第13話 挑戦をする
第三位階上位
夜を徹した狩りの末、クアンダを残り20体まで撃ち減らした。
流石に後半は群れが多かったが、夜襲で群れを丸ごと刈り取り、親子共々俺達の糧になって貰った。
そんな夜を超えて、朝が始まる。
転生して28日目。タイムリミットは残り3日に迫っていた。
◇
朝の狩りに出向き、よろよろと歩く不憫なクアンダを7匹始末し、帰還した。
朝食をとりながら、コアの報告を聞く。
『先ず最初に、担い手がホブゴブリンに進化し、E級に到達しました』
「よし」
ホブゴブリンがどんな物かは分からないが、E級って事はいよいよ薬の投与だな。
『ホブゴブリンはゴブリンがより一層人に近付いた様な見た目の種です。個体によって差は大きいですが、担い手はより一層人に近い見た目をしています』
「成る程?」
『今は彼らの作った荒い布を纏っていますが、やがては服が必要になるかもしれません。取り急ぎ、担い手に秘薬を投与しますか?』
「実行だ」
『はい……完了しました』
まぁ、あんなボロ布みたいなのを着て、荒い紐で木の枝を纏めた様な防具を纏うゴブリン達には、確かにちゃんとした服と鎧が必要だ。
いつかDPを使ってきっちりした物を用意する事になるだろう。
『続けてですが、エランもまたホブゴブリンに進化しました。ランクは変わらずE級ですが、寿命が伸びた事で少し若返っております』
「めでたいな」
戦力としては当てにしていないが、統率者としては実績があるし、鍛治をこれから鍛えて行こうってんなら若いのも十分役に立つ要素だろう。
現状じゃぁ俺も含めて見習い鍛治師の更に前だから、しっかり修行して行く事が必要だが。
『次は、武装の入荷、2種です。最初にグランクスの武装16点が入荷しました。それぞれ、ランクスソードとランクスアーマーです』
「ふむ」
『続けて、剣と鎧を合わせた武装、グランサージが入荷しました』
「良いね」
安直だが、強敵の名を冠する武装と言うのは脅威が味方になったみたいで良い。
頼もしい様な気がして来るが……やっぱり実戦で試さないと、どんな物か分からない。
少し悩んでいると、コアが提案する。
『これら武装をドール等に装備させ、実戦を行う事を提案します』
「それは良いが、相手はどうする?」
いずれやらなきゃいけない事だ、重要なのはやはり相手だが、果たして——
『弱っているクアンダならば、相手として申し分ないかと』
「……」
そんな答えに、俺は黙り込む。
流石にD級相手はキツく無いか? とか、大丈夫なのか? とか心配ばかりが浮かぶ。
そんな俺を諭す様に、コアは言葉を続けた。
『魂の保護枠を15個程解放し、ランクス一式を纏った8体のドール、デミガンドライアスを持たせた2体のドール、グランサージを纏いガンドライアスを持たせたドールソルジャー。それからマスターとカースドドール、クロの3人、計14名で隊列を組んで活動する事を提案します』
「……ふーむ」
態々危険を犯しに行く愚、と捉えてしまうのは、あまりにも保守的過ぎるだろうか?
少し冷静に立ち返ってみると、残るクアンダ13体は、連日の生気の吸収で大分弱体化している個体だ。
それに対するは、D級の武装を纏うF級。実質戦闘力が推定D級に、同じくD級の装備を纏うE級、実質D、合計11体。おまけに純粋にD級の俺達3人だ。
案外、心配性なだけで、保護枠なんて1つすら要らないのかも知れない。
それに、やがては……それこそC級の群れと正面衝突する様な事態が訪れた時、武装がどの程度通じるかを知っていないのは、余計な損失を生む事になるだろう。
D級がいて、弱っていると言う事実。
今が、1番の、武装を試すチャンスだった。
「……よし、やろう!」
『はい、実行しました』
……まぁ、保護枠は必須だ。万が一があるからな。
◇
瞑想して待つ事暫く。
昼を回る前に、ドール達は到着した。
それぞれが強そうな武装を纏う様は、もうそれだけで頼りになる気がして来る。
だが……やっぱり彼等がD級並みの実質戦闘力を持っていても、バンムオンの右腕やゴルボルズの突進、グランサージの斬撃を受け止められるとは到底思えない。
それだけ不安が勝る訳だが、ともあれ、今回はそれを幾らか払拭する結果になる事を祈っておく。
「……それじゃあ、出発しよう」
『ナビゲートします』
頼もしいコアの声に導かれ、俺達はD級と言う脅威へと歩みを進めた。




