3-8 自衛官、パーティーメンバーに悩む
滝川のアホに活を入れたあと、まずは王女をいれた3人のパーティーを組んで、王女の紹介で順番に候補者と会っていく。
パーティーは12人までとのことなので、残り9人だが、正直ここで9人を選んでしまう必要はないと考えている。
世界神に聞いた話では、アビリティやスキルは一部のユニーク系を除いて、初級、中級、上級となっているらしい。
俺の自衛隊格闘術はユニーク扱いなの?と聞いたら、お前しか持ってないスキルだからユニークだと言われた。
で、世間的には初級でも持っていればその道のエキスパートらしい。
初級で?と言ったら、世界神にスキルがないからパンチができないわけではないだろ?と返された。
当たり前やん?みたいに返されたけど、この世界の常識とか知らないから。
地球基準でわかりやすく言うと、仮に野球:初級があると甲子園レベルらしい。野球:上級だと球史に名前が残るレベルとのこと。
もっとも、魔術はスキルがないと使えないし、一部のアビリティも先天的に持っていたりするらしい。
その辺は習うより慣れろと言われた。
まぁ、つまるところ、スキルやアビリティを持っている奴は貴重だ。とのこと。
勇者のボーナスでポンポンアビリティ増やしたお前らを基準に考えると仲間できないよ、と世界神は言っていた。
実際、クリスティア王女も
アビリティ:
高貴な生まれ:上級(高貴な者は義務を負う/いわゆるカリスマ性ボーナス)
スキル:
治癒魔術:上級(死ななきゃ治る。多分/全ての治癒魔術を使用できる)
短剣術:初級(護身術なんだけどスキルの時点で・・・/ブロー:初級使用可。短剣を使用する行動にボーナス)
となっている。
部屋を見渡してみても、彼女を上回るほど有望そうなのはそういない。
というか、このステータスで見える説明は世界神がつけてるらしい。
こんなのが普通の人にも見えてるから、神殿で俺と滝川が世界神をあれ扱いしても咎められなかったらしい。
「こちらが我が国で現在最高の剣士であるジェローム様です」
考え事してる間にクリスティアによる紹介が始まった。
まずはきっちり見定めんとな。
最高の剣士だというおっさんを見る。
50はいってないだろうが、果たしてどうだろうか。軍人として見るなら少し歳を喰いすぎている気がする。
スキルに剣術:中級がある。ATK3倍のスラッシュやATK0.8倍の5連撃が出せる五月雨斬りなどが使えるらしい。
アビリティなどはなし。
滝川の方を見てみると、一応きちんと男も見る気になったようだ。
ボディーブローをいれた甲斐があるというものだ。
「とりあえずまずは全員紹介してくれ」
クリスティアにそう依頼する。
まずは片っ端からスキル、アビリティを見て、話してみて2~3人見繕う感じでいいんじゃないだろうか。
「どうだった」
一通り紹介が終わり、一旦翻訳の腕輪を外して滝川に聞いてみる。
ちなみに、俺が見たスキルやアビリティはまだ教えていない。
「桐島さんと違ってスキルやアビリティは見えないので、印象だけですが、最初のこの国最高の剣士っていう人は、一度日本で会ったことがある居合の師範みたいな凄味は感じましたかね」
女の尻以外もちゃんと見れるじゃないか。感心感心。
「剣術スキルの中級を持っていたし、剣の腕は確かなのだろう。古参兵だろうし経験も豊富そうだ」
「じゃあ、あの人を?」
「冷静に考えろ、あの歳なら伸びしろはそれほどないと見るべきだ。この世界の知識や経験は買えるかもしれんが、歳喰ってて扱いが面倒な可能性もある」
「なるほど、知識や経験を買うなら他の選択肢がある、と」
まぁ、この国最高の剣士というなら人脈もありそうだが、そのへんは王女でなんとかなるだろう。
そもそも、王女も言っていたように、この国の主力は対戦車ミサイルで吹っ飛ばしてしまったっぽいので繰り上がり1位だろう。
2位だったという保証もなく、上10人がいなくなったので1位ですという可能性もある。
「パーティーメンバー選ぶのって難しいですね」
「お前はむしろ前の世界でどうやってたんだ・・・」
こいつ運だけで生き残ったんじゃなかろうか。
「とりあえず、いまメンバーとして必須と思われるのは、姫様の世話係。次点で魔術師だろう」
「世話係?」
「高貴な生まれなんてアビリティ持ってる奴が自分で自分の面倒見れると思うか?」
「アレクシアは割と自分でなんでもやってたような?そういえばエクセルはキリエがほとんど面倒見てたか」
ほんとになんも考えずにパーティー組んでたんだなこいつ・・・。
「世話役となると候補は限られる」
「女性でないといけない、とかですか」
「それも1つだが、大前提として元々近しいものじゃないとダメだろ」
それも元々姫様の面倒を見ているような人間でないと苦しい。
適当に決めた奴に面倒見ろと言っても、お互い嫌だろう。
「というわけで、最低でも1人は君が好きな女性をいれなければならないわけだ」
「俺が好きなのは美女です」
懲りてねぇなこいつ。




