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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第3章 みっつめの世界(仮) ~嫌な汗が止まらない自衛官~
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3-18 自衛官、次の世界に思いを馳せる(2回目)

結局、召喚陣を魔王城と王都のものを両方破壊してくれれば、自衛隊は資料収集以外の要求はしないということで魔王とは話がついた。

問題は王国の方である。


「いや、だって、どうやってそんなの説得するんですかぁ・・・」


クリスティア第一王女は涙目になっている。

ちなみに、ドラゴンの襲撃で負傷した自衛官を、治癒魔術:上級のエリアハイヒールで治療してくれたとのことで、待遇はちゃんと王族らしくなっている。


要約してしまえば、王国への要求は魔王が相互不可侵、自衛隊が召喚陣の破壊と資料収集となる。

ちなみに、魔王は相互不可侵が履行されるのなら首を差し出してもいいと言ったのだが、自衛隊側の判断でそれを王女に伝えるのは保留している。


さんざ自衛隊に部下を倒されたのに自分は土下座して生き延びるとか、どんな卑怯者かと思ったが、自分のプライドを捨ててでも守らなければならない物があると言った魔王の顔は卑怯者のそれではなかった。

自分の命令で死んでいった部下に殉じて最後まで戦うのがいいのか、全てをかなぐり捨ててまで残ったものを守るのがいいのか、俺にはわからない。

ただ、多分、前者は物語で美化されるが、後者は卑怯者と罵られるのだろう。


「要求を受け入れてくれないなら、召喚陣の破壊はこちらが”勝手に”行いますが」


王女と交渉しているのは、警察官である。

例の省庁間の押し付け合いのあげく、某大臣の「異世界拉致は国内問題で治安問題なんだから警察の仕事だろ」という発言で派遣されることになった可哀想な交渉担当官(ネゴシエーター)である。


「ふええええ、それは困りますぅ」


自衛隊が王城にある召喚陣を「勝手に」破壊するということは、概ね王城が自衛隊の総攻撃を受けることになるということである。

ちなみに、城を襲撃するということは中身をどさくさ紛れに持ち出せるということに気付いたのか、魔王討伐の際は見向きもしなかった米軍が、完全に出遅れたから挽回してやろうという気ありありで参加を申し出ている。

現金なものである。


「大森林の森の民とか海の民とか友好関係にある勢力がいるんでしょ?そこにちょっと魔族も加えるだけです。問題ないです」

「いやいやいや、問題ありますって、子供のころから魔王は世界神が定めた敵、ってみんな教えられてるんですよ?」


ほんとあの世界神(ようじょ)は碌なことしないな。

というか、そう定めるにしては魔王の人選間違ってるだろ。


「桐島一尉、準備が整いました」


特にすることがないので王女と交渉担当官の交渉を眺めていたら、お迎えが来たようである。

元はと言えば、滝川を日本に送り届けて、報告やらなにやらしようとしていたらこの世界に飛ばされたのである。

日本人拉致を止める手立てが見つかったなら、「魔王に止めを刺す」という勇者の役目も終わりである。


期間にしてみれば大したことなかったが、結構長いこといたような気がするなぁ。

王女との交渉?が行われているオフィスコンテナの外に出て伸びをする。


ふと、大柄な魔王と目が会った。

というか、やっぱでかいな。5mはある。やはり魔王城はこいつに合わせて造られていたのだろう。


「あなたには感謝している」


突然魔王に感謝された。


「俺なんかしたっけ?」

「長い歴史の中で、初めて私の話を聞いてくれた勇者だ」


どんだけ脳筋だったんだよ歴代の勇者。

もっとも、勇者云々よりも取り巻きが問答無用で殴り掛かってくることがほとんどだったようだが。


「まぁ、これから大変だと思うけど、頑張れよ」

「なに、希望があるだけまだましさ。話を聞いてくれる人間もいるとわかったしな」


こいつこんなにいい奴なのに、なんで魔王なんだろうな。

イメージ狂うわ。魔王城の宝物庫と書庫にあった目ぼしいものは全部日本に送ったのにキレない聖者かよ。

まぁ、そもそも魔王の呼称もこの世界の人間や世界神が勝手に決めただけなのかもしれないが。


とりあえず、日本に帰ったら報告書の嵐で、トータルの派遣期間はまだ規定内だからそのまま別の世界に行けとか言われるんだろうなぁ。

どっかにのんびり温泉に入れる異世界とか無いものか。


まぁ、そんなどうでもいいことを考えながら(2度目となる)この世界を後にするのだった。

いつも読んでいただき、誠にありがとうございます。

元々、数日分のストックを持って1日に0.5~2話書くというスタイルでやってきましたが、数日間全く書けない日があったため、現状ほぼ自転車操業です。

なるだけ1日1話は続けたいと思っていますが、今後場合によっては更新が滞るかもしれません。生暖かい目で見守ってもらえますと幸いです。

評価や感想はいつでもお待ちしていますので、これからもよろしくお願いします。

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