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【花に託した~・小話】おくりもの

本日はバレンタインということで突発的に浮かんだお話

30分クオリティ……

ここ最近のユウは正直ウザったい。


ソワソワしながらユリちゃんの前を行ったり来たり。


ユリちゃんは雑誌に夢中だから気づいていない。

うん、あれは本当に気づいていない。

ユリちゃんて一度集中すると周りが見えなくなる癖がある。


ユウは気づいていないけどね。


ユウがウザい理由は2月14日がヒント。


毎年段ボール何十個分と貰っているがユウが欲しいのは世界でたった一つ。


ユリちゃんからの贈り物である。


特に今年はユリちゃんが日本に帰ってきて初めてだからな~


「ユリ、ユリ」


ユリちゃんの肩を揺すると雑誌に釘付けだった視線が俺に向く。

パチパチと瞬きをする彼女の表情は実年齢より幼く見えるが本人が気にしているので口にはしない。


「シンさん?」

「いい加減ユウの話聞いてあげて。かれこれ3時間あのまま」

ウロウロしているユウに視線を向けるとユリちゃんは苦笑いを浮かべた。

「あー、今年もか」

「ん?今年も?」

「あれは毎年恒例だから気にしなくていいよ」


ユウのあれは今年限定じゃなかったのか……


「前日までずっとああだからシンさんも気にせず自分のことをやって?」

「まあ、俺は書斎に籠ればいいだけだけど……あれが毎年14日まで続くの?2月に入ったばかりなのに!?」

「うーん、今年は明後日からツアーが入っているから多少は静かになると思うよ?」

壁に掛けられたカレンダーにユウの字で青いペンでツアー日程などが書き込まれているのを確認する。

「年末までびっしりと日程組まれているな」

「今年は全国ツアーだからね。今までは大都市圏だけで地方のファンからクレームもどきが届いてね。知名度も上がってきたことだしということで全国ツアーが決定したんだって。今年は1年の半分も家に寄れないって愚痴っていたわよ」

「なるほどね……だが、正直ウザいから話だけでも聞いてあげて?話聞くだけでいいから」

いまだウロウロしているユウを見てため息をついたユリちゃんは立ち上がると一旦部屋を出ると小さな紙袋を持って戻ってきてユウに渡した。


ユウは中身を取り出し、泣き出した。

あー、この光景は学生時代を思い出すわ。

ユリちゃんと疎遠になるまで毎年繰り返し見ていた光景だ。

小学生だったユリちゃんからチロルチョコを数粒貰っては号泣していたんだよな。


ユウはお目当ての物を貰えたからか、上機嫌で出かけて行った。


「ミッション完了ってところかな」

ユウを玄関まで見送ってきたユリちゃんもどこか嬉しそうだ。


「今年はチョコのほかに何をあげたの?」

「コサージュだよ。演奏に邪魔にならない程度の小さなものだけどね」

「ユウの喜びようからすると何か仕掛けた?」

「とくには……ああ、今回はバラじゃなくてヴァーベナにしたの」

「『家族の団らん』という意味か、ファンを『魅了する』という意味か……受け取り次第だな」

「相変わらずシンさんは花言葉に強いね」

「母親の影響をもろに受けたからね」


その後、俺とユリちゃんはユウの乱入という妨害を排除した後、自宅デートを楽しんだである。



**2月14日当日**

「ハッピーヴァレンタイン!」

ヴァレンタイン当日の朝、通勤前にユリちゃん唯一の手作りチョコと11本の白いバラを玄関先で渡された。

「よく起きれたね」

「目覚まし5個用意したもの!」

エッヘンと胸を張るユリちゃんからチョコとバラを受け取り、少し待ってもらい花を活けてから駅までを手をつないで歩いていく。

「11本の白いバラか……来月を楽しみにと言っておこうかな」

「倍返し楽しみにしています」

クスクスと笑うユリちゃんだけど、たぶんそれほど期待はしていない感じがする。

まあ、来月驚くユリちゃんを堪能するために準備に力を入れるとしよう。



まだ『確約』はできないけど『予約』くらいはしたいと思っているんだよね。

来月の倍返しは3倍どころじゃなくなるかもしれないけどいいよね。


ただ、99本にするか108本にするか999本にするか悩んでいるんだけどな。

さすがに999本は重いかな(花の重さじゃなくて俺の想いの重さが……)


ユウに相談したら段階を踏めって言われそうだから黙っているけど……

あいつのユリちゃんセンサーは敏感だから悟られないようにしないとな。


大学時代の友人のあいつに相談してみようかな。

まあ、あいつに相談したら999本一択といいそうだけどな。

あいつも自分の彼女にはかなり甘くて重い感情を抱えているからな。


ユウ曰く、俺とあいつは同類だそうだ。

『愛が重い』とよく言われるが俺たち自身は実感していない。

まあ、重いと思うかはユリちゃん次第だと思うんだよね。


だが、俺はあいつ……日向黒兎よりは重くないと思う!



シンも黒兎もどっちもどっちだと思うけどね~(笑)


【白薔薇の花言葉】

清純、純潔、私はあなたにふさわしい、相思相愛

今回は『相思相愛』をメインにしたかったけど表現できてない。


【バラの本数】

1本:一目惚れ

2本:二人だけ

3本:告白

6本:夢中

7本:密かな愛

11本:最愛

99本:永遠の愛

108本:プロポーズ

999本:何度生まれてもあなたを愛する


だそうです。



ちなみに、シンとユリは同じマンション住まい(お隣さん)、ユウは実家住まいという設定。


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