表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第3章 みっつめの世界(仮) ~嫌な汗が止まらない自衛官~
42/170

3-17 自衛官、魔王に会う

一際厳つい扉の前に魔王城制圧部隊が集結している。

魔王城で残るのは、この扉の先の部屋だけ。つまりこの先に魔王がいるはずである。


というか、廊下が広いのをいいことに、軽装甲機動車(LAV)や高機動車を乗り入れさせたので、全体の制圧が予定より早く済んでいる。

車両には12.7mm機関銃を搭載できるように改造が施されているので、火力の底上げにもつながっているし、84mm無反動砲(カール・グスタフ)110mm個人(パンツァー)携帯対戦車弾(ファウスト3)を普通科が携行する必要がなくなったことも大きかった。


「扉を開けたら、軽装甲機動車を先頭に普通科が突入、必要に応じてパンツァー(L)ファウスト3(AM)カール・グスタフ(ハチヨン)を使用するから、絶対に続いて入らないように」


突入を前に滝川とマリア(メイド)に作戦を確認する。


「安全が確認できた後、中に入って魔王に止めを刺す」

「うまくいきますかね?」

「魔王がドラゴンより固くないことを祈ろう」


現状、この世界にいる中央機動連隊で最も貫通が高いと思われるのは、中距離多目的誘導弾か96式多目的誘導弾、もしくは105mm戦車砲の装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)のどれかである。

残念ながらその全てが魔王城の中では使えない。

誘導弾2種はその特性上、近すぎる目標には誘導できないので、建物内での使用には向かない。

機動戦闘車のほうは、いくらこの建物が巨人用に造られているといっても、機動戦闘車が主砲を振り回すようにはできてないだろうということで、外で待機している。


つまり必然的に、ハチヨンやLAMで貫通不能だった場合、そとまで誘い出す必要があるのだが、ここまで来るのにかかった時間を考えると、外にでるまでかなりめんどくさそうである。


「発破30秒前!」


扉にカギがかかってないとは考えないのだろうか?

というか、高機動車で引っ張れば開きそうな気がするが。


「5秒前!3、2、1」


ズゴォンと大きな音が響き、突入用爆薬が点火されたようだが・・・


「開いてないですね」

「そうだな」


爆薬の量が足りなかったのか、扉が異常に頑丈なのか。


「あれ、普通に開きますよ?」


扉の様子を見に行った自衛官が、扉に触ってみたらその見た目に反して軽く開いてしまったらしい。


「中の様子はどうだ?」


カギもかかっていないということはここに魔王はいないのか?

と、中を覗いた自衛官が固まってしまっている。


「どうした?」


小隊長が怪訝な顔で近づいて行って、中を覗き込む。

するとその小隊長も同じように固まってしまった。


「もしや、なにかの魔法攻撃か!?」

「石化の魔法か?使えたら有用そうだな」


俄かに部隊が騒がしくなる。

その隙に前に出て、扉の中を覗きこんでみると・・・


魔王と思しき大男が土下座していた。





土下座していた魔王の話を要約すると、


・この魔王が召喚されてから、そもそも他種族の土地に侵攻したことは一度もない。

・魔物や魔族と呼ばれる種族は魔王城を中心としたエリアから基本的に出ていない。

・侵攻する気はないから仲良くしようと人間に使者を送ったら切り殺された。

・前に勇者が来たときは勇者と話をする前に取り巻きの集中砲火を浴びた。


ということらしい。

そして、この世界の召喚についても聞くことができた。


「つまり、ここ魔王城の地下に魔王の召喚陣があって、おおよそ100年周期で魔王が召喚されると」

「そうです、というか魔王に関しては召喚というより復活ですね。前の魔王も、前の前の魔王も私ですから」


今は魔王から状況に関する聞き取り調査中である。


「勇者は魔王が復活すると召喚できるようになる?」

「王都の召喚陣を使って召喚できるようになるみたいですね」

「つまり、魔王城と王都の2つの召喚陣を破壊すれば、今後勇者召喚が行われることはない?」

「そうなるでしょうね」


鵜呑みにするわけにもいかないが、聴取には協力的である。


「なんで、人間から討伐の対象にされてるの?」

「私は10回ほど復活してますが、1度も人間の領域に攻め入ったことはないんですよ。ただただ部下たちの生存権が確保できればいいんですよ」


魔王はなんか必死に部下を庇う中間管理職といった感じである。・・・部下をここまで必死に庇ってくれる中間管理職がいるのかは知らないが。

それにしても


「その話を要約したら、王国は平和主義の魔族の領地に何も知らない日本人を騙して攻め込むド外道ってことになるけど、そこんとこどうなん?」

「そ、それは・・・」


聴取に同席させられていたクリスティアとマリアに話を振ると、クリスティアはあからさまに目を逸らしてどもっていた。


「まぁ、伝承でも魔族に滅ぼされた国とか聞いたことありませんし、魔王が復活したから討伐せよっていう世界神の神託に従って特に害のない魔王を討伐してるわけで、控えめに言ってド外道かと」

「マリア!?」


このメイドほんとに容赦ないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ