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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第11章 いろんな世界 ~大怪獣現る~
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11-17 第一次タコ討伐作戦(日本)

合戦開始(ゼロアワー)!」


号令とともに、4隻の護衛艦から一斉に5インチ砲(と127mm砲)が発射される。

タコの駆除に参加しているのは、はたかぜ、しまかぜのロートル5インチ砲ダブルエンダー組と、おおなみ、たかなみの127mm砲装備組である。


4隻が単縦陣でタコの右側を並走しながら、計6門の5インチ砲と127mm砲を発砲する。

加えて、航空攻撃として爆装したF-2が6機、500ポンド爆弾計72発を順次投下する。

もはや爆撃演習かという状況だが、これだけやればデカいタコも死ぬだろうということで、とりあえず火力が投入された。


「やはり空爆のほうが効いてるようですね」

「炸薬量が違うからなぁ」


しまかぜの艦橋から双眼鏡でタコを見ながら艦長と航海長が話している。

実際、5インチ砲弾は砲弾重量が30キロ弱の炸薬量が5~10キロ程度である。

対して500ポンド爆弾は炸薬重量87キロ。

航空攻撃が強力と言われる由縁である。


「あ、タコ転進」


空爆と砲撃を受け、嫌がるように体をくねらせたかと思うと、それまで一直線に進んでいた針路を変えた。


「こっちに向かってきます!」

「全力で撃ち続けろ!主舵一杯!最大戦速!」

「おもーかーじいっぱーい、さいだいせんそーく、よーそろー」


一見悠長に聞こえる号令と共に、機関音が大きくなり、船首が右に向くと同時に、船体は左に傾く。

その間も5インチ砲は全力で射撃を続ける。

タコが艦隊に向かってきた場合は一斉転舵で回避と事前に決まっていたので、4隻が一斉に転舵する。

艦首にしか主砲のないおおなみ、たかなみは射撃できなくなる恐れがあったが、今のところ射撃を継続出来ているようだ。


「・・・元気一杯みたいですよ?」

「砲はきいてなさそうだな」


現在、最大戦速の30ノットで走っているが、タコは追いかけてきている。


「あ゛」

「戦闘中に変な声出すな」

「1番砲塔故障」

「・・・。」


見ると艦首の一番砲塔が射撃を止めていた。

碌にメンテされていないので、異世界からこっち酷使しすぎてついにストを起こしたようだ。


「タコとの距離が詰まってます。デカいと速いですね」

「呑気な事言っとる場合か」


追い付かれるとのしかかられるだけでも大惨事である。


「はたかぜがやばそうですね」

「どうにか止めれんか」

「弱点を狙うとか?」


弱点てどこだよ。という空気に艦橋がなりかけるが、生物である以上共通の弱点があることに気付く。


「艦橋、CIC、砲術長、目を狙え!」

『CIC、艦橋、それより2番砲も壊れそうという報告が来てるんですがどうしましょう』

「だったら壊れるまで撃てばいいだろ!どうせこの後こいつは解体だよ!」


我ながらひどい言い草だと思いながらも艦長は指示を飛ばす。


『よーそろー』


嫌々といった感じの砲術長の返事が返ってくる。

やがて、しばらくの間があって、砲撃が再開された。

数発の発砲の後、タコの巨大な目に砲弾が飛び込み炸裂した。


「当たった!」

「よし!怯んだ!」


一瞬艦橋が歓喜に包まれたものの、その後のタコの行動でそのムードは一瞬で吹っ飛んだ。


墨を吐いたのである。

そして、そのままタコは離れていく。


とばっちりだったのはタコの針路上にいたはたかぜである。

タコが吐きだした墨をもろに浴びることになり、NBC対策用の船体洗浄システム(船外スプリンクラー)を作動させる羽目になった。

戦闘中だったことと、有害物質による汚染の可能性があるということで、扉を全て閉鎖し、艦内与圧をしていたのは不幸中の幸いだったが、迂闊に入港するわけにもいかず、しばらく海上で過ごすことになるのだった。


「タコにのしかかられるよりはいいよな?」

「・・・さあ?」


次のボーナスがはたかぜ乗員の飲み会に消えることを、このときのしまかぜ艦長吉留一佐は知る由も無かった。

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