!!!!
……パラパラパラ……
マトとナイフが砕け散った!
ギルマス「ショーヘイッ!?」
ギルドマスターさんも叫んだ!
カエデ「ぉぉ……」
私は驚き、小声を漏らしました。
そしてまた、ウィルソン唐揚げ836世の声と同時に天の声が!
ウィルソン(ナイフ)『カエデよぉ?唐揚げってなんであんなに美味しいんだろうな?反則だよな?人類が作った罪のひとつだと…俺は思うんだぜ?とりあえずヴァルハラで唐揚げ用意しとくぜ? 』
(カエデのスキル : 【ウィルソンを投げつける】のレベルが837に上がりました。ウィルソン唐揚げ836世は、黄金色の衣をまとってヴァルハラへ旅立ちました。)
ギルマス「え?マトもナイフも粉々に……?や、やば!カエデ……さん!凄いよ!このスキルは世界を救えるよ!」
ギルドマスターさんが私の両手を掴み、ブンブンしてきました。
これは令和の社会では完全にセクハラです。
カエデ「ちょ!な!なんなんですか!いきなり!」
ギルマス「お前なら……苦しむ人々を救える!このスキルは世界に通じる!」
カエデ「……すくう……?……す、スクール水着でスクイズをしろ!?」
「……け!ケダモノーーッ!?……い、今までで一番理解出来ない要求よーッ!!!」
*「苦しむ、通じる、スクイズ、スク水」で偶然母音で韻を踏んだ
カエデ「……あれ…ちょっと待って……[スク水] で [スクイズ] って韻を踏んでる!?」
「……ひぃ……ち、近寄らないで!……けて………助けてよーッ!サクラーーーーーァッ!!!」
私は胸をおさえながら叫んだ!
ギルマス「……うるせー!誰が韻踏めっつった!!」(怒)
ゴチンッ!!!!!
カエデ「ぎゃッふん!」
── その後、私はギルマスからゲンコツと身分証明書をもらいました。
(*ギルマスが野球ファンだった。)
これで私も冒険者です!やったー!
唐揚げを思い出したらサクラとツバキの事も思い出しちゃったよ。
── あの子たちがいたから、私は“空っぽ”じゃないんだよね。
サクラ!ツバキ?私はこっちの世界でも元気だよ。会いたいなぁ。
(つづく)
《天の声補足:キューシューから東のオサカ/タマイサ方面に向かっているツバキがカエデに接近中。私は恐れています。バカとバカの邂逅を。》
◇◇◇
──今週のサクラ語録──
『いいか?カエデ。創造主が最初に食ったの、リンゴでもパンでもねぇぞ。唐揚げだよ。リンゴはデザート、パンは主食、唐揚げは思想であり概念。テストに出るよ。』
解説 :
テストで赤点取った。




