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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第11章 いろんな世界 ~大怪獣現る~
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11-12 常に騒動に居合わせる奴っているよね(日本)

異世界から転移してきたワイバーンによる哨戒機撃墜と、有害鳥獣駆除によるワイバーンの排除。


政府発表は最初こそニュースになったものの、それだけだった。

そもそも、ワイバーンを撃墜するF-15の映像があるわけでもなく、そりゃ同じ大きさの飛行物体とぶつかれば哨戒機も落ちるだろという話で、使える映像がないのでは、すぐにテレビは取り上げなくなった。


タコについても発表があったものの、まだ陸地から遠いこと、有害物質が検知されたので飛行・航行禁止区域が設定されていること、この2点を持って、やはり映像がないのでテレビも新聞もさして大きくは扱わなかった。

一部の専門誌やネットで好き者たちが話題にしているだけで、そのまま大多数には忘れ去られる。


はずだった。




何もない海上を行く白い船。

船体には青いラインと「Japan Coast Guard」の文字。

40mm機関砲と20mm多銃身機関砲を背負い式に配置したひだ型巡視船の1隻、第十管区に所属する「あかいし」は通常のパトロール任務を行っていた。


異世界から転移してきたと思われる大型のタコに、中国軍艦が向かう可能性が高く、それに付随して違法操業を行う漁船が多数侵入する可能性があるとの事前情報により、ただでさえ忙しい第十管区、第十一管区は全力出撃である。


その船橋で、第十管区保安本部からの広域無線が飛び込んできた。


《海上自衛隊哨戒機より通報、屋久島南方30海里の海上に中国の国籍旗を掲げた漁船団を発見するも、漁具の搭載を見ず。速力25ノットで東に向かって航行中》

「不審船じゃねぇか!」


漁船にしては速すぎる速度に誰ともなく声をあげる。


「・・・近いな」


ちょうどあかいしがいるのも屋久島南方の海域である。

と、突然ぶおおおおおおというターボプロップ機特有の轟音が聞こえてくる。

見れば、あかいしを中心に円を描いて海自の哨戒機が旋回していた。

そのまま3度ほど旋回したあと、北北西の方角に飛び去った。


「哨戒機の向かった方向に全速で向かえ!」

「よーそろー」


全速で30ノット以上を誇るあかいしの主機が唸りをあげる。

しばらく走っていると、レーダーに船団を捉えた。


「きりしまがいますね」

「いなさとあまみもいますね」

「・・・南西海域工作船事件の同窓会か?」

「殊勲船のみずきがいませんよ」

「いてたまるか!あれがいたら間違いなく大事になるだろうが!」


巡視船「みずき」

九州南西海域工作船事件では工作船に船体射撃を行い、尖閣諸島中国漁船衝突事件では中国漁船にぶつけられ、魚釣島で領海侵犯した台湾海岸巡防部の巡視船とも衝突している。

現在も尖閣警備のため、石垣に配備されているはずなのでこんなところには来ない。はずである。


「いなくても大事になってませんか?」


まぁ、別にみずきが事件を起こしているわけではないので、当たり前といえば当たり前なのだが。


「あ、みずき」

「おいいいいい、尖閣警備はどうしたああああ」

「ドック入りじゃないですかね」

「つくづく波乱の船歴ですね」


そこにまさかのドック入りのため本州に向かっていたみずきが現れて合流した。


「・・・1発目はみずきにやらせるか」

「いや、その前に警告しましょうよ」


高速で走る偽装漁船団は計6隻。

対して、現在集まった巡視船は5隻。

立ち入りするには数が足りないが、どのみちあれやこれやの手続きが必要なのである。


巡視船のマストに国際信号旗のL旗が掲げられる。


”こちらは日本国海上保安庁の巡視船である。これから貴船に立ち入り検査を行う。直ちに停船しなさい”


船外スピーカーから大音量で、日本語、英語、中国語、ハングルの警告音声が流れると同時に、汽笛が・-・・のリズムで鳴らされる。


巨大なタコを巡る騒動はまだ始まったばかりである。

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