閑話 そんな過去とこれから
【勇猛なる者達の記録】
それ等は、産声を上げたその瞬間に、本来一つで産まれて来る筈だった事に気付いた。
それは、1つの運命であった。
2匹は日々切磋琢磨し、その身に宿る力を磨き、肉体を鍛え続けた。
袂を別ったのは、派閥が生まれた時。
それぞれがそれぞれ別の群れを率いて、大平原を別つ川を境に、縄張りを主張する。
——群れの為の判断だった。
その時から、2匹の成長は滞る。
遅々として進まぬ成長、打開しなければならない、しかしその為には……そんな思いが募るある日、火の角を持つ彼はふと、気付いた。
——兄弟が死した事に。
それもまた定め。
いつの日か、雌雄を決する時は来た筈だ、それが偶々、今日だった。
火角持つ彼は、咆哮した。
それは縄張りの主張であり、魂の帰属を告げる歓喜の号砲であり、そして……どうしてか、嘆きを多く含む悲嘆の叫びとなって平原に響き渡った。
戦わねばならぬ。
——力の主張の為に。
打ち倒さねばならぬ。
——魂の真価を取り戻す為に。
敵が何かは、何故か既に分かっていた。
◇◇◇
〜ifモンスター、3日待っていた場合〜
名称:砕き散らす雷
固有名称:無し
神霊位階:第四位階下位
神霊数値:【31】
備考:
牛型の魔物、チャージブルの近似種と見られる。
この個体は風と火の闘争神話を形成しており、勝利を得た事で進化に至った確固たる現神個体である。
極めて強大なパワーを雷の瞬発性能で発揮し、易々と外壁を破壊する様は、正に天災と呼ぶに相応しい存在だった。
マスターの機転による5倍ルーセントソードと、右腕の万武音、被弾を折り込んだ接射爆石が無ければ、とても勝てない相手でした。
ゴブリン、ドール、シャドー系達の壊滅的被害、マナキャスターの破損、マスターの右腕欠損等、甚大な損害を被り、辛うじて討滅。
『勇猛大平原』支配個体——
◇◆◇
【勇猛大平原・サーチ記録】
生態系の頂点に立つのは、牛型魔獣単種である事が分かっています。
これは大平原の長い歴史の中で、牛達がその他の肉食獣達を退けた結果と見られており、牛達には狭い領域内で協力して生存する高い社交性がある事が分かります。
また、それとは別に、角を生やした兎の種が繁栄している事も確認が取れています。
兎の種は角がナイフの様な形状をしており、ブレイドラビットの近似種であると言えるでしょう。
兎達はかつての火山活動によって出来た脆い地形と、プレート移動によって生じた石灰岩の地層が重なる平原北部に多数生息しており、他の生物があまり入って来ない様な緩衝地帯を形成していました。
これは、兎達の生態、無差別的に他生物を奇襲し逃走するはた迷惑な生存本能による結果であり、牛達が北上するのを防いだ他、湿地帯から他生物、主にリザードマン等の侵攻を防いだ物と思われます。
それと同時に袋小路の森の熊や猪が西進する事も防いでいた物と思われ、兎達の功罪はより大きい物と推測されます。
中央に存在する川は、周辺の出水期に合わせて増水し、勇猛大平原を文字通り二分します。
これがエリアボスの支配領域をきっちりと分ける務めを果たしたと見られます。
また、出水期等の影響から、勇猛大平原地下には大規模な鍾乳洞が存在しています。
鍾乳洞で生じる石筍には魔力が宿り易く、魔石等に準ずる利用価値がある為、集めておいて損は無いでしょう。
地下の魔力濃度が高い鍾乳洞の存在が地上部の薬草類繁殖の要因となり、結果的に牛型魔獣達の繁栄の大きな助けとなった事が見て取れます。
それだけ、『歴史を持つ石』の存在は他所に影響を与えると言う事でしょう。
現時点で利用可能な資源は、『石灰岩』『石筍』『薬草』。




