表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第2章 ふたつめの世界 ~大学生、勇者になる~
23/170

2-17 自衛官、交渉する(ただし権限はない)

その後、次期大公に敵対する意思はないこと、日本人を連れ帰りたいことを伝えると、とりあえず立ち話も何なのでということで、公都の中に通された。


門周辺に集まっている守備隊からから好奇の視線が集まっているのがわかる。


<やはり兵力は少ないようだな>


いや、見られているのはこのバカでかい犬だろうか。

こっちではそこそこ有名みたいだし。


「少尉、外の連中はどうする?」


おれは小声でジャネット少尉に声をかける。


「状況がはっきりするまでは外で待機のほうがよくないか?」

「だが、まだ大丈夫だとは思うが、王国軍と遭遇するとまずいぞ。」


正直、そのまま待機させるか中に入れるか、どちらが正解か判断がつかない。


「なんとも言えんな。上位指揮官に任せる」


日米合同部隊だが、一応現場の戦闘指揮権は俺にあることになっている。

階級上の問題と、日本側が主導で作戦展開しているという事実が欲しい政治的問題の結果である。


「中に入れて迫撃砲の準備をさせよう。公国はこちらには敵対しないだろう」


日本人を保護してるから公国は味方だと思うことにする。


<勇者よ、少しはましな面構えになったようだな>


なんかこっちで相談している間に王狼は勝手に話しかけている。


「おかげさまでな。あんたに負けた後いろいろあったしな」


まぁ、彼もいろいろあったのだろう。

とても日本の腑抜けた大学生には見えない、人生の深みを感じさせる顔になっている。


「我々の任務は君を日本に連れ帰ることだ。今すぐにでも連れて帰りたいのだが」

「待ってください。この状況を放り出して帰るっていうんですか!?」


ですよねー。

次期大公ってば美人だし、不当な扱い受けてるわけでもなさそうというか、同じパーティーメンバーだったらいい思いもしてんじゃねぇのかこの野郎。


どうするかなぁ。一応、方針として帰ってからマスコミに喋られると面倒だから拉致まがいの手段で無理やり連れ帰るのは無しということになっている。


我が国(ステイツ)としては、この国での治外法権と関税特権、各種資源の自由な持出を認めて貰えるなら、助力することもやぶさかではない」


ジャスティン少尉が次期大公にふっかけているが、いくらんでもひどすぎね?

治外法権があって、各種資源の自由な持出許可って、その資源の入手手段は事実上自由ってことじゃん。


「さすがにそこまでは・・・」


次期大公も渋い顔をしている。

というか、何言ってんだこいつ?って顔だな。

まぁ、そりゃそうか、現状では向こうの認識は勇者が来た国の軍隊らしいがさして人数もいないという程度のものだろう。


「では、明日ここに着くであろう軍隊を我々が壊滅させましょう。その上であらためて交渉ということでいかがでしょうか」


完全な脅しになってきた。

向こうが敵軍を壊滅させるというのがブラフだと思ったところで、実際に明日それが起こってしまえばそのあとなんて「交渉」にはならない。

その武力を背景にすれば交渉の余地など存在しなくなるからだ。


かといって、現状では向こうは本当に我々がそんなことができるのかわからない。

まぁ実際、簡単にできてしまうわけなので、こちらとしてはどっちでもいいわけだが。


「桐島さん、どれくらいの兵力がここにきてるんですか?」

「ここにいるのは俺達2人を含めて8人。ただし、基地に戦闘爆撃機が6機と、あと米軍の対地攻撃機が1機いる」

「対地攻撃機?A-10とかいうやつですか?」


惜しいがもっと凶悪な奴だ。

勇者君が次期大公に何かごにょごにょ耳打ちしている。

説得してもらえると話が楽でいいんだが。


「本当にこれからやってくる王国軍を撃退してもらえたならば、我が国内での自由な活動と免税特権を認めよう。もちろん自由な活動といっても略奪行為や明らかな不法行為を認めるわけではないぞ」


まぁ、そのあたりに落ち着くか。

本当に侵攻軍を簡単に全滅させるような力を持っている相手なら、対抗なんてできないが、今ならまだこちらが「協定を結んでもいい」と言っている。

強く出られるうちに出ておいて、協定を結んでしまおうということだろう。

向こうとしては、こちらに実際に力がなかったとしたら協定を反故にすればいいだけで、デメリットはない。


「では交渉成立(ディール)だな」


実は俺には現地勢力と条件交渉するような権限はないので、勝手に米軍にのっかっとこ。

黙ってたらバレないだろ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ