0-12 ???(???)
何もない空間で何かが蠢いていた。
それはかつて、ある世界で世界神と崇められていたモノの成れの果てだった。
崇められることの無くなったソレは、もはや自分が何であったのかも覚えていない。
無から生まれたソレは、存在意義が無くなれば再び無へと還る。
自分が何でどこにいるのかすらわからなくなったそれは、傍らに立つ黒いヒトガタにすら気付かず、ただ無へと還るときを待つ。
悍ましいヒトガタの嗤い声だけが何もない空間に響くが、それを聞くものはいない。
盲目白痴の神は、今日も夢を見る。
覚めることのない眠りの中で、人の身には見ることはもちろん、理解することもできぬ、無数の夢を見続ける。
全ての世界は万物の王である、盲目白痴の神の見る夢である。
故に盲目白痴の神は眠り続ける。
誰にも知られず、誰も知らず。
ただひとつ、使者たる這い寄る混沌、黒き無貌のモノだけが、誰も知らぬところを蠢き続ける。
黒き無貌が、盲目白痴の神の代行者なのか、文字通りの這い寄る混沌なのか、それは当の無貌にもわからない。
自らの目的も知らぬ黒いヒトガタは、今日も自らの嗤いのために、世界の裏側を蠢き続ける。
彼の者はどこにでもいて、どこにもいない。
彼の者が夢を続けるために現れるのか、終わらせるために現れるのか、それは誰にもわからない。
ただひとつ、彼の者が愉しむ限り、夢はいつまでも続いていく。
これにて「異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです」は一旦完結とさせていただきます。
更新初期から追いかけてくださった皆様、そして最後まで読んでくださった皆様、誠にありがとうございました。
プロットはおろか、設定まで何も作らずに行き当たりばったり、日に追われて更新し続けるという不安しかない作品でしたが、無事に(?)終えることができました。
話の上では世界を増やせばいくらでも続けられますが、何よりももう毎日更新が限界なので、気力のあるうちに完結とさせていただきたいと思います。
あと1つ、人物紹介というか使わなかった設定の墓場と言いますか、何とも言えない物を用意していますので、「ふーん」程度に読んでみてください。
別の作品を投稿することがあるのかどうかはわかりませんが、また機会がありましたら読んでいただけますと幸いです。
最後になりましたが、このような拙い作品を読んでくださった皆様には感謝の言葉しかございません。ありがとうございました。
評価や感想などいただけますと、嬉しく思います。
それでは、機会があればまたどこかでお会いしましょう。




