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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第10章 いつつめの世界 ~転生者は転移者と対峙する~
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10-3 転移者、魔導騎士に乗る

演習場で魔導騎士を見てからもしばらくは穏やかな日々が続いた。


あのもっさりというか間延びした魔導騎士の挙動に思うところがないではないが、自分には関係のないこととして、数字合わせに精を出す日々だった。

まぁ、そもそもなんであんなもっさりしてるのかもわからないしね。


そんな数字合わせの日々に変化をもたらしたのは、またもやユートの来訪だった。

なんでも、魔導騎士の操縦者が足りないからやってみないかとのこと。

まぁ、気晴らしにはいいかということで、2つ返事で引き受けて、訓練用の2人乗り魔導騎士に乗ることになった。


乗る前に散々、揺れるだのなんだのと脅されたが、なんのことはない、ジェットコースターや悪天候の飛行機のほうがひどいと言う程度のものだったので、ケロッとしているとなんだこいつみたいな目で見られた。

多分、この世界ではああいう揺れとか振動を感じる機会がないし、車もないので酔いに弱いのだろう。


んで、一通り操作を教えられて自分で動かす段階になって、ようやくもっさりというか間延びした動作の原因が分かった。

なんらかの動作中は一切の操作入力を受け付けないのである。

そして操作系は限られていて、できる動作も限定的。

よくこんなので戦闘するなと思う。


「動作中に次の動作の入力をできるようにできないの?」

「そんなことしたら相手の動きに対応できないじゃないか」

「だからその入力した動作は最後に入力した動作で上書きできるようにするか、キャンセルできるようにしたらもっと動作が繋がって早く動けるんじゃ?」

「そんなのどこもやってないよ」


ユートにはばっさり切り捨てられた。

いや、どこもやってないからやればアドバンテージになるのでは?

ついでに、なんか風魔法でジャンプしてるみたいなので、ロケットやジェット機みたいに爆発や燃焼で飛べないのかと思ったのだが


「騎体で爆発を起こすとか頭おかしいんじゃないか」


と言われた。

うーん、まぁ魔法とかがあるせいで科学が全然発展してないみたいだし、そんなものなんだろうか。

とりあえず、魔導騎士自体はすっごいストレスの溜まる対戦ゲームと思えば乗れなくもないので、それなりに動かしていたが、模擬戦の戦績は勝ち負け拮抗といった感じだった。

もっとも、ベテランの間に入っての戦績ということで、ユートや騎士団長にはかなり驚かれたが。


その戦績のおかげで、数字合わせから解放されて魔導騎士の操縦者に配置換えとなった。

戦争に抵抗がないわけでもないが、私利私欲で皇帝を立てようとする貴族や、どさくさ紛れに領土をとっていく悪辣な周辺国に制裁を加えるというユートには共感できるし、食わせてもらっている恩もある。


その後はせっせと魔導騎士に慣れるために、毎日操縦訓練の日々だったが、どうにも動きのもっさりさというか、動作後にワンテンポ開く感じが慣れない。

動作終了後に素早く次の動作を入力する必要があるのだが、動作中の入力は全く受け付けてくれないので、どうやっても間が開くのである。


個人的にはそんなわけで、全然伸びている実感がないのだが、周囲から見ると慣熟が早いらしく、一目置かれるようになっていた。


「いやぁ、日に日に置いていかれる感じで、私としてはすっごく焦ってるんだけど、なんかコツとかあるの?」


ある日の訓練後、同じ時期に操縦者になった女子に声をかけられた。

短く切り揃えられた黒髪のせいで、ボーイッシュな印象を受けるが、でるところはきっちりでていて、中々の自己主張である。

狭いコクピットで邪魔じゃないんだろうか。


「別にコツというほどのことではないけど、とにかく動作の終了タイミングを逃さないように、次の動作を入力できるようにしてるかな」


動作中の入力は受け付けてくれないが、入力自体ができないわけではない。

攻撃動作中に、横移動にレバーを入れておけば、動作が終了次第横移動に移れるので厄介な間が発生しない。

ジャンプ以外の移動系は入力を終えれば動作の終了も早いので、間に挟むには最適なのである。


「よく攻撃した後に横とか後ろに動いてるのは?」

「棒立ちよりいいでしょ。攻撃動作中に移動レバー倒しておけばすぐ動けるし」


他の操縦者はやってないようなのだが、なんでだろうか。


「へー、そうなんだ。君、おもしろいこと考えるね」

「そんなに変わったことかな?」


間を無くしたいと思うのは当たり前だと思うのだが。


「今度さ、食事でもしながらいろいろ聞かせてよ!今日はもう帰らないといけないから、また明日ね!」


そう言って彼女は元気よく手を振って走っていった。手だけでなく胸も振れた気がしたが、多分気のせいだろう。


「ほほう、色男君、もてているようではないかね」


ぬっと後ろからユートが現れ、肩を組んできた。


「あれはお転婆と有名なミゼル男爵家のミリア嬢だな」

「よく知ってるな」

「美人の情報を俺が逃すわけないだろ」


キリッとキメ顔で、歯がキラーンと輝いてそうなポーズだが、こいつがもてているなんて話はとんと聞いたことが無い。いつもナンパも失敗してるし。


「あぁ、同じ操縦者として相談くらいは乗るさ」

「友として応援しているぞ!では早速、ミリア嬢攻略の作戦を立てよう!」


その作戦、全く役に立たなさそうなんだが。

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