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第15話 牛の駆ける園

 



 強襲は上手く行った。


 そもそも失敗する方が難しかっただろう。


 転移と同時に俺はサーペンタインを逆手に持ち、骨が無く最も防御力の低そうな腰付近に叩き付ける。


 即座に跳ね上がった牛からバックステップで離れつつ、マナキャスターを構え、1発。

 打ち込んだのは、風の破石。


 この距離だと外す方が難しいもんで、狙いは跳ね上がった所為で少しズレたが、腹部に着弾。

 風が弾け、一瞬だけ球状に肉が凹むのが見えた。


 更に距離を取り、牛の出方を見る。


 牛は跳ね上げた脚を着くや、血を吐きながら此方をチラリと見て、後ろ脚を引きずる様にして逃げ始めた。


 確かに……逃げる方が合理的だな。その上、方向的には牛の同種が多い方だ。

 合流を狙っているのだろう。


 ただし、サーペンタインも刺さっているし、何より……多分骨も折れてるし内臓も傷付いてる。然程逃げられずに死ぬだろうな。



「ムォォッ、モォォー!」



 少し哀れを誘う声で鳴きながら歩む牛に、警戒しながらも距離を詰める。


 的が大きい側面に回ろうかとも思ったが、牛は度々此方を向いては進行方向を微調整している。

 走れば十分回り込めるが、的が小さくても外しはしないだろう。


 マナキャスターを構え、照準を付けた所で、コアから声が掛かった。



『マスター、E-相当の牛が接近中です。その他にも3体ほどの牛が追随していますが、E-級の牛が他と大きく距離を離して其方へ向かっています』

「そうか……」



 声が届いたのか? 随分と耳が良い。



『撤退しますか?』

「……いや」



 大熊とかもやれたし、群れで来てないなら行けるだろう。

 最悪ルー先生を出せばどうにかなるだろうし、此処は攻め時だ。


 大きめな牛が此方へ駆けて来ているのは既に見えている。

 取り敢えず照準を合わせ、ノロノロと真っ直ぐ逃げる牛の脚目掛け、火の破石を打ち込んだ。


 ボンっと火が弾け、牛が転倒する。


 後ろ脚は死に直結しないが、やがてサーペンタインの毒が回って息絶えるだろう。


 続けて、物凄いスピードで此方へ迫る牛へ照準を合わせる。

 猪達と同様に真っ直ぐ突っ込んで来るそれのやや下を狙い、ちょうど良いタイミングでぶっ放した。いやちょっと遠いな。日和ったか。


 地面に着弾したのは、土の破石。


 土の杭が弾け、牛の前脚や顔へ突き刺さり、勢い余って派手にもんどり打ちながら、牛は転倒した。

 これでかなりのダメージだろうが、続け様に接近しながら、倒れる牛へ火の破石を打ち込む。


 狙いは顔面。しかし、牛が直ぐにもがいた結果、狙いはやや外れて角に着弾、破片が飛び散りはしたが、大きなダメージでは無いだろう。


 そう思いながら駆けたが、途中で牛の立ちあがろうとする勢いが弱まっている事に気付いた。


 ……そうか、脳が揺さぶられたか。


 これ幸いと接近し、今度こそ頭に銃口を当て、水の破石を打ち込んだ。



 ——ジュゴッ‼︎



 相変わらず凄い音を立て、頭に空いた風穴から血や脳漿が飛び出て来る。

 気持ち悪いが確実だ。


 これで1体。


 もう1体は間も無く死ぬし、後3体だ。


 遠くにいる牛3頭へ視線を向ける。

 さぁ来い! 全部DPにしてやる!


 数の不利に自分を奮い立てていると、遠い牛3匹は少しうろうろした後、此方に背を向けて駆け出した。



「……」

『リーダーの死を察知して逃げ出した様ですね』

「……そうだな」



 まぁ、合理的だ。



『間も無く1頭目も力尽きます。お疲れ様でした。快勝でしたね!』

「まったくだ」



 さてさて、初戦は上々。感覚的には土の破石と水、風が便利で、火はあんまりって感じだったな。打ちどころが悪いとも言うが。

 サーペンタインの恩恵はどの程度かよく分からなかったが、ずっと刺さってれば効いてくるだろう。


 使った弾は、火2発、風、土、水1発ずつ。DP的には50Pの消費だ。


 間も無く牛が力尽き、手に入ったDPは2体合わせて200丁度。稼ぎは150Pだ。


 良いと言えば良い稼ぎだが、火を1発ほぼ外した事から考えると、牛1体の討伐にはおよそ3発分を要し、得られるDPはおおよそ90P、差し引き60P程度の稼ぎが妥当だろう。


 突進が当たったら即死しなくても死に掛けるんだろ? それで60かー……やっぱり稼ぐなら安全で補充は安い罠に掛けたいよなぁ。



 まぁ、ともあれ、牛の大まかな戦力は分かった。

 これなら、破石を使えば群れの一つくらいは撃退出来るだろう。


 この勢いのまま遠征し、北西、西、南西部の様子を見に行こう。





 支配領域内である北西部をざっと見て周った。


 ほぼコアの監視で分かった事と言えば、リザードマンやゴブリンはあまり平原に出て来ないと言う事。

 やはり、平原は牛の天下と言う訳だ。


 一方で、北部は牛自体も数が少なかった。

 流石に川で分断されている北東部と比べれば多いが、それでも南部の比では無い。


 ゴブリンやリザードマンがあまり入って来ないのは、僅かな牛にすら撃退されてしまうからなのだろう。

 一撃で内臓を損傷させる破石様々である。


 それ以外の特記事項としては、小さな赤い実の成った草がちらほら自生していた。

 コアによると、野いちごの一種で毒は無いとの事。


 ほんのり甘く、種がでかくてボリボリするが、DPを介さない貴重な甘味なので、ちょっと育ててみるか?


 そんなこんなで北部全域の探索を終え、次は支配領域外の西部。

 その調査に際し、誰の支配領域でも無い森と草原の境目へ、少し領土を広げる事とした。


 必要ポイントは14,700P。それに1,400Pで不労所得を増やした。


 これで、万が一の時の逃走経路は確保出来た。



 早速、西部の調査を開始しよう。



 

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