コラム:零戦の燃料タンク
三菱の資料と海軍の資料が一致しない。
同じ52型でも三菱の正規資料だと570L、海軍の正規資料だと750Lになっているし。
で、信用出来る数字は21型んも胴体内140Lと翼内380Lの合計520L、そして32型の胴体内60Lと翼内420Lの合計480Lという数字。これは発動機換装に伴う措置であるから明確な数字であるから信用出来ると考えているのだが・・・・・・これは三菱側の資料によるもの。
んで、二号零戦問題で22型が開発されたことでタンクの配置がまた変化し、外翼に2箇所で合計90Lのタンク増設が行われる。これで、570L。これも三菱側の資料と一致する。まぁ、当然だろう。三菱側の改良による数字の変化での増減なのだから。
で、52型丙で座席後方に140Lの内袋式防弾タンクが増設される。これで52型丙は従来の570Lと140Lで710Lとなる。海軍側の資料にこれで近づくが、まだ誤差がある。なんせ、海軍は750Lと言い張っている。だが、そうなると52型丙以後の数字については三菱の資料では座席後方の分が含まれていない数字のままとなっていることになる。
さらに52型丙から発動機換装した53型の派生型である63型では更に増設タンクが主翼下150L2個へ変更になっている。これの原文を読む限りでは座席後方から移設されたことになるわけだが、問題は「2個」という言葉の読み取り方である。増設タンクは2個であって合計して150Lなのか、150L2個で合計300Lと考えるかだ。仮に前者であれば、710L→720Lとなるのでそれほど違和感はない。だが、後者であれば570L+(150L×2)=1070Lということになる。ぶっちゃけ増槽要らない数字になる。
というわけで、信用出来る数字と信用出来ない数字を切り分けてみたが、まぁ、ちゃんと検証しないと一次資料に近いモノであってもおかしな数字がちらほらと出てくるモノだ。




