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第12話 目標

第三位階上位

 



 サボれば錆びると言う。


 一方で、魔力が活性化していてスキルがある世界では、スキルが強い記憶の役割を果たし、多少サボっても錆びないらしい。


 とは言え、一応念の為、一通りやってみる事とした。


 ナイフを両手で振り回す短剣術訓練、長距離射撃訓練、移動しながらの射撃訓練、持久走と怪力スキル強化の為の重量物運搬訓練、疾駆スキルや跳躍スキルの訓練等、様々な訓練を行なった。


 俺がそれをやる一方で、シャドー達は夜を徹して、クアンダとそれ以外の脅威となる生物全てに取り憑いて貰っていた。


 更に他方では、スライム軍団が勇猛大平原の小虫を狩り尽くし、プチクイーン達が白波海岸の魚介を狩り集める。


 入手した素材は、全てペペルタの餌として提供され、その進化を補助。

 他にも、ドール達がひたすらに剣術の訓練をしたり、マリオネットが魔力操作の訓練をしたりと、全員が全員しっかりと戦闘や修行をする。



 そんな夜が明けた。



 27日目、タイムリミットは4日と迫っている。



『おはようございます、マスター』

「あぁ、おはよう」

『今一度、状況を整理しましょう』

「おう」



 目的を達成したつもりでいるが、実際には湿地帯の目的、C級エリアボスの撃破が残っている。



『我々の目標は、壮大湿地の支配です。その為には、壮大湿地東エリアを支配するC級エリアボス、仮称レッサーリトルヒドラを討伐しなければなりません』

「そうだな」

『レッサーリトルヒドラを討伐するには、全ての不穏分子を事前に排除する必要があります。その為、D級亜竜、クアンダの全討伐と、それ以外の全てのF、E、D級に相当する脅威を討伐ないし無力化しなければなりません』



 そう、後およそ3日で、壮大湿地全ての外敵を排除し、ヒドラ何某に仕掛けなくてはならない。



『即ち、やる事は……』

「……昨日と変わらないって訳だ」





 連日の魔力訓練により、サージナイフを振れる回数を1回分増やした。


 これにより、1度の狩りで7体のクアンダを仕留め、4度の狩りで28体のクアンダを狩り、夜になった。



『マスター、そろそろ北部の支配を進めましょう』

「そうだな」



 忘れていた。


 ……訳ではない。


 おそらく、避けていた。



 ——北側にはA級がいるから。



 やらざるを得ない段になって初めて行動する辺り、本当に不安に感じていたらしい。



『決戦に備えて袋小路の森北部山岳も支配しましょう。実行には合計で6万P程掛かります』

「実行だ」

『完了しました。新たに観測されたクアンダは……20匹。直ぐにシャドーシーカー達を向かわせます』



 流石、優秀だ。


 シャドーワーカーよりもシーカーの方がより攻撃的な種だから、急速に生気を吸い取れるだろう。



『また、新たな特筆エリアを発見しました』

「ほう?」

『壮大湿地北部北西、やや標高が上の、水竜湖畔の岬付近に、リザードマン100体規模の集落を発見しました』

「うーむ」



 水竜湖畔の岬となると、ほぼ水竜湖畔の中と言う事だ。

 つまり、討伐は現状では不可能に近い。接触も同じだ。


 しかも、それだけ近いとなると、そのリザードマン達はA級と共存している可能性が高い訳だ。



「ちょっと無理そうだな」

『はい、まさに。また、その地のリザードマン達は、地脈の噴出口に近い為か、もしくは長生きの為に、全体的なランクが高く、D級に到達している個体も複数存在します』

「これまた厄介な」



 戦うとなると……多分C級と正面対決するくらいの戦力だろう。もしくはそれを越えるか。

 水竜湖畔には実質A級とC級がいるに等しい。



「狩れそうでも手を出すのはやめておこう」

『賢明ですね。この地を『蜥蜴達の安息地』と呼びましょう』



 名付けが相変わらず早いな。


 何者も手が出せないから安息地と言ったところか。



『次ですが、ゴーレムのガラが鉄を取り込み、メタルゴーレムへ進化しました』

「ほう」

『コア強度もそれに準じる為、実戦闘力が大幅に上昇しています。また、ガラは鍛治の知識を持つ様で、昨夜から長老ゴブリンのエランと共に鍛治を行なっています』

「ほう?」



 鍛治の知識を持つゴーレムで、名前がガラ……。


 何かの間違いじゃなければ、あまりに付合する点が多過ぎるな。



「……まさかな」

『……十中八九と思われますが』

「そんな数奇な事が?」

『混じって優勢化した可能性が高いかと』

「成る程なぁ」



 主語の無い会話だが、何となく分かった。


 つまり、ガラは本当はゲラで、ゴブリン達の友人、ゲララッハの転生個体。

 ゴーレムになったのは、ゴーレムと共に死んだからで、ゴーレムの魂と混じって打ち勝ち、ゴーレムとして転生したと。


 それが出来るだけの、色濃い魂を持っていたのだろう。



「……そう言う事って頻繁にあるのか?」

『稀にあります。強い感情を持って死した場合が殆どですが』

「ふーん」



 案外俺も……なんか地縛霊やってたみたいだし、強い感情ってもんを残してたのかね。



『ともあれ、ガラの鍛治レベルは少なくともマスターよりは遥かに上であり、鋼魂錬磨法等の錬磨技術を理解している様子だったので、幾らかの素材の提供を提案します』

「コアに任せる」

『承知しました。差し当たりゲララッハの墓前に置かれた魔鎚とブレイドラビットの角、魔石を提供してみます。また、ガラの更なる進化の為に、ゴーレムの土と魔鋼を提供する事も提案します』

「それも実行だ」



 ガラの戦闘力がどんな物かは分からないが、鋼の肉体に重量のある盾や鎚を持たせれば、頼りになる重装兵が出来上がるだろう。



『報告は以上です』

「おう」



 夕食を摂り終え、早速瞑想に入る。


 何せ、タイムリミットが迫っている。


 今日はより一層隠密活動に注意を払い、夜を徹してクアンダを狩る。



 

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