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第5話 探索を始める

 



 取り敢えず銃には破石と爆石を4つずつ仕込み、スクロールは氷と炎、水と電気のペアに加えてマナアーマーを1枚、ルー先生を5枚仕込んだ。


 準備を終えた所で、コアから声が掛かる。



『マスター、シーカーが合流しました』

「うん?」



 その言葉に辺りを見回すと外壁の階段を影が登って来る所だった。


 歩み寄ると、影も立ち上がる。


 まぁ、顔立ちは分からんが、ドレスを着込んだその姿を褒めない訳には行かないだろう。



「良いじゃないか、似合ってるぞ」



 するとシーカーは嬉しそうに駆け寄って来た。


 それを迎え、日の元でシーカーを持ち上げる。


 相変わらず重量の無い体を空高く持ち上げ、クルクルと回ってやると、シーカーも嬉しそうに両手を広げた。

 暫しそうやって遊んだ後、コアから声が掛かる。



『マスター、まだゴーレムの調査が終わってませんよ』

「忘れてないぞー」



 そう言いながら、シーカーを飛行機にして北西へ駆ける。

 まぁ、じわじわ西に寄ってたし、持久走や疾駆の特訓も兼ねて、このまま外壁上を走れば良いだろう。





 暫し走った所で、ゴーレムのいる場所に到着した。


 見下ろすと、ゴーレムは相変わらず壁を掘り続けていた。


 さてさて……。



「ランクは?」

『F+相当。テイミングの範囲内です』



 早速、接触を試す。


 そも、何故ゴーレムのテイムを試してみようと言う話になったかと言うと、ゴーレムと言う種族が根本的に強い種族だからだ。


 コレはドール達にも言える事だが、先ず怪力。それに加えて高い防御力を持つ。

 特に、ロックゴーレムはコアの進化規格ではドールの上の上、D級から出る。


 サイズはこれの倍以上からだが、格落ちの自然物とは言え、仲間に出来るならしておいた方が良いだろうとの判断だ。



 脱兎を使って大した事ない崖から飛び降り、洞窟の中へ声を掛ける。



「おい、あんた!」



 改めて、此方へ振り返ったゴーレムを見た。


 サイズは俺より少し小さいくらい。

 体は石の塊だが、やや寸胴ながら人間の様に四肢があり、5指があり、目の様な窪みのある頭があった。


 ゴーレムは暫し俺を見ると、不意にドタドタと此方へ駆け出す。


 すわ、戦闘かと右腕を前に出した所で、ゴーレムは俺の目の前で止まった。

 出された右手に両手で捕まり、そうかと思えば伸びて来た手が肩を抱いた。


 まるで、異国の地で同郷の者と出会ったかの様な反応に面食らうが、取り敢えずされるがままにして、気が済むまで待つ事とした。


 少し待った後、落ち着いたゴーレムは俺から離れ、ぺこりとお辞儀した。



「コア」

『はい』



 敵対しないなら、後はコア次第だ。


 更に暫し待ち、無事ゴーレムのテイミングは終わった。


 コアの話によると、ゴーレムは高い知能と何らかの記憶を持つらしく、その詳しい所は分からなかったが、極めて友好的である事、名前をガラと言うらしい事が分かった。


 どうやら、稀にあるらしい、僅かな記憶を持って産まれた、転生個体と言う奴だったらしい。



 まぁ、なんであれ、もう直ぐE級になりそうな強力な味方が身内に加わった事を喜んでおこう。



『それではマスター、ゴーレムの案内は私に任せて、マスターは昼食を摂り次第、白波海岸の調査に赴きましょう』

「おう」





『装備は万全ですね。スクロールに爆石、破石も良し。ポーションは上級を奮発してみては? 1本1万DPです』

「流石に1本で1万は……」



 コアは心配性である。


 防壁から飛び降り、勇猛大平原を歩きながら、確認を進めた。



『シーカー、マスターを命掛けで守るのですよ』



 ニョキっと腕付近から生えて来たシーカーが、俺がしていた様に親指を立ててコアに応えた。


 命掛けの事態が来ない事を祈ってるよ。



 そんなこんなで遠目に見えて来た海に、蟹がいた。



「え゛?」

『マスター?』



 遠目でも十分デカいと分かる蟹は、海岸の波打ち際で暴れており、時折謎の水流が打ち上がって蟹の目元を覆っている。


 何かと巨大蟹が争っているらしい。


 チャンスかもしれない。



「巨大蟹と何かが戦ってる」

『!? エリアボスかもしれません、ご注意を』



 問題は、漁夫の利を得るか、助けに入るかだ。


 少なくとも明らかに、水を操っている方は蟹の甲殻を傷付ける事も出来ず、劣勢だった。


 駆けながらどうするか考えていると、不意に蟹が向きを変える。

 戦いを取り止め、此方へ進路を変えた。


 背後から浴びせ掛けられる水を気にしないその動きは、強者の余裕を感じさせる。

 まるで、そう、水中の厄介な獲物から、陸上の簡単な獲物に切り替えたかの様な動き方。


 おそらく、シーカーが付いている所為で黒いから、牛が接近して来ているとでも思ったのだろう。


 蟹は浅瀬の水を蹴り、泥と砂を巻き上げて爆速で此方へ迫る。



「蟹がこっち来た!」

『!? ではそのまま領域内で!』

「了解!」



 その声に従いコアの支配領域内に留まり、蟹を待つ。


 見上げる巨体が高速で迫る様は、トラックが突っ込んで来ているかの様だった。


 果たして——蟹は領域に入った。



『想定! D級です!』

「やっぱりか! ルーセントソード!」



 唱えるや、現れたのは5倍ルー先生。


 勢い良く迫る蟹へ、ルー先生は一息に接近し、閃いた。


 刹那——蟹が地面を転がる。


 片方の足を一瞬で断ち切られ、勢い余って転倒したのだ。

 それに構わず、ルー先生は再度閃く。


 今度は、逆の足全てを根本から断ち切る斬撃だ。


 蟹はこの時点で、機動力を完全に失った。


 しかし、半分以下になったルー先生は止まらない。

 ルー先生は2度閃き、今度は2本の鋏が落ちた。



「OK、トドメは俺な!」



 スッと解け消えたルー先生に最後のメッセージを貰い、脱兎を使って大きく跳躍する。


 狙いはひっくり返った蟹の甲殻。そこ目掛け、俺は右腕を振り上げて——


 ——叩き付ける様に振り下ろした。



 ——バギャッ!!



 湿った、それでいて快活な音が響く。


 蟹の甲殻が砕け散り、中身がドバッと飛び散った。



『D級の死亡を確認、お疲れ様ですマスター』

「……ぺっぺっ、蟹味噌は別に好きじゃない」



 そんな感想を抱きつつも、危なげ一切無くD級を倒せた事に内心喜んでいると、その報告は来た。



『獲得ポイントは3000DP。おそらくエリアボスではありません』

「まじか」

『まじです』



 ま、まぁ……D級と言う脅威の一つを事前に排除出来たのだから良かったと思おう。

 それに、5倍ルー先生の強さも確認出来たしな。


 今後エリアボスじゃないD級とまた遭遇する可能性に目を瞑りつつ、そうと思う事にした。



 

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