〘百五話〙落とし前と以外な決着?
長くなりましたので今話含め、あと二話で完結
女神との邂逅を経て、再びアンヌのもとを目指そうと気持ちを入れ替えた時それは起こりました。
「え、なに? なんなの!」
光など存在しない、無限の闇が広がっているだけの空虚な空間であったはずなのに。
私という存在を取り囲むように眩い光点があたり一面に無数、数えることが無意味なほど存在しています。
それは突如、無秩序に現れ、あっという間に私の周囲を覆いつくしました。
強い存在感を示すそれらの光は、それぞれが眩く輝く中でも不定期に明滅していて、まるでお互いで対話をしているかのように見えます。
私は何とも言えない嫌な感覚を覚え、全てのスライム体へ瞬時に魔力を漲らせ、臨戦態勢をとります。
何が何だかわかりませんが、私の全身が淡く青白い光を放ち、警戒心を露わにしています。
「うくっ!」
突如、頭に激痛が走りました。
なっ、なに?
激しい痛みが断続的に続き、それはどう考えても私への精神的な攻撃であるように思えます。
この痛み、この感覚。
忘れることなんて出来るはずもありません。
「め、女神……、ふぇり、アナ~ッ!」
周囲の光が頭部の激痛に合わせるかの如く、激しい明滅を始めます。
それはストロボ発光のごとく刺激が強い光で、その明滅は私の神経を著しく逆なでしてきます。
消えた瞬間は完全なる闇、暗黒の世界。
光れば辺り一面影すらない完全な光、真っ白な世界。
光と闇からくるとんでもない刺激は、まるで私の精神を直接刺し貫かれているように感じ、頭痛と視覚からの二面攻撃で今にも気が狂ってしまいそうです。
光や闇など視覚情報を封じれば関係ないだろうと、対策を講じてもだめなのです。
意味不明なことにその感覚は私の意思などお構いなく、直接私の思考そのものにイメージとして刷り込まれてくるのです。
そんな最中、私を囲んでいた無数の光の塊たちはどんどんその輪を縮めてきました。
謎空間に漂う? スライム体の総量は相当なものであり、魔力に至っては数百年にわたって尽きることは無いであろう保有量になっていて、かつ、使えば使っただけまた生み出す余力すら確保出来ているのです。
女神の言う高次世界である地球の原子力、いえ、核エネルギーと言った方がいいかもしれない、放射線の源であるその力は、それほどまでに恐ろしいものなのです。
はい。
私はいっそ放射線の源である核エネルギーそのものを頂いちゃえばいいじゃんとばかりに、核燃料そのものもすらコッソリちょろまかしておいたのでした。
ほんのちょっとですから。
ナイショです。
更には先ほど、クソ女神からもかなりの力を奪い取りましたからね。
どうやらこの謎の光たちは、そんな私を封じ込めるなりしようとしてるみたいです。
そいつらのどう考えても私への攻撃であろう、その行動に更に変化が現れました。
驚くことにスライム体がその光を浴びれば、まるで表面にラップが張られたかのように硬質でツルツルとした状態へと変化していきます。
「く、くそ、女神~~~!」
クソ女神。
あんにゃろ、私をたばかりやがりました。
改心したかのように見えたのは偽りでした。
周囲の光からは、女神同様とても強い意識体の圧を感じます。私と女神が、あの女神の世界でグダグダやってた裏で、周囲のお仲間を呼び寄せてたわけね!
私、スライム体に生まれ変わり、そのスライム体を駆使し、魔法だって使い、わざとじゃないにしろ、今まで散々やらかしてきた自覚くらいはさすがにあります。
です、がっ、マジのマジ。今初めて全身全霊、今までのことなんて比じゃないくらいの全力をもってこの光たちの圧力に対抗してやるって、心に誓いました!
「クソ女神~~! もう絶対許してやんないっ!」
私が今までに得た魔力、スライム体の増殖、それらを一気にどば~っと膨れ上がらせました。
なのに。なのに。
驚いたことに私の周囲を覆っている光たちもそれに負けず劣らずの勢いで、圧力を返してきます。
「くうぅ」
負けてたまるかっ。
私はアンヌのもとへ帰るん、だ~!
「クソ、め、が、みぃ~」
うざすぎる光の洪水を浴び、スライム体の表面はドンドン硬直化していきます。
まるで紫外線を当てたら固まる樹脂のようです。
これは良くない。
よくないですっ。
私はパキパキに固まったスライム体を次々剥離させ、内から新たなスライム体を湯水のごとく増殖増加させ、負けじと奴らから魔力か何だかわかりませんが、力の源をガッツリ吸収してやります。
ですが一瞬怯みはしますが、それを乗り越えるように新たな光の波が襲ってくるのです。
そんなことの繰り返しで、事態は一向に動かず、拮抗しています。
なんというか、巻き返そうにも周囲の光たちが多すぎます。
クソ女神、いったいどれだけの世界からお仲間さんを呼び寄せたんですか!
負けてやる気なんて毛頭ありませんが、これではいつまで経っても終わりません。
こうなったら。
これは賭けです。
クソ女神、一柱。
あいつをどうにかすれば周りの奴らは引き下がるかもしれません。
それに賭けます。
この場はこの場で奴らを引き付けるために維持。
ミーア単体であっちにいって、女神をやります。
ふ~ちゃん、ここまかせたよ。
私の代わりにスライム体の制御お願いね。
ふふ~ん。
実は三精霊の意識体を魔力ともども取り込んでいたのです!
まぁ、今は完全に私の一部と化しているので大精霊そのものではないのだけど、取り込んだことにより並列処理能力的なものを獲得しちゃったのです。
疑似的な多重人格と言った方がわかりやすいかな?
もちろんほんとに別人として存在してるわけではないので、これも私であることに変わりありません。
ただ、自分でもわけわかんなくなるので、便宜上そういう呼び名で、自身の意識を使い分けてるのです、はい。
でも、これにより私は、完全に分離した状態で別々の行動が出来るようになったのです。
あ、三精霊分なので、別動隊として三つまで行動させることが可能!
風精霊
火精霊
水精霊
です。
わかりみがすぎる。
ミーア凄い!
はっ。
そんなことをのたまってる場合じゃなかった。
ということでミーアは分離して、女神のところに舞い戻ることになった。
***
【ば、ばかなっ! なぜ、ここに】
「あんた私のこと舐めすぎ!」
そう言葉を返した瞬間、凄まじい頭痛が私を襲い、更には女神から初めて直接攻撃を受けました。
全方位から優に百を超えてるだろう光の槍が私を向き、それがまさしく光速で、一斉に私に突き刺さります。
うへぇ、針ねずみミーアです。
刺さったところから硬化が始まるけど、それがなにっ!
私はそんなものを上回る魔力を内から放出し、同時にミーアからスライム体へと即変化、そのままの勢いで女神に襲いかかり完全に覆いつくしました。
【όχι、Βοήθεια!】
女神自身が私に覆われたことで、自らをも射ることになる光の槍での攻撃は出来なくなり、なにより私に覆い被さられてしまった女神は、その瞬間からその力を吸収され続ける運命となったのです。
【ああ、ああ、うそ、うそです。そのようなこと、あるはずが……】
ぶつぶつ言ってる女神のことなんかお構いなしに、私は女神から遠慮なく力を奪い続けます。
【どうして、なぜ、私のところに……来れた、のです……】
立っていられなくなったのか、膝を落とし、四つん這いの姿勢になった女神が苦しそうな表情を見せながらも私に問うてきました。
意識体であるはずの女神ですが、私のこうあるべきという思念の前に、その姿がそんな格好の悪い姿で具現化してしまっているのです。
うける~。
「ヒント、三精霊の意識体――。ひどい女神さまから見捨てられた精霊さんの意識体、私が有効活用させてもらってるわけです。あんだすた~ん?」
【う、くぅ……】
「そんなわけだからあっちはあっちで、今も変わらずお相手させてもらってますけどね。ほんっと、アンタうざいわ。もういい、消えちゃって」
私はそう言いながら吸収のペースを上げていく。
【や、やめ……ろ! 我には我の考えがあっ……、そん……な……】
最後まで高圧的な言葉を残し……、
女神の意識体の圧があっけなく消えました。
私はスライム体からミーアの姿に再び戻り、足元で四つん這いになったまま真っ白な、まさに大理石の石像のようになった女神を見下ろします。
苦痛にゆがんだ顔で固まったクソ女神の顔。
私は腰を落として女神と向かい合い、その額にデコピン入れてやります。
それをきっかけに女神像全体に細かく亀裂が入り、ついには形が維持できなくなって、その場に白い粉となって崩れ落ちてしまいました。
その瞬間、どこからか、なんとも言えない暖かな何かが私の体に流れ込んできました。
…………。
……………………。
「ふ~ん……、めんどくさっ」
私は改めてただの白い粉になってしまった、女神の痕跡を見つめます。
「女神フェリアナ様――。腐っても神。……どうせ死滅なんてしないんでしょ? また一から出直してきてね!」
さて、謎空間に戻りますか。
***
戻ってみれば相変わらず膠着状態は続いていました。
ですが、私がその場に現れたとたん、ずっと向こうからかけられていた圧が止まりました。
うざいストロボ発光がやみ、スライム体の硬直化も止まりました。
私はその間にふーちゃんと合流、一つのスライム体に戻りました。
光の集団がぽつぽつと次第にその数を減らしていきます。
ああら?
どうやら終わった感じ?
みるみるうちにその数を減らしていく光集団。
【……する】
まだ残ってる中の一つの光が明滅を繰り返して何か意思表示してる。
つうか、何か言ってる?
「よく聞こえな~い? も一度お願い?」
ダメもとで聞き返す。
【新たなΘεόςよ、歓迎……する。σταυρόςκόσμος……を楽しみ……たま……え】
ええぇ……。
切り替え、はやっ!
でも。
「ぱす!」
次回で完結!




