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第20話 エリアボス撃破

 



 DPが足りないからとひたすらに修行に時間を使った翌朝。


 今日も今日とて、コアはウキウキしながら声を掛けてきた。



『マスター♪ 朝ですよ♪』

「あぁ、おはよう」



 まぁずっと起きてたけどな。



 早速朝食をとりながら説明を聞く。


 まず、サジェカントの魔石を与える実験をしていたプチモルムが、サジェカントに進化したらしい。


 並び立つ蟻達に、大きな可能性を感じながらも、取り敢えず進化に努める様に指示を出した。



 更に続けて合計100万匹いたジェリーの上位種達。

 此方も餌を与えた事により、倍に増殖した。


 また、ジェリー達も500万匹中200万匹が進化し、上位種の数は400万匹となった。


 コレでジェリー系だけで4万5000P程の生産になる。



 毎日の取得DPが10万程に到達したが、これもそろそろ頭打ちだろう。


 場所の都合上、増殖や繁殖よりも進化を優先する様に全体に指示し、今日のミーティングは終わった。



 敵の侵攻が始まり出したのは、昨日。



 コアの報告によると、平原から袋小路の森へ、兎の侵入が何度か見られたが、牛は侵攻する程には入って来なかったそうだ。

 理由は、牛達が多かれ少なかれエリアボスの支配を受けているからだとか。


 取り急ぎ行ったのは、袋小路の森と勇猛大平原の間への外壁と罠の設置だ。

 幸い材料には当てがあり、北から南へ掛けての壁と罠の設置は合計で10万DP。予算内で済んだ。


 コレで、敵の侵入を抑えつつ、石畳と木槍の落とし穴で、外敵の排除が出来る。

 外敵も、壁と言う物体を敵視して体当たりする様な事も無く、取り敢えず侵入していた牛や兎等を何事もなく狩り、今日の所は終わりにする事とした。





 更に明けて翌朝。



 コアの報告によると、残りのジェリー300万匹が上位種に進化したとの事。


 コレでジェリー系の上位種は700万匹。


 とは言え餌も無いし、数が数だけに魔力の薄い地上部で活動している為、今後は増殖もそうそう起きないだろう。


 1日の生産DPは12万となった。



 侵入し罠にハマる外敵を処理し、コアが必要な素材を取捨選択して、主にピッドやチッピに飼料として与える中、遂にその時は来た。



『っ!!』



 コアが強く明滅する。



「敵かッ?」



 その問いに、コアは少し沈黙した後、肯定した。



『……はい、エリアボスの内1体、仮称ゴルボルズが袋小路の森エリアの境目を彷徨き、北上しています』

「ゴルボルズ……」



 またなんか強そうな名前を付けたな。


 ともあれ、危惧していた奴さんの登場だ、罠でどうこうなる輩じゃ無いだろうし、もし突っ込まれたら、最悪白兵戦だぞ。どうする……。



「……そう言えば……月夜塚、確かエリア際の中部だったよな」

『はい、暫く後ゴルボルズもその付近を通過するかと』

「よし、分かった」



 このまま手をこまねいていても仕方ない。


 最悪の備えとしてトラップをあれこれ指示しつつ、戦場へと転移した。





 ルー先生を用いて周辺を詳しく把握、準備をしてから、所定の位置に着く。


 暫く待つと、その影は現れた。


 ドタドタと、少し動くだけで土が弾ける剛脚。



 筋肉に覆われた見上げる程の巨躯に、緑がかった角。



 ——ゴルボルズだ。



 迂回路を探してそれとなく彷徨っているのだろうそれに、俺は少し待つ。


 十分な距離に近付いた所で、姿を現し、ついでに大きな声を出した。



「おい! こっちだ!」



 それに気付いたゴルボルズは、唐突の外敵に蹄を鳴らして此方へ駆け出した。

 そこへ打ち込むは、土の破石。


 弾けた石槍がゴルボルズを驚かせ、転倒させた。


 それでも多少のダメージにしかならないだろうが、ともあれ次だ。



「おら! どうした!」



 煽る様に怒声を浴びせると、ゴルボルズは暫しのたうった後に立ち上がり、再度此方へ駆け始める。

 今度は警戒したゆっくりとした足取り。


 そこへ放ったのは風の破石。


 顔面へ直撃したゴルボルズはしかし、思っていた程の威力にならなかった様で、怯むに留まった。


 明らかに遠距離攻撃を受けている事に気付いたゴルボルズは、怒りを露わに駆ける速度を早める。



 果たして——



 ——作戦は成功した。



 ゴルボルズは穴に気付くや少し跳躍し、しかし顔面からこちら側の崖に衝突。

 派手に大きな穴の中に落下した。


 それだけでは仕留められないだろうが、当然それだけじゃ無い。



 ——GuuMoooーー!!?



 悲鳴が響いた。


 どすんどすんと地面が揺れる中、俺は急いで袋小路の森側へと離脱する。


 そう、ゴルボルズが落ちた穴こそ、俺も落ちた穴——月夜塚である。


 今頃あちこちから出る角兎に突き刺され、ズタズタになっている事だろう。

 だが、それで死ぬとは到底思えない。故の次の策だ。


 月夜塚を詳しく調べた所、東側へ続く唯一の脱出路があった。

 それが無い方が、ゴルボルズを確実に仕留める上では有効だった訳だが、当然出入り口の無い穴に兎が住んでいるはずも無い。


 それが東側、袋小路の森側に続いていたのが、俺達には好都合。


 俺は壁の上で暫し待つ。すると、月夜塚の出入り口から、のそのそと重い足取りでゴルボルズが現れた。



「おい! こっちだこっち!!」



 大声で声を掛けると、ゴルボルズは俺を認識し、再度怒りの声を上げて突進してきた。

 しかし、それは先と比べて見る影もない弱々しさ。


 そこそこの勢いでやって来るゴルボルズ目掛け、銃口を向けると共に、俺は念の為のルー先生を召喚した。



「ギリギリまで引き寄せて足止めしてくれ!」



 そんな難しいお願いに、ルー先生は見事に応えてくれた。


 閃く光——足を斬りつけられたゴルボルズは、壁に当たるギリギリの所で、もんどり打って転倒した。


 そこに立ち並ぶのは、スクロールを持ったウッドワーカーとチェス・ミニマムクイーン達の砲口。



「第一波、撃て!!」



 そんな掛け声と共に、次々と炎の球と鉄の弾丸が放たれ、俺もそれに合わせてルー先生を召喚すると共に火の破石を打ち込む。


 果たして——ルー先生が撃ち方辞めの合図を出すと共に、地上に降り立ち、倒れ伏すゴルボルズの首を切り裂いた。

 頸椎の部分だろうか? それを切り裂かれたゴルボルズは、暫し痙攣した後、動かなくなった。



 ……倒した、のか?



『我々の勝利です、マスター』

「っ! よしッ!!」



 ぐっと拳を握り、突き上げる。


 エリアボスの内一体を、被害なく討てた。



 勝利を讃える様に、あちこちでチェス達の金属音と、ウッドワーカー達のハイタッチする鈍い音が響いた。



 

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