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魔王がポンコツだから私がやる。──Max Beat Edition  作者: さくらんぼん
第07章 : カエデとツバキ──全世界が“理解”を諦めた日。
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#084 : フエェェッ☆伝説の詠唱

前回までのあらすじ

→ 声が裏返った。


◇◇◇


「運命の扉が今……開くッ!フエェェッ!」


ビーーー♡


ドガァンッッ!!!


イノシシは木っ端微塵に吹き飛び、地面はえぐれた。


村A「……す、すごい……!」

村B「今の光線……確かに“聖女様の呪文”で……!」


「いやいや!呪文とかじゃないから!!!」

私は慌てて手を振った。


村A「聞いただろ!?“フエェェッ!”って裏返った声!!」

村B「あれが……古代の真言マントラ……!!」

村C「“フエェェッ”で魔獣を滅ぼすとは……さすが聖女様だ……!」


「いや!フエェじゃない!声が裏返っただけ!!!」

「裏返りボイス」なんて人生で一番恥ずかしい失敗を、まさか神聖視されるなんて。

もう泣きたい。


その隣では、当然のようにローザが手帳を開いていた。


====================

【聖女の御言葉】

「フエェェッ」

【注釈】

⇒ 魔獣を退けし、聖なる裏返りの詠唱。

声なき者の声をも救う、奇跡の音声。

====================


「ローザ!!お前それ絶対あとで聖典に刷るだろ!!!」

「はい!もちろんでございます!」(キラキラ笑顔)


「これは聖典の新たな章にすべきですね。“フエェェッの章”……!」

「やめろォォォォォ!!!」


私は全力で突っ込んだ。涙目で。


「ふ、ふは……と、とにかく!貫いたぞ……闇より来たりし獣を……我が瞳の審判にて……!(超マグレだよ!とりあえず良かった…!)」


村D「……いや、あれ泣き声じゃね?“フエェ”って……」


(沈黙)


ローザ「異端だッッ!!!捕まえろーー!!!」(聖典を投げつけて叫ぶ)


村D「えぇ!?いや俺も“フエェ”って言えるよ!?ほらフエェ!」(村人達に縄で縛られる)


ローザ「貴様ァッ!聖女様をバカにしてるのか!!」(聖典で殴る)


村D「してません!してません!」


(沈黙)


ツバキ「うん……ほっとこ……。」


こわかった。心底こわかった。泣くかと思った。


イノシシが蒸発した土煙の中で、私は呆然と立ち尽くしていた。


(...やった?私が?本当に?)


肩は震え、膝も震え、魂だけが宙に浮いている。

でも、恐怖じゃない。


(初めて...自分の力で誰かを守れた...のかな)


村人たちの安堵の表情を見て、胸の奥が温かくなった。


演技でも、偽物でも、結果的に人を救えたなら...


(もしかして、これでいいのかも)


── その時、脳内にあの“音”が流れた。


(テレレレッテッテッテー♪)


「のわッ!?なになになに!?」


──聞き覚えのある、レベルアップのファンファーレ。


【ツバキのレベルが 3 に上がりました】


【ステータスオープンと言うとステータス確認ができます】


「この世界どうなってるの!?…ス、ステータスオープン…。」


\\ シュゥゥゥゥ……ギュウゥゥゥゥゥン……!キュインキュインキュイン……バリリリリ……ドゴォォォォンッ!!シュコーシュコー!!ドゴゴゴゴゴゴゴ!!!ギュインギュインギュイン!!!ホーホケキョ!!!チュドーン!!!ピーヒョロロロ……パリィィィン……ズゴゴゴ……チャリンッ(※なぜか小銭の音)!!! //


「いや!効果音長いな!?」


── ステータスウィンドウ ──


【名前】ツバキ

【種族】人間

【レベル】1 → 3

【称号】灼瞳の神子(聖女)/寝言の導師/パンの預言者(NEW)


【スキル一覧】

・ホーリービーム♡(左目からビームが出る。確率発動/威力は状況次第)

・中二病話術(自己強化・錯覚型)

・寝言布教(パッシブ・信者が勝手に増える)

・余計な一言(NEW)

 → 寝言や失言が三日後に宗教儀式になる呪いのスキル(基本的にローザの飯のタネ)


(異能ばかり増えし我が宿命……あのさ、実際このスキル構成どうなの?普通に……え、いらんくない?)


私は顔を覆った。なにこれ恥ずかしい。いっそ闇に沈みたい。


悶絶していたその時、村長と子供が私のもとにやってきた。


村長「ありがとうございます、聖女様!これで安心して森で働けます」

子供「お父さんも喜ぶ!」

(...あぁ、そっか。私の力で、この人たちが笑えるんだ)


気づくと私は微笑んでいた。


(つづく)


次回!ツバキの身にとんでもない事態が!?


◇◇◇


──今週のカイ様語録──

『あの瞬間、勇気は沈黙し──膝だけが雄弁だった。(つまり怖かった)』


解説:

TVアニメ《堕光のカイ》第884話より。

神獣との邂逅により完全に黙り込んだカイ様。

だが膝だけが「無理無理無理無理無理」って主張していた。

視聴者アンケートで名シーンと票を集める伝説の回。

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― 新着の感想 ―
 ツバキのスキル……w  余計な一言  寝言や失言が三日後に宗教儀式になる呪いのスキル  虎馬級にオモロスキル!!  いつもながらぶっ飛んでますねw
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