第19話 袋小路の制圧
風下から慎重に近付く。
見えて来たのは、数少ない生き残りのE級。大熊。
『射撃用意』
コアの合図で、大熊へ2,000オーバーの銃口が向けられる。
……オーバーキルじゃね?
『放て!』
その声と共に、あちこちで風切り音が鳴り、ほぼ同時に鈍い音が響き、大熊はミンチになった。
俺のマナバレットは多分ちゃんと頭に当たったと思う。
手足の骨がボリボリになり、頭も潰れていて、一部手足と頭が集合体恐怖症の人には見せられない事になっているが、辛うじて生きている熊。
一撃一撃の威力が半端に強い結果、内臓や脳が無事で死に切れなかった哀れな獣。
その頭蓋に何度かナイフを差し込み、捻ってその命を奪った。
ごめんだけど俺も集合体恐怖しちゃいそうで直視出来ない上に見ちゃったから目も瞑れないので、天と揺れる草を見ながら祈りを捧げた。
0ポイントでE級を仕留めたので、ただちに撤退。
チェス兵達は弾の補給に石を再利用し、装填が終わるまで1時間休憩して貰う。
敵を仕留めるのに貢献出来ない白と黒の4体は、コアナビに従い、ソロで邪魔な虫類を駆除して回っている。
戦闘経験と言う点では、休憩無しなのでその4体の方が大きいだろう。ソロ狩りしてるのは勿論最初の2体だ。残り2体はその副官としよう。
また、ウッドワーカー達もコアナビにより、追い込み漁ならぬ猟でG級以下の獣狩りをしている。
跳び兎のキックをコア付近にくらうと流石に不味いが、蛇や鼠、小さな鳥程度なら物の数では無い。がまぁ鳥は飛んだら狩る手段が無いのでもっぱら兎、蛇、鼠を駆逐している。
俺はと言うと、E級狩りの見守り、装填中のF級狩りだ。
暫し森を駆け、早速鎧猪とエンカウントした。
直ぐに銃口を向け、マナバレットを1発。
側面に直撃したそれは、甲殻に穴を開け、猪の腹を抉った。
突き抜けなかったのは想定通りの威力。事実上面攻撃である傷石を点攻撃に纏めたくらいの威力だろう。
破石の着弾には及ばないが、貫通力だけ見るとそれなり、傷石と破石の間くらいの価値はあるだろう。
悲鳴を上げて倒れ、ジタバタと起きあがろうとする猪へ、大きく息を吸って照準を合わせる。
「っ……」
くっと息を止め放った弾丸は、もがき起き上がり始めた猪の頭部を貫いた。
猪はばたりと倒れ、暫し足を振った後、動かなくなる。
『……消耗量は2割程度。後8発射てますね』
「そんなもんか」
……そう聞くと魔力増やしたくなるなぁ。瞑想頑張れば増えるかね?
「次の案内頼む」
『承りました、右手側へ進んでください』
◇
その後、瞑想休憩等を挟みながらあちこちへ行って魔物を撃破して周り、夜を迎えたらシャドー軍団を動かして更なる駆逐を行ない、袋小路の森と山岳部含む、全ての有害生物の駆逐が終わった。
残っているのは、小虫と湖の巻貝のみ……と、言いたい所だが、非支配領域と接する袋小路の森西から北に掛けての山脈の奥は、藪をつついて蛇を出しかねないのでスルーした。
狩った獲物は、大型獣のE級が6体。E級と比べれば小さいF級が100体程。蛇や兎等のG級が1,200体程。鼠、鳥、大型昆虫等のH級が10万と1,400体程。後は、H級にすら分類されないレベル……ながらも作物やチビ達に有害性のある小虫を大量に。
合計額は75,000Pくらい。その内壁設置費用の6万程を除いて、15,000P程が今回の稼ぎだ。
これでほぼ脅威はいなくなったが、依然として飛行型の敵は脅威のままなので、地上での繁殖を考えるなら何かしなきゃならん。
そして、今回のDP外収入である素材類の内、所持しきれないいらない物を全て、ペルタ系やジェリー系、シャドーやピッド、チッピ達に与え、屑魔石は砕いてユレイド達に与えたので、明日から3日以内に色々と増えたり進化したりする物と考えられる。
即ち、増殖エリアの整備は急務なのだ。
『……壁の設置、完了しました』
「おし」
これで取り敢えずは、歩行型の生き物は入って来れなくなった。
とは言え、鳥などの脅威は依然としてあるので、地上での繁殖は難しいだろう。
その日の残りは、射撃や走り込み等の修行に時間を使った。




