3-4 自衛官、世界神と交渉する
その後も世界神を名乗る幼女との持ち込み武器を巡るバトルは続き
「DP-12だったか?それとフォアグリップ、Specter DRは認めてやるから他は諦めろ」
「むむむ」
まぁ、ぶっちゃけこの幼女がDP-12を正しくどのような銃か認識していないようなので、それに気づかれる前に妥結してしまうべきか。
二銃身のショットガンっていう約束はちゃんと守ってるし。
「というかなんだこの銃?二銃身ショットガンのくせに20mmレールとかついてんの?とりあえずぽーん。送っといたから戻ったら確認してねー」
「えー」
一応不満を表明しておく。
これで何か絞り取れればラッキーだがそんなことはないだろう。この幼女ケチそうだし。
「んじゃ、武器はこれで終わり。んで、まぁ普通というか、これまでの勇者ってだいたい伝説の武器とか神造の武器だったからスキルや身体能力に加護があったんだけど」
「シモ・ヘイヘのモシンナガンとシモ・ヘイヘのKP-31とかマティアス・ヘッツェナウアーのGew43とかヴァシリ・ザイツェフのモシンナガンとかだとなんかボーナスあったってこと?」
「おいこら、モシンナガンで挟んでもサブマシンガンとセミオートライフルはダメだからな」
こいつひょっとしてただの軍オタなんじゃなかろうか。
「でまぁ、さすがにただの人間が魔王倒すとか無理だから、特別に武器と別にスキルかなんかをあげよう」
「そもそもスキルと言われてもどんなものかわからんしなぁ」
なんか職業に応じて授けられるみたいな話を王女に聞いたが、それがどんなものかまでは聞かなかった。
「あー、この世界にある例を挙げると、例えば治癒術士だと、治癒魔術:初級とか、剣術士の切払い:初級とか、弓術士の遠見みたいに、使用者の意思で発動させるのがスキル」
「初級ってことは中級や上級も?」
「もちろんあるけど、そういうのは普通の人が習得するスキルだね。神たる私が授けるんだから、治癒魔術が欲しいっていうんなら、神の祝福ってスキルになるし、切払いなら矢除けの加護、遠見は千里眼になるね」
矢除けの加護って銃弾にも有効なんだろうか、とかしょうもないことを考えてしまった。
「で、アビリティは使用者の意思に関係なく常時発動する効能。たとえば、基礎体力上昇:小とか腕力上昇:小みたいなのがわかりやすいかな」
「ステータスを底上げするようなものってことか」
「いや、例えば熱耐性:小とか苦痛耐性:小みたいにステータスにでないものもあるよ」
結構いろいろあるわけか。
うーん、とはいえ身体能力は富士学校と米陸軍特殊部隊の訓練を突破できたから普通よりは高くなってるだろうし、やはり魔法とかにするべきだろうか。
というか使ってみたいよね。魔法。
「魔法とか使ってみたいなぁ」
「火魔術なら神炎の守護者、水魔術なら深淵の水守、土魔術なら」
「なんだその厨二っぽいネーミング」
なんか黒歴史ノートとかに書かれてそうなネーミングだな。
「ん?なんか前に召喚した奴の部屋にあったノートから拝借したのだが?」
「鬼かお前」
誰か知らんが可哀想に。
他にもいろいろ書いてあったに違いない。
「千里眼てサーマルビジョンの効果は」
「ねーよんなもん」
無いのか。
「うーん、正直オススメってなんなん?」
何があるのかもわからんし、わからんなら聞くのが一番だろう。
「そうだなぁ、お前のステータスを見るに・・・なんでお前こんな強いの?」
「日頃の鍛錬の成果だ」
やはり鍛えているとステータスは高くなるらしい。
「これをさらに上積みするって考えもありだろうけど、正直熊と素手で闘うのかって話だしなぁ」
「そんなに高いの?」
「まぁ、今まで召喚した中ではぶっちぎりで」
そりゃ学生やヒキニートと比べたら普通の自衛官でもステータスは高いだろう。
「こっちの世界の中でも高い方だよ。しかもこれでレベル1とか」
「レベルもあるのか」
「あるよ。ないと魔王倒せないし」
ますますゲームみたいな世界だな。
「正直、高い身体能力や選んだ武器も考えると、アビリティよりやっぱり魔術とか攻撃系のスキルがオススメかなぁ?12ゲージのショットガンで対応できない敵はどうすんのって話だし」
「使ってみたいとは思うがなんだかなぁ・・・」
「まぁスキルの使用はMPが必要で、魔術の攻撃力は魔術攻撃力に依存するんだけど、君たちの世界には存在しないものだから」
「低い。と」
そうなると魔術を選ぶメリットは薄いような気がしてくる。
レベルとか言ってたのでレベルアップすれば上がるのだろうが。
「まぁ、なんか君たちの世界にある神話とかからネタ提供してくれたら適当にでっち上げてもいいけど」
「そんなこと言われてもなぁ」
攻撃スキルになりそうなもの、ねぇ?
「あ、不射之射とか?」
「すごい嫌な予感がするんだが?」
やだなぁ、弓矢を使わずに鳶を射落としたり、寝てても殺気だけで盗賊の額をうったりするだけじゃないですか。




