12 クリスマスイブの夜
シャンシャンシャン……
深夜、どこからか、鈴の音がひびいてきた。
ふと、三太はセナのベッドからぬけだして、まどべによった。
カーテンをあけると、そこはまっしろな銀世界。
まちがねむりについてしずかななか、まっくらなはずなのに、はれた空にぽっかりとうかぶ月にてらされて、せかいはほのかにあかるかった。
ほしはまるでおちてきそうなほど、チカチカとまたたいている。
シャンシャンシャンシャンシャンシャン……
鈴の音はたしかにひびいている。
三太はまどをあけた。
びゅう、と真冬の風がふきこんでくる。
そこに、まばゆい光がさしこんだ。
パパとママはおもわずふるえて、目をさました。
そして、まどからまばゆい光がさしこんできていることにぎょうてんした。
モカもベッドからぬけだして、その光に「ワンワン」とほえかかる。
「セ、セナ、おきて!」
ママがあわててセナをおこした。
セナはねぼけた目をこすり、ふとんからおきあがる。
そして、まどのほうを見て、びっくりした。
「セナ。サンタクロースがきたよ」
ふりかえった三太がはっきりと、そういった。
まどの外にはトナカイをつないだソリがうかんでいた。
そのソリには赤いふくをきて、白いひげをたくわえたおおがらのおじいさんがのっている。
「ホゥホゥホゥ」
にこり、とわらってそのおじいさんはひくい声でそういった。
「ホゥホゥホゥ!」
それにこたえて、三太が高いこえでおなじようにいう。
「三太、むかえにきたよ」
サンタクロースがそういうと、三太はまどわくにとびのって、ソリにとびうつった。
「どうにかはぐれのながれぼしをつかまえた。三太はそれにのっていっしょについておいで。わしは今夜しごとがあるからね」
見ると、ソリの横にはきらきらとしたしっぽをもったおおきな銀色のほしがいるのだった。三太はそれにのり、サンタクロースをきらきらしたまなざしでみつめている。
ほっぺたはまっかになって、とてもうれしそうだ。
「セナ。きみの手紙はきちんとわしのもとにとどいたよ。当日になってしまってすまなかった。クリスマスの準備がいそがしすぎて、むかえのながれぼしをつかまえるのがおそくなってしまったんだ。ああ、今夜ははれてよかった。ちょうどよく、はぐれのほしをつかまえられた」
三太はこんどこそ、ころがりおちないようにほしにしっかりつかまっている。
「さあ、セナ。いい子にはおくりものをしよう。なにがいい?」
サンタクロースは座席にのせた白いおおきなふくろをごそごそやった。
セナは、ぶんぶん、とくびをふる。
「今年のプレゼントはもうもらいました。だって、ほんとうにむかえにきてくれんだもの! それだけで、わたしはじゅうぶん……」
でも、三太とはこれでおわかれなのだ、と思うと、セナはきゅうにかなしくなって、なみだがこぼれてしまった。
「おやおや。さみしいんだね。じゃあ、さいごにとっておきのプレゼントをしよう。パパとママとモカと夜空をさんぽしてみるかい?」
「夜空を……さんぽ?」
パパもママもおどろいてしまって、ただ、ぽかんと口をあけ、そうといかえした。
「ホゥホゥホゥ! さあ、クルージングへでかけよう!」
つぎのしゅんかん、パパとママはサンタクロースのソリに、セナとモカは三太ののるながれぼしの上にいた。
ふわりとうきあがり、いっきに空のなかへ!
まちのあかりがきゅうに小さくなって、まるでみんなはほしになったみたいだった。
真冬の空の上なのに、ぜんぜんさむくなくて、とってもすてきだった。
びゅんびゅんと風を切って、飛んでいく。
「三太! すごいね!」
セナは横にいる三太にはなしかけた。
「うん。セナ、ありがとう、ありがとう!」
「三太、これからおしごとがんばってね」
「うん。がんばる。りっぱなサンタになるよ」
すてきな空のたびだった。




