7-7 世界神は今日もいい加減
「あぁ~、スキルとかアビリティとかめんどくせーなー」
何もない空間で世界神は相変わらずぐでーっとしている。
「というか、昔作ってほったらかしてたけど、これ結構リソース喰ってるよなー」
スキルやアビリティを付与する際のいいことは人の強さを簡単に見ることができることである。
「勇者を異世界からつれてきてちょちょいっとやるには便利なんだけどなぁ」
この世界神、基本思い付きでシステムに増設を繰り返したので、システム構築時は対してリソースを消費していなかったシステムも、人口増加も相まってかなりのリソースを喰っていた。
「止めちゃって別のことにリソース割く方が時代が動きやすくなるかなぁ」
スキルやアビリティは個人にランダムで割り振っているが、それによってそれに頼りきったり、鍛錬を怠ったりする人間が多いのも事実である。
世界の管理者としては、社会が進むか戻るかは関係なく、とりあえず変化してもらえればそれでいいので、スキルやアビリティの付与を偏らせたりする方法もあるのだが
「なーんでみんなあんなろくでなしになるのかなぁ?」
だいたいがワンマンの他人の言うこと聞かないクズになってしまって、社会をかき回して終わり。というケースがほとんどである。
「その点、異世界から引っ張ってくる勇者はらくでいいよねー」
なんか軍人と学生だったらしい2人のことを思い出しつつ世界神はゴロゴロする。
「しかし、まさか魔王と王国を和解させて勝手に私を通さずに帰っちゃうとかずるくね?」
しかも知らない間に異世界からなんかいっぱい来てるし。
「こうなったらスキルとアビリティは廃止しちゃおう。なくてももう勝手に世界は動くでしょ」
考えなしなのはいつも変わらず、他力本願なのも変わらず。
ふわふわとした行き当たりばったりに管理される世界もたまったものではないが、案外住んでる人間にはわからないので、神様はありがたがられるのである。
「決めたら即行動だよね!」
えいっと軽い感じで世界を組み替える世界神。
特にそのアフターフォローとか考えずにやっちゃうあたり、ほんとにどうしようもない奴と言った感じだが、自分を崇める神殿と信仰がスキルとアビリティのシステムに依っているということも完全に頭から抜け落ちていた。
「うん、じゃあこの余ったリソースどうしよっかなー」
あたらしいおもちゃを貰った子供の用にウキウキと世界神は世界をどう変えるか考えている。
もっとも、この時世界神がきちんと確認すればわかったことなのだが、「完全には」リソースが解放されていなかった。
世界神が影響を及ぼせるのは、自分の世界のみ。
勝手に自分の世界にスキルを持って帰った若干数名がいることを忘れていたのである。
そのスキルとアビリティを消されたタイミングがわりと騒動の元になったりするのだが、そんなことは世界神には関係ないのであった。




