6-13 自衛官、王様爆発しろと思う
「やりすぎは良くない。と学んだはずではなかったのか」
俺はぼやきながら使節団と共にランシュタット王国という国の王城を歩いていた。
最大国家のスタインバルト皇国とかいう国の軍主力を消し飛ばした結果、かの国は内戦状態に突入し、交渉どころではなくなってしまった。
仕方ないので、隣の結構大きい国と交渉しようと言う話になったので、いまこの王城にいるのである。
皇国軍を消し飛ばしたのが俺達とはまだ広まっていないはずだが、いきなり王様が会ってくれるらしい。
まともに交渉できるといいね。
「卿らの要求は全て飲もう」
王様はこちらが出した要求にあっさりそう言った。
まぁ要求自体は、完全な状態の魔導騎士とその設計図、資料の引き渡しと魔導騎士研究者のこちらの研究への全面的な協力といったもので、資源とかは要求してないとはいえあっさりすぎるだろ。
横に座ってる王女様とか周りに立ってる大臣らしき人達とか驚いてるし。
「あっさりですね」
使節団の日本側責任者である警察庁から出向の交渉人が言った。
アメリカ側責任者の陸軍中将は不満顔である。うん、お前はとりあえずぶっ放したいだけだろ。
「皇国のように軍主力を消し飛ばされたら困るからな」
ばれてーら。
けど、王様以外がザワザワしだしたところを見ると、王様以外はわかってなかったみたいだな。
何者だ?見るからに日本人て感じではないが。
「あ、そうだ」
思いついたと言った感じで王様が言った。
「見返りなしはあれだから1つだけお願い」
「なんでしょう」
「カレーが食べたい」
やっぱ日本人には見えないんだけどなぁ?
結局、需品科に急遽作らせたカレーを米軍のUH-60が空輸して会食することなった。
こちらは交渉団全員、むこうは王様と王女様2人。というかこいつ重婚してんのかよ。爆発しろ。
「いやぁ、久しぶりだなぁ。こうなるとカップ麺とかも食べたくなるなぁ」
王様はご機嫌だが、姫様は前に置かれたカレーライスを見て戸惑っている。
「日本人なんですか?」
疑問に思ったので聞いてみる。
「うーん、いや、多分日本人としての俺は電車に轢かれて死んでますよ。いわゆる転生というやつですね」
王様はあっさり言ってるけど、姫様2人がすごい顔して見てるぞ。
言ってなかったな。
「一応、前世?の名前を聞いてもいいですか?」
警察官な使節団長が王様に元の個人情報を根掘り葉掘り聞いている。
「日本に情報を送って確認しないとわかりませんが、話を聞く限りは日本人だったんでしょうね」
まぁ、さっきから日本語で話してるしね。
「そういうわけなんで、そっちの軍事力はわかってるんで、敵対したくないです」
あっさり条件を飲んだ理由はそれか。
結果論としては、最初からこっちの国に来たらよかったね。っていう話だな。
まぁ、嫁2人に睨まれているこの王様はあとでこってり絞られるのだろう。ざまぁ。
それにしても転生者か。
初めてのケースだけど、扱いはどうなるんだろうね?




