表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/115

第6話 敵ばかりでは無い世界

 



 ルー先生を補給し、改めて白波海岸に入った。


 晴れ渡る空に、白い砂浜が日光を反射して、より一層明るく見える。

 流れて来る潮風には僅かな磯臭さを含み、見渡す海には色とりどりの珊瑚やその他がキラキラと輝いていた。


 不意に見下ろす海から、イルカが跳ねた。


 そうと思うと、イルカは浅瀬までやって来て、水中からズザーっと顔を出す。



「きゅ! きゅー!」

「おうおう、なんだこいつ。なんだこいつ?」



 イルカには、ちょっとした角が生えていた。

 やはりただのイルカでは無いらしい。


 イルカが暫しきゅーきゅー言うと、不意に角が光を纏い、水が浮かび上がる。


 急に戦闘かとも思いつつ、その水を見ると、西側を指し示す様に水が流れているのが分かった。

 何かと西側を見ると、遠目に岩場があるのが見えるばかり。


 そうかと思えば、イルカはバシャバシャ海に戻り、その群れ達が飛び跳ねながら西に向かった。


 コレは導かれてると見て良いのか、それとも狐みたいな話なのか。

 ともあれ、いきなりエリアボスが居ると思われる東の岩場に行くよりはずっとマシなので、イルカ達に付いて行く事にした。





 暫く走り、砂浜を抜け、岩場を進み、辿り着いたのは入り江。


 ちょっとした広さで、川と繋がっているプライベートビーチだった。


 場所的には、白波海岸最西端のエリアだろう。

 そこには小さなイルカ含めて数十頭のイルカが群れていた。


 海側の出入り口は狭く、大型の外敵が入り辛い様になっている他、地上側からの侵入もし辛い立地。

 川側は比較的緩やかだから、そこから勇猛大平原西の森に出れるだろう。


 そうと考えていると、さっき海から顔を出した、1番角が大きい個体が、ダバダバと川登りを始めた。

 多分付いて来いの延長だろうが……淡水とかは、まぁ、大丈夫なんだろうな。


 そのままダバダバするイルカを追いかけ、何度目かの分岐を越えて少し進むと、それは見えて来た。


 複雑な流れの川の影響か、そこは水面が穏やかなちょっとした湖になっていた。


 すり鉢状のそこは、綺麗なグリーンで満ち溢れている。


 苔とかでは無くおそらく翡翠とか、そう言った感じの宝石類だ。


 湖の中心できゅーきゅー鳴いているイルカに近付き、その背を撫でる。



「良い景色だ、ありがとな」

「きゅーぃ!」



 記念に落ちている宝石の一つを摘み上げる。


 ピンポン玉くらいの大きさの宝石は、日に翳すと微かにそれを透過し、煌めいて見えた。


 シーカーもニュルッと現れると、宝石を手にいっぱい持ってキラキラと光に翳して喜んで……いや、透過した緑色の影を食べてるのか? 花より団子……まぁ良いや。



 暫しの間、涼しい湖でバカンスの様な時間を楽しんだ。





 イルカと別れてルー先生を指針に川を北東へ進んでいると、程なくして勇猛大平原に出た。



『マスター、御無事の御帰還、お喜び申し上げます』

「おう、今回は何にも無かったぞ」



 そんな事を言いつつ、報告する。


 イルカが友好的な事や、その秘密基地みたいなエリアの存在に、更なる秘密の場所の存在。



『成る程、ではそのエリアを『イルカの秘境』と『翡翠ヶ池』と呼びましょう』

「OK」



 相変わらず名付けが早い事で。



『それから、白波海岸の勢力図も見えて来ましたね』

「あぁ」



 あくまでおそらくだが、蟹の狩り場とイルカの狩り場がバッティングした結果のあの争いだろう。

 蟹の動きやイルカのその後の動き、感謝のしようから、争いはそれなりに長く続いていた物と見られる。


 ただ、あの様子じゃイルカを戦力として数えるのはやめた方が良いだろう。犬死にが増えるだけだ。



『それからマスター……重要な報告が一件あります』



 態々溜めを作って重要と言うのだから、余程重要な事なのだろう。

 果たして——



『ゴルボルズの角ですが、献上要請が届いています』

「献上で」



 邪女神様がお怒りになったらどうする。ってか献上要請なんて来るんだなぁ。



『はい、直ちに! 完了しました!』

「ふぅ」



 なんか一瞬で緊張が走ったぞ。流石は神様。


 一瞬の五体投地から復活し、小走りに勇猛大平原を東進、緊張を紛わす為の運動は暫く続いた。





 今日も今日とて修行の日々。


 時にアクロバティックな動きで銃を扱う訓練をしたり、縄で繋いだ重量物を引きずって走る訓練をしたり、或いは化石を掘ってみたりと、ハードな特訓を続け、夕食の時間になった。



 バンムオンの肉のステーキを食っていると、気になった物が一つ。


 小瓶に入った桃色の液体だ。



「これって」



 触ってみると、ひんやりとした冷感。



『ミルカルグオンの乳です。ポーションの小瓶では量が少ないので、3本程お飲みください』

「おう」

『地下水で冷やしております』

「サンキュー」



 マジでコア有能なんだよなぁ。


 そんな事を思いつつ、鳥乳をありがたく頂いた。

 本来買わないと手に入らない貴重な甘味だ。


 原料には些か疑問が残るが、大切に飲んで行く。



 そうして美味い飯を掻き込み、修行の再開だ。



 爆石を使用すると言う手前、射撃訓練がメインとなる。

 よくよく当たる様になったそれをこなしつつも合間合間で考えを続けた。



 そも、今回のエリア、白波海岸のタイムリミットはどれくらいなのか。


 コアに曰く、想定10日だ。


 その理由は、白波海岸とは真反対の北側にあった。

 端的に言えば、湿地帯エリアの魔物達が動き出すまでの時間だ。


 故に、白波海岸の攻略は早ければ早い程良いと言う事になる。

 出来れば明日にでも、支配を終えてしまいたい所だ。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ