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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第6章 いつつめの世界 ~二足歩行のロボットって人くらいの大きさが一番便利なんじゃね?~
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6-1 転生者は機動戦士の夢を見る

あ、俺死んだわ。と思ったのは、目の前に迫ってくる電車が見えた時。


もともと混雑がひどい朝の通勤ラッシュ。

そこに乗り入れ線の人身事故による遅延。

ホームには人が溢れかえり、やっと動き出した電車もすし詰め。


押されたというよりは、押し出されたと言った感じ。

普通なら踏み止まる程度の軽い衝撃。しかし、徹夜明けでフラフラの体は反応できずに転がり落ちた。

走馬燈は見えないけど、スローモーションにはなるんだなぁ、とか俺のせいでまた電車が遅れるんだなぁ、とかどうでもいいことだけが頭を巡っていた。




次に意識がはっきりしたのは、どこかの部屋の中。

柵で囲まれたベッドの上であった。


寝返りはうてるが、体は満足に動かせない。

まさか事故の後遺症で寝たきりにでもなったのかと思ったが、こちらに笑顔を向けて抱き上げる女性がいきなり胸を露出させてきたことで疑問は解けた。

どうやら俺は赤ん坊になったらしい。


何故かはわからないが、とりあえずありがたく胸に吸い付きながら、さてこれからどうしたものかと思案したのだった。




すぐに大きくなり、読み書きもできる歳になった。

それでわかったのは、どうやら元の世界とは全く異なる世界らしいこと。

そして、その世界でそこそこいい家に生まれたということである。


技術水準はせいぜい中世から近世。

インターネットはもちろん、テレビはおろか日刊新聞すらない。

退屈な世界だろうな、と思っていた俺はあることを知りその認識を改めた。


魔導騎士。

身長10~20m程度の魔力で動く人型ロボット。

胸部にコクピットがあり、人が直接乗り込んで操縦する。


ロボットに乗り込んで戦うなんて、ロマンしかない!

これは是非とも乗ってみたい!


そう決意した俺は、早速どうすれば魔導騎士に乗れるのか調べ始めたのだが・・・それはあっさり叶うことになった。

家にあったのである。


この世界で魔導騎士は重要な戦力であり、ある程度の領地を持つ領主は必ず数体の魔導騎士を持っているのだという。

つまり、うちはある程度の領地を持つ領主だったわけである。

俺がむしゃぶりついていたのは母親の胸ではなく、乳母のものだったというわけだ。うん、他人のにむしゃぶりついてたと考えると、やはりやっておいて正解だったと思える。

前の人生の記憶があるとはいえ、母親のおっぱいに興奮してむしゃぶりついてたとか死にたくなるしな。


そんなことより重要なのは魔導騎士である。

うちにあった魔導騎士は5体。2体が戦闘用で、3体は土木作業等に従事する支援用である。

領主は騎士に乗って戦うのが当たり前という世界なので、跡取りの俺は必然その練習をさせられることになった。


魔導騎士は用途に応じて差はあるものの、背中に背負ったバックパックのようなところに入っている魔石に貯めた魔力で動いている。

魔力は、世界に散らばっている魔素と呼ばれる魔力の元が噴き出す場所に、魔力を貯蔵する装置を設置して貯めるらしい。

魔石同士で魔力を移し替えたりもできるので、魔導騎士を車に例えるなら、魔素は原油で魔力はガソリン、魔石がガソリンタンクだろう。


まず最初に乗ったのは、練習用も兼ねる小型の魔導騎士。

建築や重量物運搬など、普段は建設用の重機のようなことに使われる機体である。

操縦は簡素化されていて、どのように制御しているのか知らないが、両足のペダルで前進、後退、左右移動を、両手の操縦桿で旋回や上体の制御を行う。

この小型魔導騎士は、コクピットに保護フレームはあるものの、壁や装甲はなく実際に目視でまわりを見ながら操縦するのだが、乗ってみて致命的な問題に気付いた。


例えば、歩いたり走ったりするのは勝手に機体がバランスをとってくれるので特に問題ない。いや、揺れるし振動もひどいし、椅子の座り心地も悪いしで、ろくなもんじゃないのだが、そんなことは問題ではない。


問題は、例えば前に置かれている丸太を掴んで持ち上げる。といった動作の時である。

これがゲームなら、丸太のオブジェクトを勝手に認識してくれて、近づいて何か指定のボタンを押せば完了。となるはずだが、そんなうまい話はない。

建設重機を操作するように、ジョイスティックを動かして腕を丸太の方に動かし、ちょうどいい位置になったら手で掴む。という指示を全てジョイススティックとボタンで行う必要があるのである。


戦闘用に乗ったらさらに困惑した。

左右のステップやジャンプ、剣を振る攻撃などは、ボタン1つで出せるようになっているのだが、キャンセルができない。

あ、やべ間違えた。と思っても剣を必ず振り抜くし、ジャンプして着地点をずらしたいと思っても、何もできない。


そして、もちろん練習用と同じく、ロックオンなんてのはない。

剣を振るにしても、敵のいる方に自分で向けて接近させねばならないし、ライフルのようなもので遠距離攻撃するのも自分で照準する必要がある。


こんなので戦えるのか!?と思ったが、皆イコールコンディションだからそれでいいのだろう。

逆にいえば、何かを実装できれば大幅に有利になる。ということだと考え、俺は鼻息を荒くするのだった。

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