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魔王がポンコツだから私がやる。──Max Beat Edition  作者: さくらんぼん
第06章 : リンド村を拠点にしました。名前は「サクラ帝国・湯けむり支部」です。
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#054 : 敬意を持って殴れ☆識字率アップ大作戦

リンド村──それはかつて何もなかった田舎の村。


だが今や、“美肌温泉の聖地”として商人・旅人・冒険者が詰めかける謎のブーム真っ只中である。


観光客の中には私たちの姿に驚く人も居たが、村人達のフォローもあり、大きな騒ぎにはならなかった。



サクラ「うんうん。良い感じね。」


この日も私はいつものように、村の広場でハカセに勉強を教えていた。


「こんなの朝飯前です」とか言いながら、顔はドヤァである。かわいいかよ。


……ちょっとムカつくけど。まぁこういうノリ好き。


(ふーん。頭の回転が早い子ね……。これは拾い物かもしれないわね…?)


ハカセは飲み込みが早く、とても教え甲斐があった。


(……この調子で仕上げれば、将来の参謀枠は確保ね。世界征服の土台って、やっぱ教育からよね)


道ゆく村人も不思議そうに私たちのことを覗き込んだり見学したりしている。


村人D「おい、聞いたか?最近うちの子、“敬意を持って殴れ”とか言い出してるんだが……」


村人E「うちは“まず教育、次に征服”って言い出したぞ」


いじめっ子A「……お、おい…ヴィヴィのやつ……鬼のお姉さんと仲良いのかよ!」

いじめっ子B「う、うちのパパは社長なんだぞ!」


いじめっ子Aの母「ターケジー!配達どうしたんだい!!

いじめっ子A「お、俺は母ちゃんの奴隷じゃないっつーの!』


(狙い通りね。もっと見なさい。興味を持ちなさい。)


村の広場を使っているのには、とある理由があった。


◇◇◇


── 話は少し遡る。


……

………


── 現魔王軍作戦会議室にて。(*宿屋の部屋)


私はいつもの散策で村の状況を理解したところでエスト様に とある提案をした。


サクラ「村の状況がだいたい理解できました。」

「そこで!私から提案があるのですが…聞きたいですか?」

「なぁ?……おいぃ!聞きたいよな?聞きたいって言えよッ!」

「お願いしますが聞こえねーな?あ?」


私は耳に手を当て返事を確認する。


エスト『はい と言わないとめんどくさいやつ☆』


サクラ「そこまで言うなら仕方ないな?」

「特別だからな?感謝しろよ?……な?」


エスト『はい と言ってもめんどくさかった☆』


私はメガネをクイックイッしながら話を始めた。


サクラ「オホン!……えー……まずですね……文字を読み書き出来ない人が多すぎます!村人の識字率を上げましょう。」


サクラ「……文字を読み書き出来れば、コミュニケーションの幅が広がるのです!」


エスト『おお!本も読めるよね☆』


サクラ「具体的には、戦争になった時にね?紙で作戦を伝える事が出来るようになります。」


辰夫「む……戦争……?」


サクラ「口頭で作戦を伝えるよりも間違いや勘違いが無くなるので、作戦の成功率が上がります。」


辰美「ん……作戦……?」


私は話を続ける。メガネクイッの速度も上がる。

クイッ → クイイイッ → ゴリィィン! ── メガネが壊れた。


サクラ「そっしってっ!計算も出来るようにしましょう!」


(辰夫:え?まさか…次は“戦術数学”でも始まるのか…?)


エスト『数字は苦手だなぁ…』


私は知ってるわボケが!と言うのを我慢して続けた。


サクラ「……計算を下地に、論理的思考力を養うのです。」


サクラ「具体的には戦争になった時に正確な兵数を把握し、兵站の維持、補給線の構築──」


(エスト『補給線って美味しいの?』)

(辰美:え?補給線ってスイーツ?新作?)

(サクラ:……ダメだこの魔王軍、全員アホだ)


サクラ「さっらっにっ!育成しつつ、才能のある者を見極め!魔王軍にスカウトして私の配下にします!」


エスト『お姉ちゃん…私も配下欲しいよ…』



サクラ「……。」(無視)

エスト『……。』(ぷるぷる)



サクラ「……ゆくゆくは役職を与えて部隊長や軍師にしたり、兵器開発を進めるのも良いですねッ!」


演説を終えると、私は鼻息をフンスフンスしながら最高のドヤ顔をキメ、


ブンッ!バチンッ!


壊れたメガネを叩きつけた。辰夫に。


辰夫「痛いッ!なんで!?」


エスト『……全部……戦争前提だった☆』


辰夫「しかも村人を兵士にして、村を兵器工場にする気ですな……」


辰美「魔王様が2人……?……あれ?」(混乱)


サクラ「ところで、私は何故か会話は出来てますが、読み書きは出来ないので、私も文字を覚えるところからになりますけどね。」


エスト『あ☆お姉ちゃんがこっちの世界の言葉を理解出来るのは召喚時のギフトだよ!私の魔力が流れてるからね☆』


サクラ「ギフト……?あれ?……そんな仕組みが…?では……なぜ!そんなしょうもないギフトより……なんで……なんで……胸に注いでくれなかったんですか……?」


私はエスト様の両肩を激しく揺らしながら尋ねた。


エスト『え?しょうも…え?…そ…そうなの…?異国でコミューケーション取れる方が……あれ…?ご、ごめんなさい…?』


エスト様は困惑しながら謝った。

………

……

── 現在に戻る。


◇◇◇


と、このように村人改造計画を実行中なのだ。

広場で勉強を教えるのには村人に勉強に対して興味を持ってもらうためだった。


頭ごなしに「勉強教えるから来い!」なんて言っても絶対に来ない。


人は抑えつけると反発するものだ。

ふふふ。私はなんて賢いのだ。


ゆくゆくは学校のような形にし、村のレベルアップを図る予定なのである。



(つづく)


◇◇◇


\\次回予告!//


村の広場にひびき渡る、教育と征服のドヤ顔講義!

だが、その裏で──迫る領主の影!?


「税金払えない?命で払え!」

そんな悪夢のキャッチコピーと共に現れるは、“増税マン”ガルド=デ=ブラーク!


サクラ「……だっさ!?てか絶対悪いやつじゃん!」

エスト「お姉ちゃん、礼儀正しくしようね☆」

サクラ「わかった!笑顔で!……で、次は刺す」


次回──

#055 : サクラさん式礼儀作法☆まず笑って、隙あらば刺す


\\お楽しみに!//


◇◇◇


──【今週のムダ様語録】──

『殺意を持って近寄るとバレる。敬意を持って近寄ればバレない。そこからは腕力の勝負だ。』


解説:

礼儀とは“殴る理由”を用意する儀式である。

謝りながら殴れば、だいたいの人は黙る。

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― 新着の感想 ―
 一瞬スネ夫がいた様な……  召喚ギフト  異世界言語理解<胸!!  ブレないサクラ様の思考がwww
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