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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第3章 みっつめの世界(仮) ~嫌な汗が止まらない自衛官~
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3-15 自衛官、魔王城に乗り込む

「のりこめー」


気の抜けた号令とともに普通科が次々と魔王城に突入していく。

なんかギミックがあったらしい魔王城はC4で吹っ飛ばされた。身も蓋もない。


「んじゃまぁ、行きますかね」


高機動車を降りて魔王城の(吹き飛ばされた)正門を見上げる。

何が出入りするんだよという大きな扉である。いや、もう扉はないので、扉だった。が正しい。

その中に足を踏み入れようとした時だった。


「敵襲!」


進もうとする反対、つまり外を警戒する部隊から大声が上がった。


「飛行する大型の生物が急速に接近中!」


俄かに辺りが慌ただしくなる。

MCVは車長ハッチの12.7mm機関銃を準備し、普通科はMCVの後部ハッチから|91式携帯地対空誘導弾《携SAM》を引っ張り出して担いでいる。


「あれは・・・」


メイド(マリア)が空を見て呟く。


「何かわかるか?」

「災厄とも呼ばれる遭いたくないドラゴンぶっちぎりナンバーワンのフライングエビルドラゴンですね」

「もう名前からして嫌な予感がプンプンするけど、特徴をどうぞ」

「ドラゴンの中で唯一戦闘中も飛行したまま降りてきません」


やっぱりかよ畜生!

言ってる間にSAM-2の釣瓶打ちが始まった。

ちゃんと追尾はしているし、命中もしているのだが・・・


「あれ、効いてるんですかね?」


滝川の疑問も最もである。

命中はしているし、爆発も起こっているのだが、怪獣映画の自衛隊の攻撃よろしく、まるで効果をあげている様子がない。


「税金の無駄遣いだな」


率直な感想を述べる。

とはいえ、105mmで狙うにしても、魔王城付近の機動戦闘車ではもう仰角が足りないし、迫撃砲陣地の警護に残った部隊からは距離がありすぎる。


一方のドラゴンは、さしてダメージはなさそうだが、攻撃を当ててくることに驚いたのか、魔王城周辺を旋回しながら様子見といった感じである。

とはいえ、こちらに現状有効打がないので、攻撃に転じられるとまずい。


12.7mmは撃つかどうしようかといった感じで迷っているようだが、この分だと効果は無さそうである。


「もう城の中はいっちまうか」


魔王の側のモンスターなら魔王城は攻撃しないだろうという理論で、中に入ってしまえば安全な気はする。


「ちなみに、あのドラゴンどんな攻撃してくるの?」

「上空から広範囲に炎のブレスを吐いてくることが多いようですね。他に確認されたのは、そのブレスを圧縮して線状にも撃てるようです」

「圧縮してるということは」

「広範囲ブレスは遮蔽物があれば避けられますが、線状のほうは溶かして貫通してくるそうです」


ますます怪獣じみてるな。


≪96式多目的誘導弾、中距離多目的誘導弾、射撃命令、目標飛行中の敵対生物、小隊集中、指示を待て≫


地対空ミサイルで効果が無かったので、対戦車ミサイルをどうにかして当てるつもりらしい。

まぁ、多目的誘導弾2種はどちらも標的がなんでもロックして攻撃できるので、便利っちゃ便利なのだろうが、根本的に地上目標を攻撃するためのミサイルである。

あんな飛び回ってるのを追尾できるのかは激しく疑問である。


と、こちらに有効打がないと判断したのか、ドラゴンが正門付近に陣取る部隊めがけて降下してきた。

口からはチロチロと炎が見えており、ブレスを準備しているのがまるわかりである。

やばそうである。


「ブレスがきます!」

「総員退避行動!」


車外にいた人間は一斉に魔王城の中やドラゴンから死角になる位置に飛び込み、車両は一斉に散開した。

ちなみに俺は魔王城の中に入った。


轟音とともにドラゴンが正門前の上空を飛び去り、広場を焼き払った。

その轟音がドラゴンの咆哮だったのか、ブレスの炎の起こした音なのかは判別がつかなかったが、災厄と呼ばれる理由は十分にわかった。

街が襲われたりすれば目も当てられないだろう。


≪こちら機動戦闘車中隊、これまでのところ、小破3、中破2、うち1両は走行不能!≫

≪こちら正門前、突入支援中隊、負傷者多数、救援を請う!≫


一度の攻撃でかなりの被害をうけてしまったようだ。

死者が出ていないようのは不幸中の幸いか。


≪多目的誘導弾、各自任意のタイミングで射撃開始!あのトカゲを叩き落せ!≫


おそらくCP(司令部)は(高いから)確実に当てられるであろう状態まで射撃を待たせるつもりだったのだろうが、悠長なことをいってる暇がなくなったということか。


数秒後に何発かの爆発音が聞こえてきた。


≪命中!効果を認める!目標が地上に落ちるまで射撃を継続せよ!≫


さすがにドラゴンの鱗が固くても重量級の対戦車ミサイルには耐えられなかったようである。


「ドラゴンは落とせそうなんですか?」


無線の聞こえない滝川が心配そうにしている。


「いくらドラゴンが頑丈でも戦車ほどではなかったようだな」

「そうなんですか?なら外はもう大丈夫そうですね」


どのみち俺達にできることはないし、魔王のいる魔王城最深部を目指すのが妥当だろう。


「そういえば、お二人は飛んでいる物を攻撃できるスキルをお持ちではなかったのですか?」



不射之射(至射は射ることなし/発動中任意に不可視の矢(ATK5倍)を放てる、発動中奇襲に対し先制攻撃、発動中遠見使用可)


すっかり忘れてた。

怪我した人には悪いけど黙っとこう。

どうにも戦闘を現代兵器で考えてしまう癖があるので、もうちょっと柔軟に考えないといかんなぁ。

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