第14話 侵攻開始
第三位階中位
『マスター、朝になりました♪』
「ん? そうか」
もう朝か。
洞窟の中であれこれやってると時間感覚おかしくなるよな。
トントン叩いて化石を掘り出す手を止め、席に着く。
ぽんっと出された朝飯を食いつつ、コアの報告を聞いた。
『昨日の素材分配により、ペルタ及びジェリー系に大量進化と増殖が起こりました』
「やったなっ」
で、どんなもんだい?
『先ずペルタですが、およそ半分が進化し、ペペルタが1,747,231匹。グァームが194,459匹になりました。その他個体はポーション等を供給する事で明日にも進化する物と考えられます』
「良しっ」
大体190万匹くらいか? それだけで……1万と9千DP? 凄いな。
『続けましてジェリーですが、およそ3倍に増殖し頭数は2,743,000匹になりました。また上位種も進化及び増殖により数を増大させています。内訳はゲル735,700。グミ228,780。プチスライム72,920。これにより迷宮が溢れかえっているので、上位種は地上で活動させる事を提案します』
「そうしよう」
うん。多いなって思ってた。地上への道がジェリーだらけで足の踏み場も無かったしな。
なんだったら上位種に関しては既に迷宮の外に漏れ出してたしな。
コアが地上へってんならそれなりに安全だろう。壁もあるしコアのナビもあるし。
ワンチャン高空からE級以上の飛行型魔物が襲い掛かって来たらやばいかもしれないが、今の所袋小路の森にそう言った個体の出現情報は無い。
……ホント制空権欲しいなぁ。チッピ進化しないかなぁ?
「チピっ?」
「……なんでもないぞ」
ゆっくりで良いから強い飛行型になってくれ……見た目ヒヨコだけども。
『次にピッドですが、ピッド及びピルンドの出産により、現在の総数は18,811匹。また、ピッドの進化によってピルンドが8,129匹に、ノルメリオが1,882匹になりました』
「OK。拡張がいるんじゃないか?」
『ノルメリオは地上でも良いでしょうが、それを考慮しても最低900P程度の拡張が必要になるかと』
「OK、実行」
おぉう……思ったより大規模工事だな。まぁその分石も手に入るし防壁の範囲を広げられるが……でも900P分じゃ大した規模の壁は作れないか。
「取り敢えず出た石は防壁の拡張に使おう」
『それでは北部の山間部分へ拡張する事を提案します。90Pで設置可能です』
「西部よりも大型の獣が多い、か……それで頼む」
コアがピカピカと光り、相変わらず早い仕事が終わった。
『次に、魔法訓練中だったピグマリオン494体がカースドピグマリオンに進化しました』
「やったな。魔法はどんな感じだ?」
『全個体が木工修復を獲得した他、最下級の属性魔法を獲得しました。内訳は、火属性が98体。水属性が99体。風属性が99体。土属性が100体。光属性が98体です』
やったなおい! 魔法がただで使えるぜ! ……均等じゃない数字がやけに生々しいと感じるのは、俺がまだ引きずってる証拠だろう。
「うむうむ……何かあげられる物とかあるかね?」
『特別必要ではないでしょうが、ポーションを掛ければ多少生命力が吸収される物と考えられます』
「なら初級ポーション1000本買おう」
『334Pで購入可能です』
「ウッドワーカーとカースドピグマリオンとマリオネットに、余りは墓に掛けてやってくれ」
『承りました』
まぁ、意味は無いんだがな。
『最後ですが、プチモルム500体がプチモースーに進化した他、サジェカントの魔石を与えていたプチモーム500体がプチモルムに進化しました』
「ふむ」
プチモースーが増えたのは単純に生産力の向上としてありがたいとして、プチモルムは蟻化するかどうかは現時点では分からないな。
強いて何か言うなら、確かバド・ユレイドの種が沢山あったから、それを植えてイモムシ畑を拡張すると良いだろう。
「バドの種を植えたい所だが、上手いこと拡張出来るか?」
『ではゲルが使用していた部屋をそのまま転用しましょう。諸々の土の更新も兼ねて、1,000Pあれば十分に補給出来る物と思われます』
「良し、実行」
『完了しました』
これでユレイド系が増加して行けば、地上部の豆畑も大規模拡張出来るって物だ。
理屈の上では、豆をバンバン増やしてジェリーとかペルタとかにあげれば、増殖や進化スピードを上げられる筈だし、ユレイド系の増加は結構大切だな。
『以上の増殖及び進化により、本日の獲得DP数は35,726Pになり、現在の所持DPは58,121Pです。勇猛大平原北部の支配と地脈吸収量の増加は45,500Pで可能ですが、如何致しますか?』
「実行だ」
『完了しました』
しっ! やったな。これで勇猛大平原の魔物の調査が出来る。
◇
早速とばかりに草原へ向かった。
なんせ既に隣接して4日目に突入している訳で、タイムリミットは少ない。
獲物のナイフと銃を確認し、4種の破石が2個ずつ装填されいるのを確かめ、2回分のルー先生を懐に入れ、中級ポーションを5本持った。
戦闘準備は十分だ。
後は野となれ山となれ。ちゃんと支配領域内での戦闘なので、コアの援護が見込める。
即死しない限りは大丈夫だ。
標的は、平原で1匹だけで草を食んでいる牛。
目視確認した所で、1P転移で強襲する事とした。
「……ふー」
『……』
心を落ち着ける。
毎回こんな事をしている暇は無いし、いい加減慣れろと言いたいが、致し方あるまい。怖い物は怖いのだ。
ただし、過剰に恐れる必要は無い。
そう、自信を持て。俺はあのバンムオンを倒したのだ。
沢山の仲間の犠牲の上、4万近い資金を投じ、散々っぱら罠にハメ尽くしてようやくだったが。
牛のランクはF+級、対して俺は、大体E級と言う話だ。つまり実力の上では俺が上の筈。
その上奇襲する立場だ。備えもある。バシッと決めてやろうじゃないか。
「……よし、飛ばしてくれ」
『承りました、マスター。どうか御武運を』
「おう」
地面が光を放ち、仄かな浮遊感の後、柔らかな地面に着地した。




