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ショートショート4月~2回目

束縛

作者: たかさば
掲載日:2021/04/09

「これでいいかしら?」

「ここの角が少しずれている、直すように」


―――ショーケースに並ぶカードが少しだけ、ずれている。


「……あなたって、本当に細かいのね」

「几帳面であることは長所だと、認識している」


―――ショーケースに並ぶカードが、美しく整列した。


「本当にA型っていうか。典型的なA型人間って感じがするよ」

「血液型は関係ないだろう。僕は僕という個人であり、血液型という括りで決めつけないでくれ」


―――ショーケースに並ぶカードを、満足げに見つめる、男性。


「そう?でもあなた、とても血液型占いの特徴を持っていると思うけれど」

「失礼な話だ、その辺の一般人と一緒にしてもらっては困る。僕という個人を見たまえ」


―――ショーケースに並ぶカードを、ぼんやりと見つめる、女性。


「別に私の意見は、私が自由に持ってもいいものでしょう?」

「持っても構わないが、それをわざわざ伝える必要はない」


―――ショーケースに並ぶカードを、満足げに見つめる、男性。


「では、私はあなたに、何を伝えたらいいのかな?」

「僕個人に対して思う、君の素直な、感情を」


―――ショーケースに並ぶカードを、ぼんやりと見つめる、女性。


「あなたは、私にとって…そこら辺にあふれているA型の人の一人でしかない」

「血液型は、関係ないと言っているじゃないか!!」


―――ショーケースに並ぶカードを、ぼんやりと見つめる、女性。


「血液型は、関係ないけれど。でも、無関係では、ないかな?」

「どういう意味だ?僕はもう、血液の話をするつもりはない」


―――ショーケースに並ぶカードを、ぼんやりと見つめる、女性。


「ねえ、このカードを見て、どう思う?」

「美しく整列しているね。僕と君の成果だ」


―――ショーケースに並ぶカードを、ぼんやりと見つめる、女性。


「……カード一枚一枚を見ようとは思わない?」

「一枚一枚堂々と誇らしげに並んでいるね、見事な配列だとしか言いようがない」


―――ショーケースに並ぶカードを、一枚、二枚と、拾い上げる、女性。


「何をするんだ!配列が乱れるじゃないか!!!」

「あなたのカードには、一切触れていないから、安心して?」


―――ショーケースに並ぶカードを、次から次へと拾い上げる、女性。


「そういう事を言っているんじゃない!やめるんだ!!!」

「このカードは、私のカードなの……あなたにどうこう、言われたくないな。」


―――ショーケースに並ぶカードが、どんどん減ってゆく。


「あああ!せっかく並べたのに……なぜ、こんなことを」

「私、どうしても…A型人間が、好きになれなくて。」


―――ショーケースに並ぶカードが、どんどん減ってゆく。


「血液型ではなく、僕を見るんだ!!!」

「私、どうしても…あなたが一般的なA型人間にしか思えなくて。」


―――ショーケースに並ぶカードが、どんどん減ってゆく。


「だから!!!僕という個人を見ろ!大多数のA型人間と一緒にするな!!!

「大多数の一人でありたくないのなら、私じゃない誰かの唯一になれば良いと思うの」


―――ショーケースに並ぶカードが、どんどん減ってゆく。


「君の唯一でなければ、意味がない!!!」


―――ショーケースに並ぶカードが、どんどん減ってゆく。


「でも私はあなたを唯一と思えないし、思いたくないもの」


―――ショーケースの中から、女性のカードが一枚もなくなった。


「あなたと同じショーケースには、並びたくないの」


―――女性がカードを確認している。


「細かいルール、奇妙なこだわり、つまらない常識……あなたに合わせて並んでみたけれど」

「あなたは自分のカードと共に並んでいることに満足して、私のカードを見ようともしなかったわ」

「美しく並んでいる私のカードには、ずいぶん伝えたい気持ちが溢れていたのだけれど」

「私は、あなたと共に美しく並び続けたいと……思えなくなってしまったの」


「僕は並びたい、並ばせる!!そのカードを…貸せっ!!!」



バララララら……!!!!



―――女性のカードが、辺り一面に散らばり……スッと、消えた。


「あ、あああ!!!カードが……カードがっ!!」

「私の知らないところで、あなたはあなた個人を謳歌したらいいと思うよ」


―――恋愛というショーケースに、男のカードだけが並んでいる。


「大多数の中の一人としてでなく、あなた個人を見つめてくれる人が現れるといいね、さようなら」


―――恋愛というショーケースの前から、女性が消えた。


「こんにちは、カードを並べてもいいですか?」


―――恋愛というショーケースの前に、新しい女性が現れた。


「ええ…どうぞ。穴が開いているので、そこを埋めていって下さい」


―――ショーケースに、女性のカードが並べられてゆく。


「キチンと揃えて並べてくださいね」

「……これでいいですか?」


―――ショーケースに、女性のカードが並べられてゆく。


「ああ、奇麗に並んだ、これは素晴らしい!!」

「でも、見た目だけですよね?」


―――ショーケースに、女性のカードが並べられてゆく。


「ここ、入れ替えた方が良いと思いますよ」

「このカード、汚れてるから捨ててください」

「ここ、順番おかしいから置き換えました」

「このカードは書き変えないとダメな奴です」


―――ショーケースに、みっちりと並んだ、カード。


「僕のカードを勝手にいじるのはやめて頂きたい!」

「あら、でもいじらなければ、美しくならないわ?」


―――ショーケース内に、規則正しく、美しく並ぶ、カード。


「なぜ勝手なことをするんだ!!!」

「こんなに美しくなったのだから、いいでしょう?」


―――ショーケースに並んだカードを、誇らしげに見つめる、女性。


「とても美しいわ、もっと美しくしていかねばなりません」

「もうやめてくれ!!!」


―――ショーケースに並んだカードを、憎々しげに見る、男性。


「ここも改善の余地がある、ここも余裕がある、ここは広げたらより魅力が増す……」

「やめろといっている!!!」



ガッシャアアアアアアアん!!!!!!!



―――男性がショーケースをぶち壊し……欠片もカードも、消えてしまった。


「あら、何でそういう事をするの?」

「僕はもう……カードを並べたくなど、ない」


―――男性はただ漠然と、立ち尽くしている。


「せっかく、奇麗に私とあなたのカードが並んでいたというのに」

「それはあんたの自己満足だ。俺は認めてなど……いない」


―――男性はただ漠然と、立ち尽くしている。


「あら、そう?でも私は、あなたを認めているのだけど」

「あなたという存在は、この世にたった一人ですもの」

「あなたと出会えて、本当に幸せよ、私」

「恋愛なんて入れ物、必要ないじゃない?」


―――男性はただ漠然と、立ち尽くしている。


「あなただけを見つめていきたいと思うわ」

「あなたの事を、見つめているだけで幸せなの」

「あなたがいる、それだけで私」


「だってあなたは、私を虜にした、唯一だもの」


―――男性はただ漠然と、立ち尽くしている。

―――男性はただ漠然と、立ち尽くしている。


―――男性はただ漠然と、立ち尽くしている。


―――男性はただ漠然と、立ち尽くしている。



―――女性は男性を抱きしめた。


―――女性は男性を抱きしめたまま、うっとりとしている。


―――女性は男性を抱きしめ続けている。



「 に が さ な い わ よ ? 」



―――女性が、力を込めて男性を抱きしめた。



パ、パリ―――――ン……



―――男性が、砕け散った。


「……あら、大変」


―――砕け散った男性の欠片は、消え去る前に……女性に集められた。


「……よかった、これで」


―――砕け散った、男性の欠片は、女性に、飲み込まれた。




「 永 遠 に 、 一 緒 だ ね 」




―――女性が、一人ぼっちで……幸せそうに、微笑んだ。


A型の人、怒らないでください(。>д<)

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― 新着の感想 ―
[一言] カード、とは? 神経質というか生真面目というか几帳面というか。そういうのねー。はい。
[良い点] カード並べが実に視覚的でイメージしやすいのです [気になる点] うぇーい。うまうま [一言] しっかしひでえ男ですこと。その辺にいっぱいいるわ
2021/04/09 21:53 退会済み
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