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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第3章 みっつめの世界(仮) ~嫌な汗が止まらない自衛官~
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3-13 自衛官、憤る

戦闘の邪魔だからと隊列中央付近の高機動車に移された。


え、じゃあ最初からここでよくない?

なんであんなところ乗せられたの?

駐屯地行事の体験試乗じゃないんだよ?


「いやぁ、桐島さんすごいっすね!戦車乗れるなんて思いませんでしたよ」


戦車じゃなくて機動戦闘車だけどな。と思うが興奮している滝川に水を差す必要もあるまい。

というか、さっきまで早く帰りたいだのなんだの言ってたのにこれかよ!

そうだね、男の子だもんね!みんな戦車とか戦闘機とか大好きだもんね!おれはまだ耳鳴りがするけど!


ちなみに4輌の機動戦闘車(MCV)斉射(APFSDS)を受けたドラゴンは・・・あまり思い出したくない。


現在は魔王城まで5Kmの場所で火力支援中隊が陣地構築中である。

ここから120mm迫撃砲と中距離多目的誘導弾による支援が行われる。

一気に魔王城まで肉薄したいところだが、ここからは障害物も多く起伏もあるので、MCVは行進射ではなく、躍進射に切り替えるという。


というか、ここからひたすら120mm迫で魔王城を砲撃したらどうにかならないかなと思うのだが、それで魔王が瓦礫の下敷きになったりすると、掘り返すのが面倒だという話で却下された。


なお、今回は米軍の支援はなく、自衛隊による単独作戦となる。

結果、航空支援は望めず、UH-1Jは航空偵察と負傷者の後送に利用されることになっている。

米軍はそこらを飛び回っていろいろ集めるのに忙しいらしい。

この世界に拉致された日本人はすでに確保してるんだから、特に支援する理由はないということらしい。


ちなみに、米軍が今必死になって探しているのは魔法効果が付与された道具、まぁ端的に言ってしまえば俺と滝川が持っていた翻訳の腕輪みたいな道具である。

魔術的な何かで自分が伝えたいことを相手がわかる言語に変換してくれる、相手が伝えたいことをこちらがわかる言語に変換してくれる、というのが翻訳の腕輪だと実験で結論付けられていた。

地球には存在しないゲノム情報だとか、元素周期表に当てはまらない金属だとかよりも、社会にわかりやすく「異世界での成果」として見えるものなので、探しているようだが、そもそも貴重な物とクリスティア(ポンコツ王女)から聞いている。

米軍の宝探しは難航しているようである。


≪状況開始、5分前≫


無線から無機質な声が聞こえる。

DP-12をもう一度確認する。

装填しているのは12ゲージのスラッグ弾。


射程、貫通ともに89式小銃の5.56mm弾に劣るものの、そのストッピングパワーは絶大である。

人よりでかい魔物がゴロゴロいるような場所では有効だろう。

そして、チューブマガジンの強みで、弾種を切り替えたければ最後にマガジンに装填した弾が次に薬室に送られるので状況に応じた切り替えも容易だ。


「魔王を倒して褒賞ゲットです」


フンスとメイドがハルバートと持って気合を入れている。


「え、ていうか下手したらお前ただの裏切り者じゃねぇの?」

「ふふふ、王女が帰らなければいいのです」


アカン。

こいつだいぶ危ない奴や。


「というか褒賞もらってどうすんの?」


そこ気にすんのか?ということを滝川が気にしている。


「もうあの王女(ポンコツ)の面倒見るのは嫌です。一生好きに暮らせる褒賞がでるので、いい男でも侍らせて遊んで暮らします」


キリッ という感じで言っているが、お前もダメ人間(ポンコツ)の発想じゃねぇか。


≪ハンター01よりCP、魔王城周辺に兵力の展開を認む。隊列形成の後、迫撃砲陣地方向に突撃をする気配≫

≪CP了解、120mm迫撃砲、射撃命令、面制圧射撃、目標、展開する敵部隊、装填待て≫


俄かに陣地が騒がしくなる。


≪CPより作戦参加の全部隊、状況開始時刻を繰り上げ、現時刻をもって状況開始(ゼロアワー)!≫


一斉にMCVが前線形成のために飛び出していき、普通科を載せた96ACPがそれに続く。


≪120mm迫撃砲、中隊、修正射、射撃開始≫


ドンドンドンと砲門を並べた120mm迫撃砲が発射される。

しばらく間が開き、魔王城周辺でボツボツボツと爆発が起こり、遅れて炸裂音が聞こえてくる。


≪ハンター01よりCP、照準修正の必要を認めず≫

≪CP了解、120mm迫撃砲、中隊、効力射、面制圧射撃、1小隊、2小隊、榴弾瞬発、3小隊榴弾VT中モード、発射弾数5、各砲全力射撃≫


最初から飛ばしていくねぇ。

120mm迫撃砲9門から各5発の全力射撃。装填手が泣いてそうだ。

45発もの120mm砲弾を受ければタコツボもない軍隊なら悲惨なことになるだろう。

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