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第7話 気合いを入れて

 



 はっと気付くと、コアの前だった。



『……マスター、調子は如何ですか?』

「……問題無し」



 若干体が固まってる気がするが、それも少し動かす事で解消した。



『有意義な時間になりましたね』

「全くだ」



 コアの言葉に深く頷く。


 話した内容から予測出来る事もあるが、取り敢えずはコアが得た情報と戦果を整理しよう。



「コア、報告」

『はい! それでは早速ですが……』



 やけに楽しげな様子。十中八九魔物の事だろう。



『新たに生成可能な魔物が2種類増えました!』

「例の奴だな」

『はい! 先ず1種目ですが、拳大よりもやや小さな騎士型ゴーレム。チェス・ミニマムポーンです。例により、金属を取り込む事が可能で、それによる増殖や武器の創造が出来ます!』



 金属なら10tもあるし、増殖には困らないだろう。



『柔軟性を持ち多少の変形が出来る他、魂魄に刻まれたデータに従い合体を行う事で力の増大が可能です』

「ふむ」



 合体はちょっと気になるな。ウォーカーが合体して準ハイカーになるみたいな感じだろうか?



『続けて……チッピ。鶏の雛の様な小型の鳥魔物です。戦闘力は殆どありませんが、小さな虫等を捕食して倒す事は可能です』

「まぁそんな物だよな」

『新規魔物に関しては以上です。何体生成しますか?』

「取り敢えず1体。見るだけ見てみよう」

『ではその様に』



 ピカッと光が瞬き、魔物が生成される。


 現れたのは、ひよこと黒いチェス兵士。



「……色が違うんだが」

『マスターの適性属性の影響を受けています』

「成る程」



 つまり俺は闇に適性が高い的な?


 白チェス兵と黒チェス兵は歩み寄ると、お互いに槍を構えた。

 なんだなんだと見ていると、2体は掲げる様にして槍をカキンッと打ち合わせ、此方を見上げた。


 ナイフでも打ち合わせるかと腰に手を伸ばしかけ、ナイフを強化に出している事を思い出す。

 致し方ないので親指を立て、爽やかに笑っておいた。



「チピッ!」

「はいよ」



 チッピはチピッと鳴くからチッピなんだな。


 そんな事を思いつつ、主張してくるチッピを撫でた。

 その横でチェス兵達はカツンカツンと槍を打ち鳴らして遊んでいる。


 そこへ影が差した。シーカーだ。


 シーカーはチェス兵を模倣した分離体を数十体も生成し、同じ様にして槍をポスポス打ち鳴らし踊らせる。

 それはまさしく黒のダンスステージ。ちょっと影の操作レベル高すぎじゃない? 俺丸とか四角しか作れないが。


 それはそうと話を進める。



「取り敢えずチッピを100体。チェス兵は増殖するに任せよう」

『承りました』



 方針を決め、撫でていたチッピに声を掛ける。


 ……何処まで意味があるかは不明だが、やってみる価値はある筈だ。



「お前がリーダーだ。仲間を率いてくれ」

「チピッ!」



 分かったかどうか定かではないが、複数現れたチッピの方へそれを送り出した。


 次にチェス兵の確認をする。



「チェス兵はどれくらいで増殖可能だ?」

『取り込んだ金属を己が物とする必要がある為、およそ1時間前後掛かると思われます』



 1時間か……となると、鼠算式に増えるから……9時間で千か……?



「……取り敢えず鉄を1t出しておこう」

『それが良いでしょう。魔物に関しては以上です』



 十分な戦果だな。


 特にチェス兵はありがたい。攫われる事はあるだろうが、死ぬ事はそうそうないだろうからな。



『次ですが……鍛治の知識を獲得しました。これにより金属の加工が可能となり、金属器の創造に際してDPの大幅な節約が可能です』

「と言う事は工具とかも簡単に……?」

『作成可能です』



 良し。何にせよ出来る事が多くなるのは良い事だ。万・々・歳!! 工具注文の無駄なんて無かった。



『また、魔道具作成に関する詳細なデータを入手しました。現在魔道具の中核部分として使う事が可能な魔石は大熊と大猪の9個分のみです』

「ほう? どんな魔道具が作れるんだ?」

『給水。火種。微風。石塊。点灯。暗視。以上6種の効果を持つ魔道具を作成出来ます。簡易的な自動修復術式を取り付ける事で、短期的な高負荷を受けない限り恒久的に使用可能です』



 成る程。一部……と言うか一つだけ、おそらく土属性と思われる物の効果が名前だけじゃいまいち分からないが、簡単に作れると言うならやっておいて損は無いだろう。


 ……究極は、コアの指示を受けて俺が学び、DPを消費せずに必要な物を作れる事なんだが……取り敢えず今日の所は楽をさせて貰う。



「一通り作成で」

『完了しました』



 相変わらず仕事が早い。


 コロコロと落ちてきた色とりどりの魔石を拾う。



「詳しく」

『はい、給水は水の生成。火種は火の生成。微風は風の発生。石塊は土の加工。点灯は光点の生成。暗視は視覚の強化となっております。更に詳しく聞きたい物はございますか?』

「土の加工について」

『石塊は現存する土等を錬成して石等に変える魔法です。主な使い道は道路整備。石材の作成。石類の破損修復、補強。目標物の作成にはイメージ力が必須ですが、元の物質との差異が大きい場合は相応の魔力及び精神の消耗があり、また魔道具に刻まれた術式にも大きな負荷が掛かります』

「ふむ」



 土を錬成して石等に変える。その石等の範囲が広いって事だろうな。

 通常土やら石やらは色んな物を含んでいる訳で、例えばそこらの土を鉄に錬成する事も理論上は可能なんだろう。ただし消耗は高く付くだろうが。


 それはつまる所……。



「……例えば鉄鉱石を鉄のインゴットに変える事は?」

『この出力ですと一度に200kの鉄を抽出する事が可能です。その代わり壊れますが』

「成る程。その半分だと?」

『不可逆的故障が発生し修理が必要になります。50kでも魔力減少により自動修復が遅れる事で壊れやすくなるでしょう。やるならば10kずつが適正値です』

「そうか……」



 10kじゃ焼け石に水だが、数を揃えればDPの消費無くインゴットを精製出来そうだな。



『数を揃えるにはE級の魔物と何度も相対する必要がありますが、そもそもE級の群れに当てがありません。また精神力の消耗が大きい為、マスターでも連用は難しいでしょう』

「……素直に石のレンガを作れって事だな」

『現状ではそうですね。報告は以上です』



 無理を通そうとするなら相応の報いがあるって事だ。そんなもんだよな。


 取り敢えず石工とは別の形で石を加工する方法が得られた訳だ。



「さ、て……と……」



 ググッと伸びをする。


 今夜も気合い入れて行こうか。



 ……後輩に追い付ける様にな。



 

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