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魔王がポンコツだから私がやる。──Max Beat Edition  作者: さくらんぼん
第06章 : リンド村を拠点にしました。名前は「サクラ帝国・湯けむり支部」です。
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#065 : カルシウム☆それは力の根源


前回までのあらすじ

→ アルフレッド・カツ・丼之介(仮)


◇◇◇


そして、ディナーの時間となった。


ジルが自慢気に料理の紹介をする。


ジル「今日は珍しい“ダイヤシェル”という高級湖貝が手に入りまして。硬すぎて調理に2本包丁を折りましたが、味は保証します。」


サクラ「へぇ……海鮮料理か。初めてですね。エスト様。」


エスト『そうだね☆』


モグモグ


サクラ「美味しい!?」


モグモグ


私が海鮮料理に舌鼓を打っていると、突然!天の声が脳内に響き渡った。


(サクラは スキル :【殻体】 を習得しました。)


サクラ「ん……なんかスキル覚えた……けど……」


エスト『お!久しぶり☆』


サクラ「……嫌な予感しかしない……とりあえず確認してみますか……ぁ!ステータスッ!オープンッヌ!」


エスト『その掛け声も久しぶり☆』


目の前にステータスウインドウが展開される。


スキル欄に新たな文字列が浮かび上がる。

私は恐る恐る【殻体】の詳細を見てみた。


殻体(シェルフォーム):自身の内部資源を活性化し、

 超硬質の天然装甲を生成可能 ── ただし貝殻。

 せいぜいカルシウムたくさんとっとけ。】


サクラ「……………ッッ」


なんだろう。

目から火花が出るってこういうことなんだなって、今わかった。


サクラ「か!?貝殻!?………を作れる!?カタカナ名はカッコいい!?」


3バカ『「「!?」」』


エスト『…お姉ちゃんが貝殻作れるようになっちゃったwww』

辰夫「…ッ…ッ…ぶははーッwww」

辰美「ごめんなさいサクラさんwwwこれは笑うwww」


ジル「え?え?」


人の不幸を爆笑する3バカと、何がなんだかわからないジル。

コイツらは明日、死の直前まで貝殻で殴り続けると決めた。


それにしても…なんということだ。


またしても【究極生命体(アルティミット・シイング)】に近づいてしまったのだ。


この世で自分1人だけ特殊な生態系に分類されてしまった私は、ただ静かに箸を置いた。


……もう、笑うしかないよね、って。


(静寂)


《天の声 : なお、カルシウム不足だと発動しません》


サクラ「牛乳パック片手に戦場に!?新しすぎだろ!スポンサーつくわ!」


(静寂)


私は自分の手を見つめながら呆然としていた。


(……貝……貝殻て……いや、これは……お笑い要素……いや、ギャグ……いや、私がギャグ……?ネタキャラ……?)


自分の存在が根底から揺らぐような感覚が私を襲った。


《天の声 : いまさらかよ。ずっとネタキャラだろ。》


次の瞬間、私は気づけば床に崩れ落ちていた。


サクラ「うぅ……うわぁぁ……ジ、ジル……!アンタ、盛ってくれたね!?私にッ!」


ジル「ええぇ!?いえ、私は何も!」


3バカ『「「お姉ちゃん / サクラ殿 / サクラさん!?」」』


……そして思い出してしまった ── 貝で思い出してしまった……綾様を……。



◇◇◇


【綾様観察日記 vol.715356】


午前11時。食堂にて。

綾様が、昼食の貝汁を啜っていた。


……その所作に異変があった。


普通の人は、食べ終わった貝殻を残す。

しかし綾様は、一枚一枚、並べた。


大きさ順に。左から右へ。

ぴったりと、直線で。


誰かが「几帳面ですね」と声をかけた。

綾様は静かに言った。


綾様「違うの。これは“殉職者の数”よ」


食堂の空気が止まった。

……その日、会議で部長が泣いた。


◇◇◇


サクラ「なんでこんな時に綾様のこと思い出してんだ私……」

やがてこの記憶は過呼吸を誘い、私の意識を遠くへと誘った。


バタン……キュー……(気絶)


ジル「えーッ?」

完全に八つ当たりで濡れ衣を着せられたジルは何がなんだかわからず立ち尽くしていた。


(つづく)



\\次回予告!//


笑いとトラウマが交錯するその夜、

日本酒【鬼ころし】とともに涙に沈むサクラを待つのは──


巨乳サキュバスの幻影か!? それとも悪夢か!?


次回、#066 : 巨乳サキュバス☆嫉妬の夜


「酒と涙とポカリが、世界を救う」


\\お楽しみに!//

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― 新着の感想 ―
 シェルフォーム…横文字は格好良いのにっ!?  殻体と言う漢字だと…異様さがwww  ネタスキルと言うか、超越し過ぎと言うか、カルシウム!!  カルシウム!!  いつもながら面白味が旨旨ですねwww…
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