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6-69『決闘の破壊者』

<戦況>:

「北東」:ノーウェVSジャネット&シーア

「舞台中央」

 <無法者連合>:リバー、レミ、ジャック、ミモレ、ハリー、クレハ、イッチャ、コナース、ハービー、ボリス(10名)VS

 <公爵令嬢連合>:マリー、ルー=ネルネ、メラ=アババーン、エネ=フラーム、ラウラ、ヒズ、ロクサーヌ(7名)


「中央上空」ブルート&バランVSジェシー、ルーモ、アスキー


「南東『氷柱』」:カーティス(ぼっち)

「南西『風柱』」:コト(ぼっち)



 皆さーん、トルナ=メマコーンですよー。


 途中からこの中継を観始めた方はよろしくなぁー。


 今回のこの決闘戦、キャリー先生に代わってこの私が立会人兼司会進行を務めておりますので、『土輪布山泊』のマグマよりも熱い実況解説を皆さんにお届けしますよーう。


 なお、この私の実況は、会場で生で決闘を観ている皆さんも、「あぷる」で中継を観ている皆さんも、勉強をしながら音声だけ聴いている学園入学希望の君たちにも分かるように、なるべく詳細に話すことを心がけていますのでー、君たちもギルドで初めて入るダンジョンの注意事項を聞くときぐらい集中してくれたまえよーう。


 さーて、そんなCブロック「第4戦」注目の1番、<無法者連合>対<公爵令嬢連合>の決闘ですが、いよいよ残り時間20分を切りましたよー。


 おおっとー、中央西寄りで事件発生だー。


 『水豪』ブルート=フェスタと『火煉』バラン=レンホーンが同時に放った色違いの『霧』が混ざり合った途端、爆発だあー。


 あれは、きっとブルート=フェスタの方の『水』が強すぎたんでしょうね〜。

 マグマのあるダンジョンでも安易に水魔法を使うと大量に蒸気が発生したり、爆発するから気をつけるんだよー。


 さあ、舞台中央でも動きがあったぞー。


 <無法者連合>の運動神経良さそうな7人が『水たまり』の上をスイスイ歩いて『水柱』を守る<公爵令嬢連合>の本隊に殴り込みだあー。


 蛇行したり、飛び跳ねたり、急に止まったり……

 各々が違った動きをしているからこれは的を絞り辛いぞ〜?


「『氷面積ひょうめんせき』」


「「『流石打さすがだ』」」


 おおっとー、【魔花】が誇る幹部3人衆の合わせ技だー。

 ヒョウ柄大好き、『氷殻』ヒズ=ミステルが水面を凍らせ、『水門』のラウラと『石転』ロクサーヌが上空から『水』と『石』の『雨』を降らせたー。

 これは強力です!


 ああっ、ボリス=リョーツが攻撃を受けました。

 氷を割って水に落ちたところを他のメンバーからの魔法の連撃で敢えなくノックダウン。


 ああっ、そうこうしているうちに、今度はハービー=キュリアスが被弾。


 『土宮』マリー=オネットの『土の白鳥』が3匹襲い掛かったー!

 ハービーが向かった先に狙いすましたような攻撃。

 そこに来るのが分かっていたかのような見事な発動でしたぁー!


 これで、中央の戦いはあっという間に2人が脱落。両者の残りメンバーは8人対7人と拮抗してまいりましたー。

 これは、<無法者連合>側、さしものリバー=ノセックも作戦失敗かぁー?


 おおっとー、伏兵ですっ、伏兵!


 <公爵令嬢連合>が中央の『水たまり』を突っ切る部隊に気をとられている隙に囲いを東側から回り込んで3人の部隊が横槍を入れたー。


 クレハ=エジウス、コナース=イナッソ、そしてイッチャ=イマースだー。


 今度は守る側が慌てる番だぞー?


 ダンジョンでも、こうやって思わぬところから伏兵の魔物が現れたりするから、みんな気をつけるんだよー。


「『燃燃球もえもえきゅう』』」


 出たぁ、『火樽真』イッチャ=イマースの得意技、全身発火による特攻だあー。


「「『雫霧渦冷だむかれ』」」


 対抗策は、やはり<公爵令嬢連合>お得意の複合技だー。


 白い粒状の冷たい霧が『水門』のラウラと『氷殻』ヒズ=ミステルによって放たれましたー。

 これは強烈!

 イッチャ=イマースは、放水の威力で舞台の外まで吹っ飛ばされてしまいました。


「『雷玉』、『れんぞくま』」


 あー、しかし、『水』のある所にこの男の危険あり!

 ハリー=ウェルズが水浸しになった床に向かって『雷の玉』を2つ放ったぞー。


 これは流石の【魔花】幹部たちも退避せざるを得ないっ!


「「『土泥波羅どてっぱら』」」


 あーっと、その隙に、クレハ=エジウスとコナース=イナッソの相手のお株を奪うような『土』の共演だあー。


 これは敵を倒すためではないぞー分断だー。


 2つの『土の壁』ができたことによって、戦場が東、中央、西の3つに分かれましたー。


 ここからは局地戦の様相を呈してきそうです!


 さーて、他の場所にも目を向けてみましょう。


 ノーウェ=ホームと『殿上人』2人のバトルは、すでに別の特設専用「あぷる」が立ち上がっていますので、そちらでご確認くださいー。

 そっちの実況も先生、本当はしたかったよー。


 ダンジョンの天才ノーウェ=ホームなら、きっと素晴らしいダンジョン攻略魔法を色々と見せてくれるだろうからねー。


 そっちは、おいおい、じっくりと見させてもらうとして、場面変わって、北東に目を向けましょうー。


 これまで肩を組んでいたブルート=フェスタとバラン=レンホーンがようやく分裂してそれぞれ上空と地上に分かれて戦っているぞー。


 『水号』ブルート=フェスタと戦っているのは『炎格』ジェシー=トライバルです。

 『水』と『炎』……

 幼馴染同士という何やら甘酸っぱい感じの戦いですが、その内容はいやいやどうして……


 かなり白熱しております!


「『炎足馬蹴えんそくばしゅ』」


「ふおおっ『王流渦牙オルカバイト』」


 先に動いたジェシー=トライバルの蹴り出す『炎』の連弾に対し、ブルート=フェスタは数発の巨大な牙で応戦だー。


 2人は現在、学年2位と4位。

 つまり、トップを狙う実力者同士の対決ですっ!


 激しい『炎』と『水』がぶつかり合って再び上空に蒸気が何度も生まれている。


 さっきの危ない爆発だけはご勘弁願いますー!


 舞台の方では、バラン=レンホーンに対してルーモ=ピアジェ、アスキー=アーチャーの2人がコンビで戦っているぞー。


 こちらは『炎』対『風』の対決です。


 【魔花】所属、『風接』ルーモ=ピアジェと『風分』アスキー=アーチャーは激しい派閥内選抜トライアウトを勝ち抜き、先輩の実力者たちを差し置いてこの決闘に参加しているメンバーです。


 ちなみに、2人はとても噂好きなので、開設している専用「あぷる」に「いつでもゴシップお待ちしています」とのことです!


 皆さーん、ゴシップはいいけど、先生方の私生活はあまり探らないようにしておくれよー。


 探っていい秘密はダンジョンの中だけさー。


 ちなみに、私の私生活は1にダンジョン研究、2にダンジョン実地調査です。

 有益な情報があったら、いつでも先生によろしくなー!


 さあ、事態は刻一刻、状況はめまぐるしく変わっていくようです。


 残り時間はあっという間に15分。


 ここで動きがありましたー。


 動いたのは<公爵令嬢連合>だぁー。


 東に分断されていた『石転』ロクサーヌ、『灸寒蝶きゅうかんちょう』メラ=アババーン、『光軌針こうきしん』エネ=フラームがコナース=イナッソ、レミ=ラシードとの戦いから逃げるように大きな丸い『石玉』に乗って転がっていってまーす!


 向かった先は南東だー、カーティス=ダウナーの守る『氷柱』が狙いのようです。


 他のメンバーたちも、続々と動き出しているようです。


 どうやら、これは示し合わせた作戦のようですねー。


 残り15分になったら、各自が『柱』の制圧に向かうという作戦なのだと私は考察しまーす。


 これぞ、ジャネット=リファの真骨頂というべきでしょうか?


 現在、彼女は相手の総大将ノーウェ=ホームと交戦中ですが、全体のグランドデザインを初めから描いていたようです。


 そして、その期待に応える仲間のメンバーたち……


 どういった展開に動くかも分からないというのに、これはまったく驚異的なことです。


 まさに、ダンジョン内の探索が如し!

 先生、感涙ですよぉー。


 北西では、それまでバラン=レンホーンと交戦していたルーモ=ピアジェ、アスキー=アーチャーの2人が『炎柱』を狙いに向かっています。


 この『柱』は他の『柱』と違い、<無法者連合>による防衛というか、妨害というか、補強というか……とにかく、そういった工作が行なわれていません。


 まだ色が変わっていないので、ここで攻め落として、防衛に入る心積もりでしょうか?


 おおっとー、そうはさせじとバラン=レンホーン!

 2人を一気に追い越して行きました。

 ここだけレースのようになっていまーす。


 これは、元々、彼ら<無法者連合>がやりたがっていた「ELEMENTS」のようになっていますねー。


 あああっ!!


 なんということでしょーう。


 バラン=レンホーンが『火柱』に触れようとしたそのとき、爆発が起こりましたー。

『火』の使い手なのに、バランは黒コゲになってダウーン!

 これはちょっと恥ずかしい~。


 それにしても、これはいったい誰の仕業だー?


 思いがけずチャンスが巡ってきた<公爵令嬢連合>の新人2人もこれには困惑気味で、慎重に攻略を進めるようです。


 先生は分かっていますよー。

 こんなことができる男は1人しかいないー!


 そうです、かの「悪魔ダンジョンの魔王」ノーウェ=ホーム以外にあり得ません。


 彼ならきっと、ダンジョンに罠を仕掛けるぐらい、こんなことは朝飯前に仕方ないのでしょーう!


 ノーウェ=ホーム率いる<無法者連合>は、やはりこの「ELEMENTS」のゲームマスターのようだー。


 いわば、「魔王ノーウェからの出張ダンジョン挑戦状」!!


 プレイヤーである<公爵令嬢連合>は、10分近くになったこの残り時間までに果たして3つの『柱』を制圧して抜け出すことができるのかーー!!


 『柱』を制圧しようとすれば、当然、魔王の手先である「無法者」連中がそれを止めようと襲い掛かります。


 ルーモ&アスキーの勇気ある攻略者はのもとに無法者の2人、ジャック=モントレーとミモレがダンジョンの門番「ガーゴイル」顔負けの飛行で襲い掛かりました!


 皆さん、見守りましょう!


 そして、応援しましょう。


 頑張れ、ルーモ!

 頑張れ、アスキー!


 さーて、皆さん。

 のこりがついに10分に差し掛かります。


 この「ELEMENTS」ダンジョンは、極めて難解、難攻不落のダンジョンでありますっ!


 5つの散らばった属性魔法の『柱』の内、<公爵令嬢連合>はスタート地点の舞台中央『水柱』を帰還地点として抑えたわけですが、今やそこもダンジョンに巣食う怪物カップルであるハリー=ウェルズ&クレハ=エジウスの2人に攻め立てられています。


 出てくる敵がことごとくボス級。


 必死で柱を守る【魔花】幹部の2人も焦り顔です。


 北西、北東、南西、南東にある『柱』には、まさにガーゴイルのように守護者がいます。


 皆さん、国や貴族領や冒険者ギルドの管理下にない魔のダンジョンには必ずこの「ガーゴイル」が門番として入口に立ち塞がっているのですよ。


 歴史文献ではこれを「悪魔の仕業」だと言い伝えられているのですが、定かではありません。


 しかし、難しいダンジョンであればあるほど、このガーゴイルという魔物のランクも高くなるのです。

「ストーン」から始まって……

「ブロンズ」→「シルバー」→「ゴールド」→「プラチナ」となります。


 なんとなく冒険者ギルドの発行する冒険者証に似ていますね。

 これ、きっとテストに出ますので覚えていてくださいねー。


 ちなみに、最上級のガーゴイルは「マーロックガーゴイル」といいます。

 これだけ特定のダンジョン名がついているのは違和感しかありませんねー。


 さーて、本題に戻ります。


 北西にジャック=モントレーとミモレ、北東にノーウェ=ホーム、南東にカーティス=ダウナー……にコナース=イナッソ、南西にコト=シラベが加わりましたー。


 ラスト10分ではたして4つの内、2つを奪い、中央を死守できるかー。

 <公爵令嬢連合>の命運はこの10分に掛かっています!


 あーっと、1つ取った。北西がついに<公爵令嬢連合>の手に落ちました。

 ルーモとアスキーが丁寧に交代で『風』を放ち続けた甲斐がありました。


 あとは、奪い返しにくるジャックとミモレの猛攻を凌げるか……?


 何にせよ、あと1つ。

 <公爵令嬢連合>にとってはあと1つ『柱』を奪えばいいんですっ!


 ですが、ここで気になる点を先にお伝えしましょう。


 1つは、中央ですべてが始まった「水たまり」の南側でさっきから微動だにしない男……


 そうです、かの「悪魔小僧の執事」にして「大魔王に仕える大参謀」リバー=ノセックです。


 彼は、使い魔であるレミ=ラシードをあらゆる場所に送り込んではいますが、ここまで自分では何もせずに、ずっと戦況を見つめているんです。


 不気味に感じているのは私だけでしょうかー?


 残り時間、彼が何も企んでいないとは天地がひっくり返っても考えられません。


 彼をこのまま自由にしておいていいのでしょうか?


 ああっとー、やはり<公爵令嬢連合>は攻略の基本を抑えています。

 公爵令嬢が1人、派閥の長である『土宮』マリー=オネットが相棒の『未魔女』ルーネルネを従えて対峙します。


 一方のリバー=ノセックは使い魔のレミ=ラシードと共に応戦するようです。


 そうです、「悪魔小僧の執事」を自由にさせるな!

 頑張れ、マリー=オネット!

 頑張れ、ルー=ネルネ!


 ルー=ネルネには、攻撃を読むことのできる特殊な力が備わっています。

 この力とマリー=オネットによる『土人形』……『土の奴隷』や『土犬』、『土白鳥』の波状攻撃が決まれば、さしもの「大魔王の側近」といえども、楽には戦えないでしょう。


 あーっと、しかし、レミ=ラシードによる『光魔法』による目くらましと認識阻害だー。

 噂によると、使い魔であるレミ=ラシードほか何人かの「無法者」メンバーは、帝国裏社会のドンと言われる、「暗黒界の女首領」から魔法を授かっているらしいのです!


 この隙にリバー=ノセックによる『土の剣』、『土の槍』、『土の矢』が一気にマリー=オネットの『土人形』たちが破壊されていく……


 やはり強い!

 しかし、大丈夫だ!

 何度も何度も挑戦してそこにリバー=ノセックを縛り付けておくだけでも意味がある。


 残り時間5分を切りました。


 おおっとーーー!


 また動きがあったーーー。


 今度は北東だーーーー!


 ノーウェ=ホームと戦っていたジャネット=リファとシーア=ベンが隙を突いて、あの最も難しいと思われていた『堅土の巨塔』の宝具の色を変えたぞーーー。


 ここらへんは実にしたたかだーーー。


 大魔王と真っ向勝負をしながらも、その頭では冷静にこの「ELEMENTS」に勝つ作戦を練っていたようです。


 さすがは『殿上人』。


 さすがは「戦略の大家」、『風華』ジャネット=リファです。


 ……しかし、皆さん。


 まだ油断してはいけません。


 覚えていますか?


 大魔王の予言を……


「残り1分までにノーウェ=ホームを倒せなければゲームオーバー」


 そうです。

 私が懸念していた点の2つめです。


 ダンジョンというものはときに理不尽なことが起こるのです。


 なんでもない平凡な階層に急に「怪物級」が現れたり……


 宝まで目前かと思ったら罠に掛かってしまい退却を余儀なくされたり……


 ついに最下層を攻略したかと思っていたら宝の目の前でとんでもない「大怪物」に出くわしたり……


 ……いよいよ残り1分になろうとしています。


 どうやら「大魔王」本体を倒すことはできなかったようです。


 これから一体何が始まるというのか……


 私の予想……いえ、予感ではこれからきっと、「大魔王」によって、理不尽な「破壊」が行なわれるはずです。


 見守りましょう。


 頑張れ、ジャネット=リファ!


 頑張れ、シーア=ベン!


 頑張れ、<公爵令嬢連合>!

ここまでお読みいただきまして、本当にありがとうございます。

もしこの物語を面白い!と気に入っていただけたら、どうか、いいね、評価、ブクマ登録をよろしくお願いいたします。今後の執筆の励みになります。


以上、「あぷる」による音声解説でした……!


次回、決着……!

ノーウェはどんな結末をもたらすのか……?


ノーウェと仲間たち(とブルート)の活躍に乞うご期待!


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