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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第3章 みっつめの世界(仮) ~嫌な汗が止まらない自衛官~
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3-9 自衛官、やっぱり嫌な汗をかく

「無力な身ではありますが、よろしくお願いいたします」


そういって礼儀正しく一礼する姿をみて、ほうと知らず感嘆の声が出てしまう。

結局、姫様の世話係に適切な近衛騎士などはいなさそうだから、いっそ世話係に全振りしてしまおうという目論見で、会場であれやこれやしていた王宮のメイド達も紹介してもらったのだが、思わぬ拾いものであった。


クリスティア王女の側仕えだというマリアというメイドだったが、

アビリティ:

王宮メイド:上級(優雅な立居振舞を崩さずにスケベな貴族から逃げるのだ!/身体能力極大上昇)

スキル:

礼儀作法:中級(立居振舞だけではない/礼儀作法に関する動作の失敗率大低下)

家事:中級(家事に関わる全般、個別スキルには劣る/家事全般の効率大上昇)

体術;初級(素手の護身術/受け流し:初級、無刀取り:初級、使用可)

斧術:初級(戦闘斧(ハルバート)術/インパクト:初級、アーマーピアス:初級を使用可能。筋力に小ボーナス)

とかいうかなりの高性能メイドだった。


「メイドつおい」


ステータスを見た滝川が絶句している。

まぁ、パーティーメンバー用に選抜された連中より下手したら高性能である。


「あとは魔術師あたりですか。めぼしいのいましたか?」


滝川に聞かれたものの、正直スキルやアビリティで見る限り、目ぼしいのはいなかった。

ここであえて採用するとなると、あとは気合とか根性くらいしか見るものがない。

そもそも、あえて王国の息がかかっているであろう連中から採用する必要もないと言えばない。


「すいません!」


もうとりあえず採用はこの2人だけでいいかなと思っていると、突然声をかけられた。


「私も連れて行ってください!父の仇を討ちたいんです!」

「仇?」

「はい、私の父は先の勇者様に同行した魔王討伐軍の指揮官でした。魔王軍の奇襲をうけ、勇戦むなしく・・・。父の顔はザクロのように弾け飛んでいました。あんなの、人の死に方じゃありませんよ!」


うん、ごめんな。それやったの魔王軍じゃないんだ。

むしろ俺がやった可能性もあるんだわ。


「気持ちはわかるが、見た限り君はまだ未熟だ。連れて行くわけにはいかない」


しかも見たところなんのスキルも持っていないようだ。

断るにはちょうどいい。


「まぁまぁ、桐島さん、そんな無碍に断ることもないじゃないですか」


そしていらんところで出しゃばってくる元勇者(性欲魔人)


「お前、また彼女が美人だからパーティーにいれようとか思ってるだろ」

「ままままさか」

「言っとくが、彼女は何のスキルもアビリティもない。戦力にならん」


はっきりと断っておく。

というか親を殺したかもしれん相手と一緒に旅とか無理です。

なんかスキルもアビリティもなくて戦力にならないと暴露された娘が泣きそうになってるが、俺には見えない。気のせいだ。


「あの、勇者様、せめてあと2、3人くらいは」

「足手まといを連れて行く気はない」


王女がなんかお願いしてきたがばっさり切り捨てる。

メンバーを増やしすぎると、中央機動連隊見つけた時に逃げにくいし。


「まぁ、別に仲間を全部ここで決める必要もないだろう。おいおい増やしていけばいい」


自分たちの息のかかった人間をパーティーにこれ以上入れられないとわかった王女がしょっぱい顔しているが、ここでパーティーメンバーを決めさせてしまう理由も思いつかないのだろう。

実際、人材も枯渇してるみたいだし。


「ですが、パーティーには入れずとも物資輸送を行う者達は必要でしょう」


なおも王女は食い下がる。

そこを言われると厳しいなぁ。まぁ、もっとも王女は自分で荷物を持たないだろうと踏んだ上でメイドをパーティーにいれたんだが。


「別に途中調達で良くね?持てる分くらいの荷物で大丈夫だろ」


滝川によるナイスアシストだが、多分本人は何も考えずに発言している。

随伴メンバーを全部美女で固められたら簡単に意見を翻しそうだ。


「というか、考えてみたらむしろパーティーいらなくね?」


王女は人質に使えるから連れて行こうと思ったが、面倒な随伴が増えすぎるなら俺と滝川だけで中央機動連隊への合流を目指すのもありだろう。


「ゆ、勇者殿がそう仰られるのなら最低限の人員で行きましょう」


さすがに置いて行かれるとまずいと思ったのか、随伴を増やすのは諦めてくれるようだ。


そういえば、この世界から救出した1人の話で思い出したことがある。

あまりにも魔王討伐に行け行けと言われるので、一度キレて暴れたことがあったらしい。

神殿には行った後だったので、誰も勇者を抑えられず大惨事になり少し反省したが、それ以降勇者への態度が改まったとのことだった。

つまりこいつら、俺らがキレて暴れると抑えられないからビビってるのね。

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