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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第3章 みっつめの世界(仮) ~嫌な汗が止まらない自衛官~
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3-14 自衛官、魔王城に乗り込・・・めない

集結中に120mm迫撃砲の砲爆撃を受けた魔王軍は、ほぼ壊滅状態に陥ったようである。

勿論、全てが消し飛んだわけではないが、数の上では全滅判定といっても良い状態である。


「懸念は飛べる奴らか」


今のところ特に問題になっていないが、実は今の編成は航空兵力に対して致命的に弱い。

攻撃ヘリくらいの機動力なら、まぁ機動戦闘車の主砲が条件付きで対処できんこともないといったところだが、それ以外で対空兵器は携帯SAM(SAM-2)M2重機関銃(12.7mm)しかない。


SAM-2が果たしてドラゴンをロックできるのかという問題と、威力が果たして必要十分なのかという問題がある。

まぁ、そもそも陸自の装備で対空機関砲なんて現役なのは87式自走高射機関砲だけなので、北海道と高射教導隊にしかないのだが。


「画像認識誘導なんだから多分きっと平気だろうから問題なさそう」


という非常に頼りないお言葉を防衛装備庁の装備開発官から賜ったとかなんとか。

マニュアルに「1.祖国の技術を信じよ 2.性能に疑問が生じたら1を読め」と書かれてるという某国ジョークを思い出したが、きっと気のせいだろう。


「こっちの世界には戦闘機とかいないんですか?」

「初めて派遣された異世界だったからなぁ。地上兵力主体で対空戦闘もあまり考慮されていない。まぁ事前偵察ではそれほど飛ぶのはいないみたいな話だったが」

「ドラゴン系は飛行しますが、膨大な魔力に物を言わせて飛んでいるので長距離高速移動がメインで、戦闘で飛行する話は逃げるとき以外では聞いたことないですね」


メイドが当然のように会話に入ってくる。


「え、ていうかドラゴンが逃げ出すような相手って何さ」

「過去においては勇者パーティーが討伐を試みたことがありますし、あまりに人里で暴れると討伐軍が組まれますから、ドラゴンの逃走記録はそれなりにあります」

「やばくなると逃げるってことは、そう思わせることなく大火力で沈めないと倒せない?」

「そうなりますね」


飛ばないうちに戦車砲の集中砲火で沈めるのが楽そうだな。


「あとは飛ぶのは鳥系と亡霊系の魔物でしょうか」

「鳥はわかるけど、亡霊?」

「ゴーストとかレイスですね」


ファンタジー世界だと幽霊が実在するのか。


「亡霊系が最も脅威なのは物理攻撃無効なことで、最も脅威にならないのは物理攻撃無効なことです」

「意味が分からん」

「つまり、こちらも向こうも物理攻撃はできません」

「えぇ・・・じゃあどうやって倒すんですか」


滝川が疑問を呈しているが、なんとなく物理的に干渉できないってことで想像は着いた。


「こちらからの攻撃は、聖属性魔法や祈祷術による除霊ですね。向こうは延々悪夢を見せてきたり、幻覚、幻聴を起こしたりといった精神攻撃が主です」


ほぼ想像通りの答えだけど、できれば会いたくないものだ。

自衛隊にはわりと幽霊とか怪談を怖がる奴が多い。まぁ、有名どころの硫黄島をはじめ旧軍に絡んだ怪談というのはどこにでもあるものだ。

鍛えた肉体に自信を持っている人間が多いから、それではどうしようもない対象に恐怖を感じる土壌があるのかもしれない。


「鳥系の魔物で要注意なのはグリフォンでしょうか」

「・・・それは鳥なのか?」

「鳥です」


何言ってんだお前頭沸いてんのかみたいな眼で睨まれた。

性癖次第ではご褒美なのだろうが、残念ながらそういう趣味はない。・・・滝川が悦んでる?気のせいだよね?


「まぁ、鳥系の魔物はドラゴンにように固い鱗を持つわけではないんですから、攻撃が通らないという心配は無用です」


M2でどうにかなりそうかな?

まぁ、そんなこと言ってるとドラゴンが飛行しながら現れたりするんだろうが。


≪魔王城までの通路を確保。突入部隊は前進を開始せよ≫


機動戦闘車(MCV)部隊と装輪装甲車(ACP)部隊が魔王城まで到達したようだ。

それに合わせて魔王城に突入する普通科1個中隊と俺達が前進を開始する。


≪ハンター01よりCP、方位1255より高速で飛来する物体あり。注意されたし≫

≪CPより各部隊、飛行部隊を視認次第報告せよ。敵対生物なら自由射撃を許可する≫


謎の飛行物体接近に無線が俄かに慌ただしくなる。


「遠くから飛んでくるのが見えるということは相当な大きさでしょう。ドラゴンの可能性が高いですね」

「つまり飛んできても地上に降りる?」

「1種を除いて、高速通過時に一撃ブレスがくるくらいで地上に降りるでしょうね」

「1種を除いて?」


ナンダカイヤナヨカンガスルナァ・・・。

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