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魔剣退治と不気味な一軒家 6


「あ、ちょっと待て! お前たち今から行くのか?」


 確かにこんな時間に行ったら失礼かな? 失礼ですね。

明日にしようか。


「流石に迷惑ですかね?」

「いや、逆だ。あいつは夜起きて、昼間は寝ている」


 よい情報をもらい、さっそく俺たちはノックスさんの店を尋ねる。

遠くからでもわかる、あそこだけ明かりがついている。


 店の外から中を覗き込み、入っても平気そうか確認。

カウンターにも店内にも誰もいない。

この店で、あっているよね?


――ギィィィィ


 扉のきしむ音。

リリアとゆっくり中に入ってみた。


 店の中にはナイフや槍、それに俺の背よりも大きな剣や斧が所狭しと並んでいる。

店の奥の方に歩いていくと、棚の上に包丁がたくさん並んでいた。

なんとなくセーラと似ている気がする。


「誰だ?」


 カウンターの奥から背の低いむっくりとしたおじさんが現れた。


「こんばんは、こんな時間にすいません」

「客か?」


 なんとなく不機嫌そうな声。


「ノックスさんで?」

「あぁ、わしがノックスじゃ。お前は?」

「俺はアクト。すいません、見てほしいものが……」


 俺はバッグから一本の包丁を取り出し、ノックスさんに差し出した。

ノックスさんは目の色を変え、まじまじと一本の包丁を見つめている。


「お前、これをどこで?」

「街の隅にある廃屋で見つけました。この日記にはノックスさんが作った包丁だと書かれていたので……」


 ノックスさんはカウンターから一枚の布を取り出し、セーラを拭き始めた。

その表情は少し悲しそうな、今にも泣きそうな顔だ。


「久しぶりだな、こんな姿になってしまって……」

「あの、この包丁何とか元の姿に戻せないでしょうか?」

「お前さんは、この包丁をどうするんだ?」


 どうするのか?

この包丁をノックスさんに直してもらい、そのあとどうするのか……。


「わかりません。もし、直すことができたら直接この包丁に聞いてみます」


 にやつくノックスさん。

口角が少し上がっている。


「あの、この状態からでも直せますか?」

「ん? 嬢ちゃん、わしを誰だと思っておる? こんなもの、明日の昼前には元に戻せる」


 俺とリリアは互いに視線を交わし、微笑む。


「お願いできますか!」

「あぁ、もともとわしが作ったものだ。明日の昼にでも取りに来てくれ」

「わかりました。あの、お代は……」


 少しだけ流れる沈黙の時間。

店の中で光っているランプだけが揺らめいている。


「金はいらん。こいつを、見つけてくれた礼だ」

「いいんですか?」

「あぁ、わしにも職人として、作ったやつらを見届ける義務がある。ま、わしが生きている間だけどな」

 

 ノックスさんと少し話をして、店から出ようとする。

明日には元のきれいな包丁に生まれ変わっているはずだ。


 扉を開け、外に出ようとした瞬間、ふと視線を感じ振り返った。

カウンターに置かれた一本の包丁が少しだけ淡い光を放ち、包丁の真上でもやもやしている。


『ありがとう、アクト。また、会いましょう……』


 そんな声が聞こえた。


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