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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第9章 むっつめの世界 ~冒険者たちは塔を目指す~
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9-15 自衛官、大学生と合流する

「来ませんね。途中でくたばったんじゃないですか」


マリア(クソメイド)が昼間から酒を飲みながら勝手なことを言う。

滝川を60階で待つことにしてから、一度50階と55階のギルドに掲示を貼りに行った以外は、朝に少しモンスターを狩って、換金できるドロップが出たらそれを宿泊費と酒代にあてるという自堕落な日々を数日続けている。


「お前、なんでそんな容赦ない性格なん?前世で友達いなかっただろ」

「こんな性格になったのは転生してからですよ?」

「なんでだよ」

「なんか転生してるやったーからの両親に捨てられて孤児院ですよ?性格が歪んだだけで済んだだけましでしょう」


ましなのか?

まぁ、こいつもそれなりに苦労したということか。


「まぁ、父親からの支援は陰に陽にありましたから、いうほど苦労してませんけどね」

「してねーのかよ!」


同情して損したわ。

まぁ、そういう奴だと言うことを一瞬でも忘れた俺が悪いのだが。


「ところで、前世の記憶をもとに私は日本人とは認められないんですか?」

「前世のお前は死んでんだからもう戸籍ねーだろ。あと、国籍法によると両親のどちらかが日本人じゃねーと日本国籍付与されねーよ」

「むう」


マリアは不服そうである。


「なに、日本に帰りたいの?」

「いえ、別に?」


こいつぶっ飛ばしてやろうか。


「まぁ、日本の生活は便利だったとは思いますが、今ほど自由にはできないでしょうし」

「ほんとにな」


むしろお前は自由すぎると思うけどな。


「けど、日本人と結婚したら日本国籍とれますよね」

「そうだけどあてあんの?」


他人事のように言ったら、マリアがよよよとウソ泣きを始めた。


「ひどいわ!あんなに私のことを求めておいて!私のことを弄んだのね!」

「おいいいいいぃぃいぃ」


むしろ俺が襲われたほうなんですけどぉ!?

というか、大声で何言ってんのぉ!?

ギルド職員の視線が痛いからやめろぉ!


「最低ですね」

「最低だな」

「最低の男どすなぁ」


あとなんかいつの間にか来てた滝川(アホ勇者)御一行様に聞かれてるんですけど!?


「滝川、お前こいつがどういう奴か知ってるだろ!」

「あ、よく見ればいつぞやのクソメイド」

「クソは余計です。ケツから指突っ込んで奥歯ガタガタ言わせますよ」

「そういうところがクソなんだろ」


なんか一気に賑やかになったわけだが


「なんで彼女らがいるの?」

「そこのメイドがいるのと同じ理由では?」

「そういえばなんでお前(マリア)いるんだ?」

「えぇ・・・」


言われてみたらなんでマリアがこっちの世界飛ばされたのか聞いてないわ。


「夜寝て起きたらいましたけど」

「俺と一緒のパターンか・・・」


やっぱ滝川は寝てたら飛ばされたのか。つまり


「お前寝なかったらもう大丈夫じゃね?」

「死ぬんですけど」


ノリの悪い奴め。


「それはそうと、桐島さん、さくっと帰りましょう!」

「そんな急いでもいいことないって、どっちみち登らないとダメなんだから、明日出発な」


ん?と滝川が首を傾げている。


「桐島さん、いつものあの転移装置とかいうのは」

「あぁ、あれこの世界だとなんか使えないらしいんだわ。一定の高さまで上がったら帰れるらしいから、とにかく塔を登るしかないんよ」


そう告げたら、滝川と騎士っぽいねーちゃんと狐耳のねーちゃんが緊張の糸が切れたようにふにゃあと机に突っ伏した。


「何が今日でお別れなんよ。さっきまでのしんみりした空気返しなはれ」

「うう、嬉しいような拍子抜けなような・・・」

「え?え?どゆこと?」


なんか若干1名、黒いドレスのねーちゃんだけ状況を分かって無さそうだが、それを見たマリアがぼそっと、この姫様もポンコツかと言ったのを聞き逃さなかった。

その後、狐耳のねーちゃんが、もうしんみりは無しやとか言いながら酒を(勝手に)注文しだし、日が暮れる前には皆酔いつぶれることになってしまった。

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