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魔王がポンコツだから私がやる。──Max Beat Edition  作者: さくらんぼん
第06章 : リンド村を拠点にしました。名前は「サクラ帝国・湯けむり支部」です。
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#075 : 10億錯乱☆ヤドカリお姉ちゃん爆誕


前回までのあらすじ

→ 配下をサーカスに売り飛ばそうとした。


◇◇◇


読者の皆様こんにちは。辰夫です。


本日は──“ある理由”により、我が主サクラ殿に代わって語り部を務めさせていただきます。

何卒、お付き合いいただけますと幸いです。


さて、我が主であるサクラ殿が10億リフルの借金を作り、パニックとなり、我と辰美のドラゴン2体をサーカスに売ろうとしたところまでお話しているかと思います。


それではその直後のお話から語らせていただくとしましょう。



サクラ「そうだ!こうしましょう?」

「辰夫と辰美をサーカスに売るけど、その後は暴れて脱出!」

「それからここに戻ってくれば良くない?」

「ブレスをゴオオオ!って!ブレスをゴオオオ!ってね!?」


サクラ殿はそう言うと、我と辰美にウインクをしました。


辰夫「売るような人のところに、なんでまた戻って来ると思ったのですか!?」


我はサクラ殿に反論しましたが、辰美は頬を赤らめながら言いました。


辰美「……いや……私は戻るかも……」


やはり辰美は壊れてしまったようです。


サクラ「……じゃあ……じゃあ……どうすれば良いの……」

「あッ!竜の鱗って1枚いくらかな?ねねッ!?」

「全身の鱗の数って何枚あるの?1人5億枚あると助かるのだけど……」


サクラ殿は申し訳なさそうに尋ねてきました。


辰夫&辰美「「殺す気か!」」


サクラ「えーん……もう私は終わりよー……終わりなんだわー……」


サクラ「地下労働施設で働かされて、夜は班長と外出権を賭けてサイコロを振る人生を送るんだわー……」


サクラ「たまに飲むビールを飲んで、犯罪的だ……って言うのよー……これは言わないわけにはいかないのよー…」


サクラ殿は頭を抱えながら部屋を転げ回っていました。


エスト『お姉ちゃんが壊れてるwww』

辰夫「サクラ殿……。」

辰美「やっぱり面白いなーw」


サクラ「私の知る限り、10億を稼ぐには血液を賭けた麻雀くらいしか無いのよー……」

「そしてその血液を賭けた麻雀は終わるまで20年かかるのよー……」


サクラ殿は次に部屋の隅で体育座りを始めました。


エスト『あははwww』

辰夫「何を言ってるのか分かりませんな…」

辰美「守ってあげたい……」


(……我が主の想像力には、時折 恐怖すら覚えます。)


こうして錯乱していたサクラ殿でしたが、その後、懐から一升瓶の【鬼ころし】を出して飲みはじめました。


最終的には酔ったのか泣き疲れたのかは分かりませんが、とにかく寝てくれました。



事件はその翌朝に起きました。


エスト『お姉ちゃん!お姉ちゃーん?』

辰美「サクラさん!サクラさん?」


朝からやけに隣の女子部屋が騒がしいので見に行ったのです。


エスト『お姉ちゃん?どうしたの!お姉ちゃんってばー!』

辰美「サクラさん?大丈夫ですか?返事をしてください!」


コンコン……


辰夫「……失礼します。いったいどうしました?

……なッ…こ…これは……さ、サクラ殿…ですか…!?」


エスト『辰夫!なんとかしてよ!お姉ちゃんが!』

辰美「辰夫さん!サクラさんが!」


辰夫「えええ……?」


部屋に入ると、我は驚き…後ずさりをしました。

竜の王である我が……です。


なんと……!


そこには……部屋には……巨大な【ヤドカリ】がありました。


挿絵(By みてみん)


そのヤドカリはサクラ殿の貝殻生成スキルで作られたものだとすぐに分かりました。


なぜならヤドカリには表札のような物があり【サクラ】と書いてありましたので。


これを見たときは少しイラッとしました。


そうです。


なんと……サクラ殿は引き籠もりはじめてしまったのです──。


話しかけても叩いても返事がありません。

我達は巨大なヤドカリを見つめ、途方に暮れていました。


エスト『うーん。困ったなー……』

辰夫「うーむ。」

辰美「サクラさん……」


しばらくすると……ヤドカリがゴソゴソと動き始めました。

そして中から手紙が出てきたのです。


スッ……


エスト『ん……?手紙……が出てきた。』

辰夫「む?」

辰美「なんですかね?」


エスト様が手紙を拾い上げ、手紙を開封しました。

……その手紙にはこうありました。



【お腹すいた。ご飯まだ?早く持ってきてね。PS:塩むすび希望 *梅干しは嫌】



エスト&辰夫&辰美『「「知るかッ!!!餓死しろッ!!!」」』


我達はヤドカリを放置して部屋を出て、ジル殿の居る食堂に向かいました。


少ししてからヤドカリが食堂に現れたので、外に投げ捨てました。


先に食堂に居たジル殿が驚いて言いました。


ジル「い、今のヤドカリ……?ま……まさか……サクラさん……です……か?」


── そんなジル殿の目は大きく見開いていました。


我が主はもはや鬼ではなかった。ただの軟体生物であった ──。


(つづく)

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― 新着の感想 ―
 語りべにヤドカリが響くwww  どんな風に食堂に行ったのかが凄く気になるし  殻が妙に艶ってて_:(´ཀ`」 ∠)    語りべ式もオモロです!
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