第8話 凶報
第三位階上位
「……は?」
……白鎧が、死んだ……?
そんなバカな。
なんでそんな事に。
いやあり得なくは無い。
小規模世界の選択はギャンブルだ。
同輩が死んだなんて。
運が悪かったのか。
色んな考えが頭の中を通過し、コアの声でハッと我に帰った。
『マスター! 落ち着いてください』
「あ、あぁ……そうか……あいつが……そうか……」
割とショックが大きかった。
同じ立場の奴が死んだ。それだけの事。
そう、割り切れないくらいには、仲間意識があったらしい。
「そうか……」
『マスター、救えます』
「そうか……ん?」
今、なんつった?
「なん、なんて?」
『神様からの簡易的な連絡に曰く、鎧のダンジョンマスター様の戦死を確認、コアは無事です。との事でした』
「ふむ?」
どのみち、死んでいる事には変わりないんじゃないか? 救えるみたいな事言ってなかったか?
『先日の我々コアのアップグレードにより、新たな機能として魂の保護枠とその蘇生枠の追加が可能になっています』
「蘇生……?」
『はい、魂さえ確保出来ていれば、コアが無事ならば蘇生の可能性があります』
「そ、そうか……!」
なら、行けるのか?
『勿論、勝算の低い賭けです。魂を回収出来る状態に無い可能性もありますし、直ぐにでもコアが侵攻を受ける可能性、もしくは受けている可能性が高い。ですが望みはあります』
「俺達に、何か出来る事は無いか?」
いや、無いだろう。
救えるとか、賭けとか勿体ぶっているが、なにせそもそも、世界が違う。
この場でじっとしてる事しか出来ない筈だ。
……でも、コアなら何かを導き出してくれるかもしれない。そんな思いで問うたそれに、答えは来た。
『マスターが貰ったアレを使えば、DPを送る事が出来るはずです』
「アレ? ……送る……そうか……!」
アレか!
「白猫チケット!」
『そうです!』
確か大体の物を大体の場所に届けられるとか言っていた筈だ。
確かにコレなら、DPも送れるに違いない。
『マスター、最悪を想定しましょう。我々が鎧のダンジョンコアに送るべきDPは、魂の保護枠の1万DPと、蘇生枠の100万DP。合計101万DPです』
「くっそ、今朝あったな」
『過ぎた事は致し方ありません。これからポイントを稼ぐしか無い。それもなるべく早くです』
そうだな。くそ……仕方ない。
こうしてる間にもコアが攻められているかもしれないが、今直ぐにDPを貯められる訳じゃ無い。
「最短はどのくらいだ?」
『このまま活動せずにいると、およそ3日程で90万DPに到達します。なので、3日以内に外敵を狩り、11万DPを貯める事で、最短3日で101万DPを送る事が可能です』
「その為には……」
勇猛大平原の小虫共を殲滅したり、白波海岸の魚介類を狩る……だけじゃ足りないだろうな。
『マスターのご明察の通りかと。勇猛大平原と白波海岸での殲滅を行なっても、稼げて1万DP。残り10万DPを貯めるには……』
「クアンダを狩る、か……」
『はい……』
D級が彷徨いているエリアでそれ以外の狩りなんて出来ない以上、D級を狩るしかない。
それも、今あるアイテムだけで、だ。
「目標数は何体だ?」
『およそ……25体です。それだけ狩れれば、必要ポイントに到達するかと』
「25……か」
中々に多い。
だが、とても狩れない数じゃない。
「改めて、状況を整理しよう」
『マスターの御心のままに』
先ずは、今残ってるアイテムの確認だ。
◇
ルーセントソード20枚。爆石8つ。
これが有効な打撃となるアイテム系手札の全てだった。
今直ぐにでも動き出したいのをぐっと我慢して作戦を練る。
——内容はこうだ。
先ず、夜にシャドー達がクアンダの影から生気を吸い取る。
翌日に、弱ったクアンダが4足で歩行し頭が下がっている所を、シャドーウォークで接近、シャドーバインドで首を固定し、サージナイフでそれを刎ねる。
本当は夜にも狙いたいが、騒ぎを起こせばシャドーに被害が及びかねない。
ルーセントソードは最後の詰めか、もしくは仕留め損ねた際の後詰めに使う。
24日目の昼より、タイムリミットも7日と迫る中、辛い待ちの数十時間。
今不足し、喉から手が出る程に欲しい魔力を増やす為、瞑想と魔力操作の特訓に従事した。




